U5000円ワイヤレスイヤホンとして高い人気を誇った「JBL Wave100 TWS」。
ケースのふたがない奇抜なデザイン一方、思いのほか使い勝手はよく、なおかつJBLらしい高音質オーディオを搭載した優良モデルだった。
これのアップデートモデルとなるのが「JBL WAVE BUDS」。
従来の勝手そのままに堅実にアップデート。オーディオ性能は強化され、イヤホンの装着感は向上し、バッテリー駆動時間はケース併用32時間と従来モデルから大幅に改善された(従来モデルは同20時間)。
物価高の影響か、価格が6,600円と前作よりも2,000円弱アップしてしまったが、この1点を除くとほぼ文句ない製品に。
初めてのワイヤレスイヤホンとしてはもちろん、ワイヤレスイヤホンの勝手知れてる人まで幅広くおすすめ。
この記事では JBL WAVE BUDS をレビューしていく。
【レビュー概略】ハーマン「JBL WAVE BUDS」
基本情報・スペックシート
基本情報
発売時期 | 2022年11月 |
直販価格 | 6,600円 |
発売元メーカー | JBL(ハーマン)(米国) |
スペックシート
ノイズキャンセリング | ✗ |
外音取り込み(ながら聞き機能) | 対応 |
マルチポイント | ✗ |
ペアリング接続先の上書き切り替え | ✗ |
防水 | 対応(IP54) |
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体8時間 |
ケース併用で最大32時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
評価ポイント
- クリアなボーカル&響く低音
- イコライザー調整(音質カスタム)初対応
- イヤホンサイズは小ぶりで装着感よし
- ケース併用で32時間使えるロングバッテリー搭載
ケースのふたなしワイヤレスイヤホンとして人気誇った前作モデル「JBL Wave100 TWS」から堅実にアップグレード。
前作では未対応だったiOS・Android向けの専用アプリに追加対応。アプリからイコライザー調整が可能だ。
バッテリー駆動時間はケース併用で32時間と大幅にスペックアップ(前作モデルは同20時間)。できるだけ充電しなくていいワイヤレスイヤホンを探している人だと勝手よし。
微妙だったところ(あるいは明確なデメリット)
- ペアリングまわりの仕様が面倒くさい
- 通話マイクのノイズカット性能は価格なり
- 価格は前作よりも実質値上げ(4,500円前後→6,600円前後)
欠点をひいて挙げるならば価格。前作モデル「JBL Wave100 TWS」は4,500円前後で購入できたが、今作は公式価格6,600円と値上げ。
前作モデルに比べて確かにスペック・アップデートこそしてるものの、6,600円のワイヤレスイヤホンと言われると少し物足りなさも感じる。
製品をおすすめできる人
- (そこそこ安くて)音質よいワイヤレスイヤホンを探している人
- ケース併用で32時間使えるバッテリー持ちを評価する人
JBL WAVE BUDS は前作モデル「JBL Wave100 TWS」の良くも悪くもアップデートモデル。
追加対応したイコライザー調整、ケース併用で32時間使えるロングバッテリーを評価する人が選びたい。
逆にここらのアップデート点に惹かれない人なら前作モデル「JBL Wave100 TWS」でも十分かもしれない。現在も公式販売あり、おおよそ4,500円前後で購入できる。
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▶ レビュー詳細
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JBL WAVE BUDS の外観・デザイン
イヤホンの装着感は前作から向上、小ぶりで収まり良い
イヤホンの装着感は前作から向上。
前作だとペッパー君のごとく耳穴からイヤホンが飛び出ていたが、JBL WAVE BUDS はイヤホンサイズが小型化。公式いわく前作から20%のサイズダウン。耳の穴の中できれいにおさまる。
イヤホン装着による物理的な遮音性も向上。耳穴全体を大まかに覆えるように。ノイズキャンセリング(ANC)こそ対応していないが、イヤホン装着だけで十分に遮音性は確保できる。
製品の代名詞たる「フタなしケース」は安定の使い勝手
製品の代名詞たるフタなしケース。
初見の人だと使いづらさを感じそうだが、いざ使うとそうでもない。ガムを取り出すようにして片手で着脱できるので使い勝手がクセになる。
イヤホンの取り出し方も簡単。イヤホンをケース外側にズラすと”カチカチ”っと動いてそのまま取り出せる。非常に考えられてるケース設計だ。
イヤホンとケースはマグネットでくっついてるので、ケースごと落下させない限りはイヤホンが抜け落ちることもない。
ケースサイズはコンパクト。片手で握り込めるサイズ感。数値で言うと縦3cm、横7cm、厚み2cmほど。
男性であればズボンのポケットやシャツの胸ポケットに仕舞っておける。持ち運ぶときに邪魔に感じることもないだろう。
JBL WAVE BUDS の音質
ボーカルくっきり、音場も広くて満足度高し
JBLらしいボーカルくっきりしたクリアサウンドは健在。
これにくわえて低音が強化。”ドコドコ”鳴る響く低音が加味され、前作よりも低音の質感が感じられる仕上がりに。
そして、それ以上に注目すべきが音場の広さ。「空間オーディオ対応です」と言ってもバレないレベルに音が広がる。耳元で音が鳴っているように思えず、思わずスマホの本体スピーカーからの音漏れを心配してしまう。
ボーカルくっきり、低音ドコドコ、音場は広く、YouTube動画一つ見るにも満足度は高い。オーディオ狙いで購入しても問題なし。
イコライザー調整に初対応
iOS、Android向けに配信している専用アプリ「JBL Headphones」を使ったイコライザー調整に初対応。前作は非対応だった。
音楽シチュエーションに合わせたテンプレ設定ほか、目盛り単位の細かなチューニングも可能。
デフォルトままでも文句ないチューニング具合だが、もっぱら低音の鳴り方を調整したい人はカスタムあれ。
JBL Headphones
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ながら聞きイヤホンとしての実力は?
