ドイツを代表する音響機器メーカー「ゼンハイザー」(Sennheiser)から登場したワイヤレスイヤホン「CX True Wireless」をレビュー。
2021年7月より発売が開始された同製品。ノイズキャンセリングに対応した「CX True Plus Wireless」とノイズキャンセリング非対応の「CX True Wireless」の2バージョンで展開される。
当記事でレビューするのはノイズキャンセリング非対応の「CX True Wireless」だ。
とかく音質で攻めた1品。ゼンハイザーならではのリッチな低音を土台に、キャピキャピしすぎない厚みのある中音域〜高音域をプラス。
価格1.7万円ほど(最近は1.3万円ほど)のワイヤレスイヤホンながら高級オーディオ路線の重厚サウンドが楽しめる。
ゼンハイザー製品としての購入を検討している人はもちろん、オーディオ重視のワイヤレスイヤホンを探している人にもおすすめ。以下レビューしていきたい。
ゼンハイザー「CX True Wireless」製品評価
発売時期 | 2021年7月 |
市場価格 |
ゼンハイザー「CX True Wireless」の製品評価は以下のとおり。
低音 | (4.5) |
中音 | (4) |
高音 | (4) |
イヤホンの装着感 | (4) |
ノイズキャンセリング | -- |
外音取り込み機能 | -- |
マイク性能 | (5) |
バッテリー性能 | (4) |
ここがGood!!
高級オーディオ路線のしっかり構えた低音
aptXコーデック対応、Androidスマホと接続して使えばより高音質サウンドに
上位版モデルと変わらぬ高性能マイク搭載、ビデオ通話で活躍
複数デバイス間のペアリング切り替えが簡単、現在のペアリングを解除する必要なし
ここがBad...
1万円超モデルだが、ノイズキャンセリング(ANC)、外音取り込み機能に非対応
ワイヤレス充電(Qi充電)に対応せず
製品カラーリングは2色
カラーリングはブラックとホワイトの2色展開。レビューはブラックで行う。
この記事の目次(タッチで移動)
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ゼンハイザー「CX True Wireless」の製品概要
基本的なスペック情報
発売時期 | 2021年8月 |
直販価格(税込) | |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | × |
マルチポイント | × |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間 |
ケース併用で最大27時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線) |
発売時期 | 2021年8月 |
直販価格(税込) | |
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、aptX |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間、ケース併用で最大27時間 |
充電方法 | USB Type-C(有線) |
防水性能 | IPX4 |
ノイズキャンセリング(ANC) | × |
外音取り組み機能 | × |
マルチポイント | × |
ペアリング仕様
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
新規ペアリングモードの起動方法 | 装着した左右イヤホンのタッチパッドを同時に3秒押し |
マルチポイント | × |
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替え | △(専用アプリを使えば可能) |
複数デバイス間でペアリングを切り替える場合、現在のペアリングを解除する必要なく、専用アプリからワンタッチでペアリングが切り替えられる。
専用アプリが使えるのはiOS、Androidのみだが、スマホ側で起動している専用アプリをリモコンのようにしてPC/Mac側にもペアリングが移せる。逆にPC/Mac側からスマホ側にペアリングを戻すことも可能(Bluetooth LE接続時)。
時々切り替えがミスることがあるのだが、実用レベルの勝手は維持している。普段からスマホやPCなど複数デバイス間で同一のワイヤレスイヤホンを使いまわしている人だと重宝しそう。
Sennheiser Smart Control
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マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数のBluetoothデバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。今日のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のBluetoothデバイスのペアリング情報が記録できる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケース蓋を開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
マルチポイントとは?
マルチポイントとは、複数のBluetoothデバイスを同時接続できる機能のこと。ゼンハイザー「CX True Wireless」はマルチポイント非対応。
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替えとは?
