ソニー・ワイヤレスイヤホンのもう1つのフラッグシップ「LinkBuds Fit」が登場です。
ソニーは現行フラッグシップモデルとして「WF-1000XM5」を展開していますが、これとは異なる"LinkBuds"シリーズのフラッグシップ相当モデルが LinkBuds Fit 。
高音質オーディオや機能性はもちろんのこと、それ以上にイヤホンデザインやカラーリングを重視。ソニー公式に展開するケースカバーやイヤホン本体のウイングチップ(フィッティングサポーター)を付け替えることで最大144通りのカラーリングの組み合わせが可能です。
王道フラッグシップモデルを探している人なら WF-1000XM5 で十分ですが、イヤホンデザインやカラーリングを重視したフラッグシップモデルを探している人だと LinkBuds Fit の方がカスタマイズ性が高くておすすめです。
この記事では、 LinkBuds Fit を実機でレビューしていきます。
この記事の目次(タッチで移動)
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ソニー「LinkBuds Fit」製品概要
スペックシートを確認
発売時期 | 2024年11月 |
相場価格 | 2.7万円 |
販売元メーカー | ソニー(国産) |
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
マルチペアリング | 対応(最大8台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | 対応 |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体8時間 |
ケース併用で最大30時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
製品概要(WF-1000XM5との違い)
LinkBuds Fit は、2024年11月に発売開始したソニーの最新ワイヤレスイヤホン。
"ながら聴き”を目的とした初代LinkBudsとは異なり、ノイズキャンセリング機能を主とした王道スタンダードなワイヤレスイヤホンとして展開されます。イヤーピースを使った、ごくごく普通のイヤホン形状なのでノイズキャンセリングの遮音性もばっちしです。
ノイズキャンセリング、マルチポイント、LDAC、ソニー独自の音質補正機能「DSEE Extreme」などもろもろ対応。ハードウェア設計、ソフトウェア設計ともにソニーの現行フラッグシップ「WF-1000XM5」を土台としており、機能・性能はフラッグシップ級の仕上がりです。
ただ、ケースのワイヤレス充電(Qi)には対応せず。WF-1000XM5 は対応しますが、省かれました。この1点のみ明確なデメリット(ワイヤレス充電ユーザーからすると)。
ケースカバーやイヤホン本体のウイングチップ(フィッティングサポーター)をソニー公式に展開。いずれも別個に購入できます。価格はケースカバーが2,400円前後、ウイングチップ(フィッティングサポーター)が1,600円前後。
ケースカバーとウイングチップを付け替えることで最大144通りのカラーリングの組み合わせが可能に。ソニー・ワイヤレスイヤホンの中では屈指のカスタマイズ性の高さです。
WF-1000XM5 は高音質オーディオと高性能ノイズキャンセリングに強みを持つ王道フラッグシップ。対して LinkBuds Fit はデザインやカラーリング(総じてカスタマイズ性)を重視したフラッグシップモデルといったところ。
ソニー製品ならではの無骨で高級感あるデザインを好む人だとWF-1000XM5 で十分ですが、より自分好みのデザインにカスタマイズして使いたい人だと LinkBuds Fit の方がカスタマイズ性が高くておすすめです。
LinkBuds Openとの違い
製品コンセプトの違い
- LinkBuds Fit → 万人向けの王道ワイヤレスイヤホン
- LinkBuds Open → "ながら聴き”に特化したコンセプトモデル
同時発表された兄弟モデル「LinkBuds Open」あり。
LinkBuds Open は、初代LinkBudsの系譜を継ぐ"ながら聴き”イヤホン。イヤホンを装着しても耳穴を完全にふさがず。耳穴の隙間から周囲の音が物理的に聞き取れます。
LinkBuds Fit も外音取り込み機能を使うことで周囲の音が聞き取れますが、それでも機械的な音の取り込みなので LinkBuds Open には劣ります。"ながら聴き”を目的にワイヤレスイヤホンを探していて、骨伝導イヤホンのような耳周りの開放感がほしい人だと LinkBuds Open を選びたい。