外音取り込み機能は頑張ってる方、実用性はギリ見いだせる
JBL WAVE BUDS は外音取り込み機能に対応。機能ONにするとイヤホンマイク通じて周囲の音が聞き取れる。ON/OFFはタッチボタン操作で可能。
U1万円ワイヤレスイヤホンだと外音取り込みの性能はたかが知れてる製品が多いが、JBL WAVE BUDS はかなり頑張ってる方。
音を取り込むためのホワイトノイズこそ強く出るが、機能ONにすると明確に周囲の音が明るくなる。同時にオーディオ音量も下げておけば、音楽を聞きながら周囲の音も聞こえる丁度いい具合になる。
屋外で歩きながら音楽を聞きたい人だったり、屋外ジョギング中に使えるイヤホンを探している人だと活用できる機会が多そうだ。
トークスルーは実用性あり、イヤホンを装着したまま会話できる
JBL WAVE BUDS はトークスルーにも対応。オーディオ音量を最小に調整しつつ外音取り込み機能をONにできる。
オーディオ音量が強制的に最小になるため、物理的に周囲の音が聞き取りやすくなる。イヤホンを装着したまま会話したいときに活用できる。
トークスルー中のオーディオ音量は本当に小さい。オーディオが一時停止したかと勘違いするレベルなので会話するときの邪魔にならない。
トークスルーのON/OFFはタッチボタン操作で可能だ。
JBL WAVE BUDS のペアリング仕様
【概要】ペアリング仕様抜粋
Google Fast Pair | 対応 |
マルチポイント | × |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
新規ペアリングモードの起動方法 | 左右イヤホンをケースから出して、ペアリング再接続できない状態で数秒放置 |
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタップで初回のペアリング設定できる。
マルチポイントとは?
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数デバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。
1度記録してしまえば次回以降に再度セットアップする必要がなくなり、ケースふたを開くだけでデバイスと再接続できる。
昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング情報が記録できる。
ペアリング接続の上書き切り替えとは?
複数デバイス間でペアリング接続を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。
一部のワイヤレスイヤホンであれば現在のペアリング接続を解除せず、ペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面でイヤホン名を選択するだけでペアリングを上書きして切り替えられる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケースふたを開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。
2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
新規ペアリングモードの起動方法
新規ペアリングモードを起動するためのボタンや操作コマンドなし。
新規ペアリングモードを起動する場合、ケースから左右イヤホンを取り出し、ペアリング再接続できない状態で数秒放置すると自動で新規ペアリングモードに切り替わる。
すでに何かしらのデバイスとペアリング設定したあとだと、そのまま放置するとペアリング再接続してしまうため、先に既存ペアリングデバイスのBluetoothをオフにしておく必要あり。
複数デバイス間のペアリング切り替え方法
複数デバイス間でペアリング接続を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要あり。
現在のペアリングを解除して、ペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面からイヤホン名をタップすればペアリング接続元が切り替えられる。
現在のペアリングを解除するには現在のペアリングデバイスのBluetoothをオフにする。
JBL WAVE BUDS の細かな機能レビュー
バッテリー持ち・充電環境
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体8時間 |
ケース併用で最大32時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
バッテリー駆動時間は前作よりも向上。
前作はケース併用で20時間止まりだったが、今作はケース併用で32時間と結構なスタミナ仕様に。昨今のワイヤレスイヤホンだとケース併用で24時間使えれば優秀クラス。
充電はUSB Type-Cケーブルで可能。ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず。
通話マイク仕様
通話時ノイズカット機能 | △ |
風切り音カット | × |
通話マイク性能は「中の中」くらい。
通話音声から周囲の音を除去するノイズカット機能に対応しているが、そこまで高精度なノイズカットではない。周囲の音を気持ち少しだけ”ゴニョゴニョ”っと打ち消すのが限度。
風切り音(マイクに風が当たった"シュバババ"といった音)は除去できず、そのまま通話マイクに入り込み通話転送される。
基本的には静かな場所で使うべき通話マイク。屋外の喧騒の中でストレスなく使えるマイクとは言いがたい。
ボタン操作
ボタン種類 | タッチセンサー |