一般的なワイヤレスイヤホンだと複数デバイス間でペアリングを切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。ゼンハイザー「CX True Wireless」は専用アプリを使えば、現在のペアリングを解除せずにペアリングが切り替えられる。
上位版モデル「CX True Plus」との違い
上位版モデルとして「CX True Plus Wireless」あり。市場価格は2万円前後。
外装デザインはCX True Wireless(当記事レビュー品)と全く同じだが、機能面でいくらか違いがある。主に以下のような点。
CX True Wireless(当記事レビュー品)とCX True Plusの違い
CX True Wireless(レビュー品) | CX Plus True Wireless | |
ノイズキャンセリング | × | ○ |
外音取り込み機能 | × | ○ |
aptX Adaptive | × | ○ |
市場価格 | 1.3万円前後 | 2万円前後 |
一番わかりやすい違いがノイズキャンセリングの対応有無。上位版モデルのみノイズキャンセリング対応。
そして、もう一つの地味な違いが「aptX Adaptive」の対応有無。上位版モデルのみ対応している。
aptX AdaptiveはBluetoothオーディオコーデックの一つ。対応するスマホと接続して使えばハイレゾ相当の音源をダウングレードせずに再生できる。
昨今だとハイレゾ相当の音源を提供する音楽サブスクが増えていることもあり、aptX AdaptiveやLDACといったハイレゾ相当の情報量がワイヤレスで転送できるBluetoothオーディオコーデックが注目を集める。
とはいえ、aptX Adaptive対応スマホは少なめ。大半の人にとってはノイズキャンセリングが必要か否かが主たる検討点になるかと思う。
どうしてもノイズキャンセリングを使いたい人であれば上位版モデルの「CX True Plus Wireless」を選んだ方がいい。
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ゼンハイザー「CX True Wireless」の外観&使用感チェック
イヤホンサイズはそこまで小さくないが、不思議にもフィット感はよい
イヤホンサイズはごく一般的なサイズ。気持ち少しだけ大きめ(太め)だが、イヤホンの装着感は悪くない。
正位置で装着してイヤホンの向きを75度くらい”クルッ”と後ろに回すと不思議とジャストフィットする。
イヤホン重量は片耳6gと軽め。イヤーピースのサイズさえ調整すれば装着時のイヤホン揺れも少ない。
イヤホンの防水性能はIPX4、雨や汗に耐える
ワイヤレスイヤホンとしては業界一般的なIPX4の防水性能。雨や汗に耐えられる。日常用途で水没故障が心配になるシチェーションは少ない。
充電ケースはコンパクト
充電ケースは縦4cm、横5.5cm、厚み2.5cmとコンパクト。握りこぶし一つで包み込める大きさ。
普段使っていて(持ち運んでいて)邪魔になるサイズではない。男性であればズボンのポケットに入れてらくらく持ち運べる。
USB Type-Cケーブルで充電可能、ワイヤレス充電には非対応
ケース充電はUSB Type-Cケーブルで可能。Androidスマホユーザーなら充電ケーブルが使いまわせる。
ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず。
ゼンハイザー「CX True Wireless」の音質チェック
低音がしっかり鳴る本格オーディオ仕様
ゼンハイザー「CX True Wireless」は音の強弱が少ないフラット志向のオーディオ。
しっかりと鳴る低音を土台にしつつ、中音域〜高音域の細かな音まで描写されていて音の表現幅は広い。
専用アプリから「Bass Boost」機能をONにすれば低音の厚みが増し、より重厚で上質なオーディオ再生が可能。バックサウンドにモヤがかかったような重さを感じる人もいるかもしれないが、プラスアルファの音の厚みがほしい人だと気に入ること違いない。
ボーカルなどは少しこもったようにも聞こえる。俗に言うクリアな音ではない。
ただ、専用アプリからイコライザー調整できるのでそこまでの問題ではない。イコライザー調整で中音域〜高音域を引き上げれば音の解像度も引き上がり、キャッキャした音楽も丁度いいあんばいに再生できる。
デフォルト状態だと音がこもったような印象を受けた人であればイコライザー調整を活用してみては。
ゼンハイザー「CX True Wireless」の機能面チェック
ワイヤレス接続は屋外でも安定、遅延(音ズレ)もほぼ確認できず