▼ レビュー記事
ソニー「LinkBuds Open」レビュー|耳をふさがない"ながら聴き”イヤホンの本命モデル
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LinkBuds Fit は業界一般的な密閉型イヤホン。イヤーピースを使用。イヤーピースで物理的に遮音できるのでノイズキャンセリング効果も高めです(なお、LinkBuds Openはノイズキャンセリング非対応)。
もとより普通のワイヤレスイヤホン、王道形状のワイヤレスイヤホンを探している人であれば LinkBuds Fit で十分です。
LinkBuds Fit・LinkBuds Open、どっちがおすすめ?選ぶべきポイントを実機で解説
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ソニー「LinkBuds Fit」の外観・デザイン
イヤホンデザイン
イヤホンサイズは小さめ。男性・女性・子どもに関係なく、らくらく耳穴に押し込めます。
シリコン素材でできた「フィッティングサポーター」を活用することでイヤホンの装着感も抜群によし。小型イヤホンならではの装着感のユルユル感なく、サポーターが耳のひだとしっかりとフィット。自ずと装着感も安定します。
イヤホン装着時のイメージ。耳の穴の中にきれいに隠れます。マスク紐の引っかかりもありません。
イヤーピースは4サイズが付属。汎用イヤーピースなので他社イヤーピースにも交換できます(丸型)。
フィッティングサポーターは1サイズのみ展開。カラーリングは5色展開。別個に購入できます(価格1,600円ほど)。
初代LinkBudsで採用された「ワイドエリアタップ」に対応。イヤホン周辺3cmくらいのエリアをタップすることでオーディオ操作など可能です。イメージとしては骨伝導ボタン。イヤホン本体にはボタンはありません。
タップの感度はiOS・Android向けの専用アプリから調整可能。タップ反応しにくい人だと「感度:高」に変更あれ。
iOS・Android向けの専用アプリを使えば操作コマンドの割り当て変更にも対応します。
ただ、操作コマンドの割り当て枠が圧倒的に少ない。オーディオ再生操作、ノイズキャンセリング操作を左右に割り当てるのが限度。音声アシスタントなど使いたい人だと勝手悪いかもしれません。
スマホ操作コマンド(割り当て変更可能)
以下のテンプレ操作コマンドを左右それぞれ1つづつ割り当て可能。左右同じ割り当て、また、割り当てなし(ボタン反応なし)も選択できます。
1. 再生コントロール
2回タップ | 再生/停止 |
3回タップ | 次の曲へ |
2. 外音コントロール/Quick Access
2回タップ | ノイズキャンセリング←→外音取り込み機能 |
3回タップ | 選択式(Quick Access) |
Quick Accessは、Amazon MusicやSpotifyの起動コマンドを割り当て可能。
3. 曲選択
2回タップ | 次の曲へ |
3回タップ | 前の曲へ |
4. 音声アシスト機能
2回タップ | 音声アシスタント起動 |
3回タップ | キャンセル |
ほかGoogleアシスタント、Amazonアレクサを設定可能。
X. 左右固定コマンド(変更不可)
(右イヤホン)4回タップ〜 | 音量を上げ続ける |
(左イヤホン)4回タップ〜 | 音量を下げ続ける |
イヤホンの着脱検出にも対応。イヤホン着脱と合わせて自動でオーディオ再生/停止します。
充電ケース
従来LinkBudsと打って変わった充電ケース。スクエア型のケースデザインにリニュアルしました。
上蓋はツヤ仕上げで高級家電感あり。男性なら100%好きなやつ。
下半分は普通のプラスチックボディです。
ケースサイズはコンパクト(縦横4.5cm、厚み3cm)。握りこぶし一つで包めるサイズ感です。ズボンのポケットやシャツの胸ポケットにもらくらく入ります。
ケースを開いたイメージ。
ケースはワイヤレス充電(Qi)には非対応。USB Type-Cケーブルを使った有線充電のみ対応します。
ケースカバーはソニー純正品にくわえ、サードパーティ製品も多め。充電ケースの擦り傷や汚れを防ぐべくケースカバーを使いたい人だと地味だが堅実な評価ポイントです。
ソニー「LinkBuds Fit」の音質レビュー
音質は「低音域〜中音域」重視
低音 | (4) |
中音 | (45) |
高音 | (4-) |
