ワイヤレスイヤホンのトレンド機能として定着しつつある「空間オーディオ再生」(3Dオーディオ再生)。
さながらホームスピーカーでオーディオ再生するような、360度から包み込まれるオーディオ再生がワイヤレスイヤホン再生ながら可能になる。
なんちゃって機能から一転、昨今ではAppleやBOSEの空間オーディオ再生が実用水準のレベルに到達。ノイズキャンセリングやマルチポイントと並ぶワイヤレスイヤホンの機能として人気を集めるように。
この記事では、空間オーディオ再生に対応するワイヤレスイヤホンを紹介。うち特におすすめの3製品をピックアップして紹介する。
この記事の目次(タッチで移動)
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空間オーディオ再生の種類&違い
空間オーディオ再生は大きく以下3種類あり
- ソフトウェア依存の空間オーディオ(ドルビーアトモス再生)
- ハードウェア依存の空間オーディオ
- 例外的な空間オーディオ
1. ソフトウェア依存の空間オーディオ(ドルビーアトモス再生)
ソフトウェア依存の空間オーディオとは、ドルビーアトモス(Dolby Atomos)仕様の楽曲データを再生することで擬似的に空間オーディオ再生を再現したもの。
2024年4月時点でドルビーアトモス(Dolby Atomos)仕様の楽曲を提供するのはApple MusicとAmazon Musicの2社のみ。
ドルビーアトモス楽曲を提供する音楽サブスク(日本国内向け)
- Apple Music
- Amazon Music Unlimited
ハードウェアに依存せず(ワイヤレスイヤホンの機能に依存せず)、音楽データを再生するだけで空間オーディオ再生できる強みあり。
一方でYouTubeやNetflixといった動画アプリだと当然ながら空間オーディオ再生にはならない。もとよりドルビーアトモス仕様の楽曲データの再生に限った空間オーディオ再生だ。
2. ハードウェア依存の空間オーディオ(この記事の本命)
ハードウェア依存の空間オーディオとは、文字どおりイヤホンハードの機能に依存した空間オーディオ再生のこと。
AppleがAirPods向けに提供する空間オーディオ再生が有名どころ。そのほかGoogle、サムスン、BOSE、Anker、JBLあたりが自社独自の空間オーディオ再生を提供している。
1. ソフトウェア依存の空間オーディオとは異なり、音楽データのフォーマット関係なく(ドルビーアトモス関係なく)空間オーディオ再生が可能。YouTubeやNetflix、任意の音楽サブスクなど事実上あらゆるオーディオを空間オーディオ再生できる。
この記事で取り上げる「空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン」とは、こうした「ハードウェア依存の空間オーディオに対応したワイヤレスイヤホン」のことを指す。
3. 例外的な空間オーディオ(ソニーの空間オーディオ)
ソニーは自社独自の空間オーディオ・サービス「360 Reality Audio」を提供しているが、これまた特殊。
ソニーのワイヤレスイヤホンを使いつつ、なおかつ「360 Reality Audio」仕様の楽曲を再生する場合に限り空間オーディオ再生できる。
ハードウェア依存の空間オーディオ、ソフトウェア依存の空間オーディオをミックスした感じ。
とはいえ、肝心の「360 Reality Audio」仕様の楽曲を提供しているアプリは少ない。現時点で実用性ある空間オーディオとは言えない。当記事でも特に取り扱わない。
360 Reality Audio楽曲を提供している主なアプリ
- 360 by Deezer.
- Airtist Connection.
- nugs.net.