操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
イヤホンの装着検出(オート再生機能) | × |
イヤホン本体にタッチセンサー内蔵。オーディオ操作、通話操作、音声アシスタント起動などひととおり可能。
タッチ反応処理は安定。専用アプリを使えば「1回タッチ」操作が機能OFF(割当なし)にも変更できるので誤タッチが鬱陶しい人ならカスタムしたい。
スマホ操作コマンド(割り当て変更可能)
以下3つのテンプレ設定から左右それぞれに1つづつ割り当てられる。割り当てOFF(タッチ反応OFF)も選択可能。
1. 再生の操作
1回タッチ | 再生/停止 | |
2回タッチ | 次の曲へ | |
3回タッチ | 前の曲へ | |
長押し | 音声アシスタント起動 |
2. 音量の操作
1回タッチ | 音量を上げる | |
2回タッチ | 音量を下げる | |
長押し | 音声アシスタント起動 |
3. アンビエントサウンドの操作
1回タッチ | アンビエントサウンドON/OFF | |
2回タッチ | トークスルーON/OFF | |
長押し | 音声アシスタント起動 |
通話対応コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン | |
2回タッチ | 着信終了 | |
着信拒否 | ||
長押し | 着信拒否 | |
(通話中のみ)マイクミュートON/OFF |
防水性能
防水性能 | IP4 |
防塵性能 | IP5 |
防水性能はIP4と相場相当。雨や汗が防げる。水洗いには対応せず。
IP5の防塵にも新対応。砂ホコリなど耐えられる。屋外で使えるスポーツイヤホンを探している人だと心理的な安心材料になりそう。
ケースもIPX2の防水対応。充電ポート部分など含めて水はね程度なら耐えられる。
低遅延モード
低遅延モード | あり |
遅延性能 | 非公表 |
ゲーム以外での利用 | 可能 |
低遅延モードに相当する「ビデオモード」あり。専用アプリから機能ON/OFFできる。
JBLワイヤレスイヤホンはデフォルトだと遅延が目立ちがち。JBL WAVE BUDS も似たような感じだが、低遅延モードをONにすることで遅延プラマイゼロといったところに。
完全に遅延ゼロになるわけではないので音ゲーなどプレイする人だと別途アプリ側から調整したい。動画を見たり、ポチゲーする程度なら低遅延モードだけで大方どうにかなる。
専用アプリ
専用アプリ | あり(iOS、Android) |
イコライザー調整 | 対応 |
タッチ操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
低遅延モード(ゲームモード)ON/OFF | 対応 |
イヤホンを探す | 対応 |
前作から一転、専用アプリ「JBL Headphones」に初対応。
上位版モデルと同じくひととおりのカスタムが可能。特にイコライザー調整に対応したのが大きな変化だ。
JBL Headphones
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iPhoneとの相性
iPhoneとの相性 | (非常によい) |
AACコーデック | 対応 |
iOS向け専用アプリ | あり |
iPhoneとの相性は非常によい。
iPhoneで主流のBluetoothオーディオコーデックである「AAC」に対応するほか、専用アプリもそのまま利用できる。
iPhoneだからといって割を食う要素はない。iPhoneユーザーにもおすすめだ。
JBL WAVE BUDS の気になったところ(あるいはデメリット)
ペアリングまわりの仕様が面倒くさい(複数デバイス間で使いまわしにくい)
複数デバイス間でワイヤレスイヤホンを使いまわそうと考えている人は注意した方がいい。
これは JBL WAVE BUDS に限らずJBLワイヤレスイヤホン全般に言えることだが、ペアリングまわりの仕様が本当に面倒くさい。主に以下2点。
- 複数デバイス間でペアリング接続先を切り替える場合、現在のペアリングを都度解除する必要あり
- 新規ペアリングモードの起動ボタン、起動コマンドは搭載せず
昨今だと現在のペアリング接続を解除せず、Bluetooth設定画面からワンタップでペアリング接続先が切り換えられるワイヤレスイヤホンが増えているが、同仕様には非対応。
ペアリング接続先を切り替える場合、否応にも先に現在のペアリングを解除する必要がある。
また、他社製品だと新規ペアリングモードを起動すれば事実上ペアリング解除できるが、JBL WAVE BUDS は新規ペアリングモードの起動ボタン、起動コマンドを搭載せず。
現在のペアリングを解除する場合、素直にデバイスのBluetoothをオフにする必要がある。
複数デバイス間でワイヤレスイヤホンを使いまわそうと考えている人だと日常使いで多分にストレスを感じそうだ。
この記事のまとめ
ここまで JBL WAVE BUDS をレビューしてきた。
全体的に悪くない。というか、かなり良い。
音質、イヤホンの装着感、バッテリー駆動時間。いずれも改善されてて前作 JBL Wave100 TWS よりも満足度は高い。
ただ、JBLワイヤレスイヤホンらしいペアリング仕様の面倒くささが残るため、複数デバイス間で使いまわしたい人だと勝手の悪さを感じそう。
基本的にはスマホ単体で使うためのワイヤレスイヤホンとして考えるべきだ。
もとよりスマホで使うためのワイヤレスイヤホンを探してて、かつ大手メーカーのそこそこ安くて勝手のいいワイヤレスイヤホンを探している人であれば JBL WAVE BUDS は間違いなく”買い”だ。
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