ボーカル重視のソニー・サウンドは健在。プラスαで低音域をちょい強化。概して低音域〜中音域がメインのチューニングです。
ハードウェア設計はソニー・フラッグシップたるWF-1000XM5と変わらず。WF-1000XM5と同じく8.4mmのドライバーユニット(ダイナミックドライバーX)を採用。統合プロセッサーV2も搭載します。
音楽を聞くにしても、動画を見るにしても、配信を楽しむにしても、無難に楽しめるクセのない音かと思います。ボーカル中心にしつつ、適度に強い低音が添えられてて音を聞く満足度は高めです。
ハイレゾ・コーデックことLDACにも対応。大方のAndroidスマホならハイレゾ音域(24bit/96kHz)での高音質オーディオ再生が可能です(iPhoneはLDAC非対応)。
ソニー独自の音質補正機能「DSEE Extreme」対応
ソニー独自の音質補正機能「DSEE Extreme」に対応。iOS・Android向けの専用アプリから機能ONにできます。
機能ONにすると高音域をハイレゾ同等にデジタル補正。非常にきらびやかな音、俗に言う”クリアな音”に変化します。
デフォルトだと高音域がちょい引っ込み気味ですが、DSEE Extremeを機能ONにしておけば高音域の"シャンシャン"した明るめの音も堪能できるようになります。より明るめの音を好む人だと常時機能ONで使うのもおすすめです。
イコライザー調整にも対応
iOS・Android向けの専用アプリを使ったイコライザー調整にも対応。
プリセット変更(音質テンプレ変更)や目盛り単位の細かなチューニングに対応。また、AI活用したパーソナライズ・イコライザーも作成できます(ファインド・ユア・イコライザー機能)。
ソニー独自の低音イコライザー機能「CLEAR BASS」も利用可能。通常の低音値(400)をいじるよりもCLEAR BASS経由で低音を引き上げた方が低音が崩れにくく、無理やり鳴らしてる感のないきれいな低音になるのでおすすめです。
イコライザー調整とDSEE Extremeは併用不可。どちらか片方しか機能ONにできません。もっぱら低音がほしい人だとイコライザー調整、高音がほしい人だとDSEE Extremeを活用したい。
ちなみに、オリヴィア・ロドリゴ(Olivia Rodrigo)とコラボした"バイオレット”カラーのみ専用イコライザーの用意あり。アルバム「GUTS」「SOUR」の視聴に最適化したチューニングです。オリヴィア狙いの人は"バイオレット"カラー一択。
空間オーディオ再生にも対応(※実用性なし)
ソニー独自の空間オーディオサービス「360 Reality Audio」に対応。
特定の音楽アプリの専用音源を再生する場合に限り、空間オーディオ仕様の3Dオーディオ再生が可能。iPhone・Androidスマホに関係なく使えます。
ただ、対応アプリ数が致命的。↑上記の3アプリのみ対応。「360 Reality Audio」は2020年ころから提供を開始したものの、かれこれ今日まで対応アプリが増えず。他社メーカー品に比べて実用性は皆無です。
ソニー「LinkBuds Fit」の機能性レビュー
ノイズキャンセリング
ノイズキャンセリング性能 | (4.5) |
ノイズキャンセリングの強度調整 | ✗ |
ノイズキャンセリング機能に対応。機能ONにすると周囲の音を中和・低減できます。
遮音性能は高性能。低周波音を中心に明確にシャットアウトできます。屋内で使う場合だとエアコンの風の音など丸々消えてます。
人の話し声やキーボードのタイプ音など高周波音は残り気味ですが、オーディオ再生している状態ならほぼ気にならないレベルです。ノイズキャンセリング利用による耳への圧迫感も少なく、常時機能ONで使うのも気持ち悪さありません。
WF-1000XM5に比べると遮音性能は弱め。WF-1000XM5のような徹底した遮音はありません。実用水準の静けさなので特段に困ることはありませんが、とことんまでにノイズキャンセリング性能を重視する人だとWF-1000XM5を選んだ方がいいです。
外音取り込み機能(ながら聞き機能)
外音取り込み性能 | (5-) |
取り込み量の調整 | 対応 |
イヤホンマイクで周囲の音を集音。イヤホンを装着したままスピーカー経由で周囲の音が聞き取れる「外音取り込み」機能に対応。
音の取り込み性能は高性能。周囲の音の9割方が聞き取れてます。取り込み音の反響もなく、周囲の音が非常にナチュラルに入ってきます。
LinkBuds Open と違ってイヤーピース装着に伴う物理的な音こもり感こそ残りますが、機械的な音の取り込み性能だけで評価すれば、業界全体を見てもかなり優秀な部類の製品かと思います。