特におすすめの空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンTOP3
1. BOSE QuietComfort Ultra Earbuds(価格3.3万円)
▶ 空間オーディオの本命機種、価格さえ許容できれば文句なしにおすすめ
筆者個人としては一番推したい。空間オーディオの本命機種「BOSE QuietComfort Ultra Earbuds」。BOSEの現行フラッグシップモデル。2023年に発売開始した。
BOSEの空間オーディオ再生は、iOS、Android、Windows、Mac関係なく利用可能。iOS、Android向けの専用アプリから機能ONにすればハード設定レベルで一律で音の鳴り方を変更できる(あるいはイヤホンのボタン操作でも切り替え可能)。
空間オーディオ再生の完成度は非常に高い。さながらBOSEのホームスピーカーをワイヤレスイヤホン環境で再現した。
BOSEならではの"ズンズン”鳴る低音が、ホームスピーカーを思わす"ヴォンヴォン”に近い音に変化。なおかつ、音場は広くなり、ボーカルはくっきり伸びやかに独立した音として描写。音の迫力と臨場感、そしてボーカルの明瞭さを両立した。
空間オーディオ再生に伴う音の劣化もほぼゼロ。"BOSEスピーカーを再現したワイヤレスイヤホン”言うのが相応しい仕上がり。
価格が3.3万円とフラッグシップ相応の割高価格だが、空間オーディオ再生に特化したワイヤレスイヤホンを探している人であれば「BOSE QuietComfort Ultra Earbuds」は選んで間違いなし。
2. AirPodsシリーズ
▶ iPhone・iPad専用の本格的な空間オーディオ再生が可能
ワイヤレスイヤホン業界のパイオニアにして、空間オーディオ業界を切り開いたパイオニアでもあるApple「AirPods」シリーズ。
iPhone・iPadと接続した場合のみ空間オーディオ再生が可能。アプリ単位で空間オーディオ再生に変更できる。以前は空間オーディオ再生に対応しないアプリがあったものの、2024年現在、ほぼすべてのiPhoneアプリで空間オーディオ再生が使えるようになった。
空間オーディオ再生の完成度は非常に高い。音の鳴る位置が明確に変化。それこそiPhone本体から音が流れているように錯覚する。電車内で使うと音漏れを心配しだすレベル。
空間オーディオ再生に変更するとAirPodsながらもホームスピーカーのような音の厚みや臨場感が生まれる。空間オーディオ再生に伴う音の劣化もなく、常時機能ONにして使ってても気持ち悪くない。
空間オーディオ業界を切り開いたパイオニアだけあって、いざ興味半分の人でも空間オーディオ再生が何たるかが理解できると思う。空間オーディオを使いたいiPhone・iPadユーザーなら第1検討候補としておすすめ。
なお、空間オーディオ再生は、以下のiPhone・iPadとAirPodsを接続した場合のみ利用できる(2024年8月時点)。
対応iPhone
- iPhone 7以降のiPhoneすべて
対応iPad
- iPad Pro 12.9(第3世代〜)
- iPad Pro 11
- iPad Air(第3世代〜)
- iPad(第6世代〜)
- iPad mini(第5世代〜)
空間オーディオ再生に対応しているAirPodsは以下のとおり。
Beats製品ではBeats Fit Proのみ空間オーディオに対応している。
ちなみに、Beats Studio Buds +も「空間オーディオ対応」と宣伝されるもののハードウェア依存の空間オーディオ再生には対応せず。あくまでソフトウェア依存の空間オーディオ、ドルビーアトモス楽曲の再生に特化チューニングした製品となる。勘違い注意。
3. Anker Soundcore Liberty 4(価格14,990円)
▶ 価格的に丁度いい「空間オーディオ」入門機モデル
2024年現在、空間オーディオの入門機的な存在である「Anker Soundcore Liberty 4」。
Ankerの空間オーディオ再生は、iOS、Android、Windows、Mac関係なく空間オーディオ再生可能。iOS、Android向けの専用アプリから空間オーディオ再生をONにすればハード設定レベルで一律で音の鳴り方を変更できる。
空間オーディオ再生の実力も申し分なし。
もともと低音イヤホンだが、空間オーディオ再生にすると低音が重低音に化ける。なおかつ、音場が広くなり、ボーカルはくっきり独立した音として描写。重低音の中で伸びやかなボーカルが響き、コンサートホールのような臨場感を演出している。