屋外で使っていても音飛び、ブチ鳴り、接続切れなど少ない。
Bluetoothデバイスなので周囲のデバイスと電波干渉する可能性はゼロではないが、筆者が使っていてストレスに感じるレベルの電波干渉は確認できなかった。
ワイヤレスイヤホンで気になる遅延(音ズレ)に関しても目に見えるような酷さはない。YouTubeやNetflixなど違和感なく視聴できた。
もっぱらAndroidスマホであれば上位のBluetoothオーディオコーデックである「aptX」で接続できる。オーディオの高音質化だけでなく動画やゲームでの遅延(音ズレ)を低減できるのでAndroidスマホユーザーなら活用したいところ(iPhoneはaptX非対応)。
通話マイクは高性能、マイク3つ使ったガチ仕様のノイズカット対応
イヤホン本体に通話マイクあり。ビデオ通話やハンズフリー通話で活用できる。
マイク性能は非常によい。片側3つのマイクを使ったビームフォーミング機能(ノイズカット機能)を搭載しており、口元の音と周囲の音を聞き分け、通話先には口元の音だけを転送してくれる。
いざ使って見ると音の聞き分け精度は高い。それこそテレビの前で喋っていてもテレビの音を上手く避けて(トーンダウンして)口元の音だけをピックアップして通話に乗せてくれる。
通話マイク性能に優れるワイヤレスイヤホンと言えば、やはりAirPodsシリーズが挙げられるが、ゼンハイザー「CX True Wireless」もAirPodsシリーズに負けず劣らずの高性能ぶり。ビデオ通話などで使えるワイヤレスイヤホンを探している人なら丁度いい1品だ。
タッチセンサーはストレスなく使える
よくあるタッチセンサー仕様だが、タッチ処理は安定している。1回タッチが1回タッチに、2回タッチが2回タッチとして認識される。普段使っていてストレスに感じる反応処理の鈍さはない。
ただ、タッチセンサーなのでふとしたタイミングで指が触れてしまい、意図せぬタッチ操作が行われることはある。操作コマンドの割り当て変更に対応せず、1回タッチ操作をOFFにすることもできない。
製品の問題よりかは使う人の問題なのだが、どうしても誤タッチが気になる人だとAirPordsなどのボタン式のワイヤレスイヤホンを検討した方がいいだろう。
【補足】タッチ操作コマンドは以下のとおり(割り当て変更不可)
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回タッチ | 再生/停止 | |
2回タッチ | 前の曲に戻る | 次の曲に進む |
3回タッチ | 音声アシスタント起動 | |
長押し | 音量ダウン | 音量アップ |
着信対応/着信終了は1回タッチ。着信拒否は2回タッチ。いずれも右/左イヤホン問わず。
ゼンハイザー「CX True Wireless」の気になったところ(あるいはデメリット)
価格のわりにノイズキャンセリング非対応、コスパ的な割高感あり
ゼンハイザー「CX True Wireless」は価格1.7万円前後のワイヤレスイヤホンとして展開されるのだが、ノイズキャンセリングには対応していない(現在は1.3万円前後)。
それこそ2万円出せばノイズキャンセリング付きの上位版モデル「CX True Plus Wireless」が購入できてしまう。あまりに価格が近すぎて上位版モデルとスタンダードモデルの価格差が価格差として機能してないようにも思える。
昨今だと1万円前後でノイズキャンセリングに対応する製品もあるし、1.7万円前後となればノイズキャンセリングが標準搭載みたいな時代だ。その相場観から言うとノイズキャンセリング非対応のゼンハイザー「CX True Wireless」は割高に感じるかもしれない。
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この記事のまとめ
ここまでゼンハイザー「CX True Wireless」をレビューしてきた。
価格1.7万円という割高感を除けば、欠点らしい欠点がない。ここ最近では1.3万円前後で購入できるので「まー、まだありかな」と思わす妥当な価格水準になってきた。
もとよりドイツを代表するオーディオブランド、ゼンハイザーのワイヤレスイヤホンとあり、これ以上の安さを求めるのはナンセンスかもしれない。
しっかりとした低音が堪能できるオーディオがなにより魅力。仮に気に食わなければ専用アプリからイコライザー調整してしまえばいい。
オーディオ重視でワイヤレスイヤホンを選びたい人であればゼンハイザー「CX True Wireless」をぜひ試してみてほしい。
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