iOS・Android向けの専用アプリを使えば音の取り込み量の調整もできます。
通話マイク品質
通話マイク性能 | (5) |
通話マイクは高性能。屋内外で問題なく通話できます。
周囲の音のノイズカット、および風切り音カットが明確に機能。通話音声から周囲の音の9割方が除去できてます。
自分の声の抽出にも対応。屋内でのビデオ通話マイクとして使うのはもちろん、屋外でのハンズフリー通話マイクとしても問題なく使っていけます。
マルチポイント・ペアリング切り替え勝手
マルチポイント | 対応(最大2台) |
マルチペアリング | 対応(最大8台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | 対応 |
ここらはWF-1000XM5と変わらず。非常に勝手よし。
マルチポイント機能に対応。最大2台のデバイスを同時接続。接続したデバイス間であれば、なにかしらオーディオ再生を開始したデバイス側に自動でオーディオ出力先が切り替わります。
ペアリング接続先の上書き切り替えにも対応。マルチポイント接続外のデバイスにペアリング接続先を切り替えるとき、現在のペアリング接続を解除する必要なし。Bluetooth設定画面からイヤホン名を選択するだけで当該デバイスにペアリングが切り替わります。
Google Fast Pairにも対応。Androidスマホであれば専用のポップアップ画面からワンタップで初回の接続設定が完了します。「音声の切り替え」にも対応しており、Androidデバイス間なら擬似的なマルチポイント接続&切り替えが可能です。
バッテリー持ち
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体8時間 |
ケース併用で最大30時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
バッテリー駆動時間は相場水準。イヤホン単体8時間、ケース併用で最大30時間使えます。
ケース充電はUSB Type-Cケーブル使った有線充電のみ対応。意外にもワイヤレス充電(Qi)には対応せず。LinkBuds Fit の数少ない欠点です。
この記事のまとめ
【Good!】ソニー「LinkBuds Fit」のよかったところ
- イヤホン装着感よし
- 低音域〜中音域を重視した高音質オーディオ
- ノイズキャンセリングやマルチポイントなど主要機能を網羅
- 純正ケースカバーを多数用意
【Bad...】ソニー「LinkBuds Fit」の気になったところ
- ケースのワイヤレス充電(Qi)非対応
- タップ操作コマンドの割り当て枠が少ない
- 空間オーディオ再生は実用性なし
LinkBuds Fit は、カジュアルに使えるハイエンド・ワイヤレスイヤホンを探している人なら選んで間違いなし。
イヤホンサイズが小さく、らくらく耳奥に押し込めます。、ウイングチップ(フィッティングサポーター)で耳穴とフィットさせるのでイヤホン装着感も安定。日常使いでストレスない装着感です。これが地味ですが、なによりの評価ポイントかもしれない。
ノイズキャンセリング、マルチポイント、LDACなど主要機能は網羅。音質はクセのない高音質。デフォルトの音質ままでも聞く曲・見る動画に関係なく無難に楽しめます。
価格的にソニー・フラッグシップ「WF-1000XM5」(約3.3万円)も検討余地ありますが、LinkBuds Fit ならケースカバーやウイングチップなどもろもろ交換できるため、カスタマイズ性に富みます。
自分好みのイヤホン&ケースにカスタマイズしたい人だと WF-1000XM5 よりも LinkBuds Fit の方が相性いいかもしれません。
ソニー「LinkBuds Fit」のおすすめ代替候補
ソニー「WF-1000XM5」(価格3.3万円)
ソニーの通常シリーズラインの現行フラッグシップモデル。軽量コンパクトなイヤホンに業界トップクラスのノイズキャンセリングを搭載。LinkBuds Fitと異なりケースのワイヤレス充電(Qi)にも対応します(レビュー記事を見る)
ソニー「LinkBuds Open」(価格2.7万円)
LinkBuds Fitと同時発表された兄弟モデル。"ながら聴き”に特化したオープン型イヤホン。イヤホンを装着したまま周囲の音が聞き取れます。もとより"ながら聴き”用途のワイヤレスイヤホンを探している人なら検討余地あり(レビュー記事を見る)
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