空間オーディオに伴う音の劣化も少なく、音がカサつくこともない。ASMRのような落ち着いたトーンのコンテンツとの相性もよさそうだ。
なお、他のAnkerワイヤレスイヤホン2機種(Soundcore Liberty 4 NC、Soundcore Life P40i )も同空間オーディオに対応するが、そこまで空間オーディオの完成度は高くない。空間オーディオ狙いの人だと素直に Anker Soundcore Liberty 4 を選びたい。
そのほか空間オーディオに対応するワイヤレスイヤホンまとめ
JBL(ハーマン)
空間オーディオ再生の完成度:
空間オーディオ対応機種
- JBL TOUR PRO 2(価格2.7万円)
- JBL LIVE BEAM 3(価格2.8万円)
JBLの一部ワイヤレスイヤホンはJBL独自の空間オーディオ再生に対応。iOS・Android向けの専用アプリから機能ONにすればハード設定レベルで空間オーディオ再生に一律変更できる。そのままPC/Mac環境での空間オーディオ再生も可能。
空間オーディオ再生の完成度はまあまあ。モードが3種類あって、うち「ムービー」モードだと空間オーディオらしい音の広がりが感じられる。他の2モードは正直そこまで音の変化ない。
現時点で空間オーディオ狙いで購入すべき製品ではないが、空間オーディオ再生の勝手を知る程度には楽しめるかと思う。JBLワイヤレスイヤホンを検討している人であれば空間オーディオ対応モデルを試してみては。
シャオミ(Xiaomi)
空間オーディオ再生の完成度:
空間オーディオ対応機種
- Redmi Buds 5 Pro(価格9,000円)
- Redmi Buds 4 Pro(2023年モデル)※公式販売終了
中国シャオミは自社独自の空間オーディオ再生を提供。iOS、Android向けの専用アプリから機能ONにすればハード設定レベルで一律で音の鳴り方を変更できる。そのままPC/Mac環境での空間オーディオ再生も可能。
機能ONにすると明確に音の鳴り方が変化。空間オーディオらしい音の広がりが感じられる。音の劣化も少なく、常時機能ONで使ってても違和感ない。ギリ実用水準にある空間オーディオ再生かと思う。
U1万円でとりあえずで空間オーディオを試してみたい人だと性能的にもコスパ的にも丁度いいかもしれない。
Google Pixel Buds Pro(Pixelスマホのみ対応)
空間オーディオ再生の完成度:?(未検証)
空間オーディオ対応機種
- Pixel Buds Pro 2(価格36,800円)※発売予定
- Pixel Buds Pro(価格23,800円)
Googleの空間オーディオは、PixelスマホとPixel Buds Proを接続した場合に限り利用可能。他社スマホやPC/Macと接続している場合には空間オーディオできない。
ただ、すべてのアプリで空間オーディオ再生できるわけではない。空間オーディオ対応アプリはYouTubeやNetflixなど5アプリに限られる(2024年7月時点)。
空間オーディオ対応アプリ
- YouTube
- Netflix
- Disney+
- Google TV
- HBO Max
Galaxy Budsシリーズ(Galaxyスマホのみ対応)
空間オーディオ再生の完成度:
空間オーディオ対応機種
Galaxy Budsシリーズは、一部Galaxyスマホと接続している場合のみサムスン独自の空間オーディオ再生が利用可能。他社スマホやPC/Macと接続している場合には空間オーディオ再生できない。
空間オーディオに対応するGalaxyスマホの条件
- One UI 3.1以上を搭載したGalaxyスマホ(もっぱらGalaxy S10以降の機種)
空間オーディオ再生の完成度は低め。音の鳴り方は変化しているが、高音域がかなり劣化する。音がカサカサ・スカスカになってしまい聞くに堪えない。
現時点では空間オーディオ狙いでの購入はおすすめできない。
この記事のまとめ
2024年現在、空間オーディオを試してみたい人ならBOSEの「QuietComfort Ultra Earbuds」がおすすめ。さながらBOSEのホームスピーカーを空間オーディオで再現した。興味半分の人でも空間オーディオがなんたるかが理解できる。
iPhone・iPadユーザーならAirPodsシリーズの検討余地あり。なんだかんだで空間オーディオ再生の完成度は高い。電車の中で使うとiPhoneから音漏れしてる錯覚ある、文字どおりの意味で日常に溶け込む空間オーディオなので普段使いするにも最適。
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