楽器メーカー・ヤマハ(YAMAHA)から登場した新作ワイヤレスイヤホン「TW-E5B」。
ロングヒット中の「TW-E3B」の上位版モデルに相当する同機。音の解像度がとかく高く、楽器の音色一つまで楽しめる。
もとより"ヤマハ”ブランドのワイヤレスイヤホンなのでネームバリューの時点で興味を持っている人も多いかと思うが、それを裏切らぬ製品の完成度。オーディオ重視の人なら文句なしにおすすめしたい。
この記事では、ヤマハ「TW-E5B」をレビューしていく。
ヤマハ「TW-E5B」製品評価
発売時期 | 2022年3月 |
市場価格 | 1.5万円前後 |
ヤマハ「TW-E5B」の製品評価は以下のとおり。
低音 | (4) |
中音 | (4.5) |
高音 | (5) |
イヤホンの装着感 | (4) |
ノイズキャンセリング | - |
外音取り込み機能 | (4.5) |
マイク性能 | (3.5) |
バッテリー性能 | (5) |
ここがGood!!
- 楽曲の原音再生を指向した高音質オーディオ
- 「aptX Adaptive」対応、一部Androidスマホで使えばより高音質に
- 最大30時間使えるロングバッテリー搭載
- イヤホンが汚れたら水洗い可能(IPX5仕様)
ここがBad...
- (価格のわりに)ノイズキャンセリング非対応
- 通話マイク性能は普通、騒音のある場所だと使いづらい
- 左右イヤホンのボタン配置が異なるトリッキー仕様
製品カラーリングは4色
カラーリングはブラウン、ブラック、グレー、ブルーの4色展開。レビューはブラウンで行う。
この記事の目次(タッチで移動)
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ヤマハ「TW-E5B」の製品概要
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、aptX Adaptive |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | × |
防水性能 | IPX5 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体8.5時間 |
ケース併用で最大30時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線) |
ヤマハ「TW-E5B」は、Bluetoothオーディオコーデック「aptX」の上位版である「aptX Adaptive」に対応。
aptX Adaptiveに対応しているAndroidスマホと接続すれば、ハイレゾ相当の高音質オーディオ再生が可能になる(iPhoneはaptX Adaptive非対応)。
aptX Adaptiveに対応しているAndroidスマホは米クアルコムの公式サイトから確認できる。
ペアリング仕様
Google Fast Pair | × |
マルチポイント | × |
マルチペアリング | 対応(最大3台) |
Bluetooth設定画面からのワンタッチでのペアリング切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
新規ペアリングモードの起動方法 | 左右イヤホンのボタンを同時に3秒押し(右イヤホンは+ボタン押し) |
複数デバイス間のペアリング切り替えは先に現在のペアリングを解除する必要あり。
接続しているデバイスのBluetoothをオフにするか、あるいはイヤホンのボタンを操作して新規ペアリングモードを起動することでペアリングが一時的に解除できる。
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタッチでペアリング設定できる。
マルチポイントとは?
マルチポイントとは、複数デバイスを同時接続できる機能のこと。
なにかしらオーディオ再生しているデバイスに自動で音声出力元が切り替わる。
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数デバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。
1度記録してしまえば次回以降に再度セットアップする必要がなくなり、ケースふたを開くだけでデバイスと再接続できる。
昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング情報が記録できる。
Bluetooth設定画面からのワンタップでのペアリング切り替えとは?
複数デバイス間でペアリングを切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。
一部のワイヤレスイヤホンであれば現在のペアリングを解除せず、切り替えたいデバイスのBluetooth設定画面でイヤホン名を選択するだけでペアリングを上書きして移せる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケースふたを開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。
2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
バッテリーまわりのこと
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体8.5時間 |
ケース併用で最大30時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
バッテリー駆動時間はケース併用で30時間と相場よりも長め。ノイズキャンセリングに対応していない分、バッテリー持ちがよい。
ケース充電はUSB Type-Cケーブルで行う。ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず。
通話マイク仕様
通話時ノイズカット機能 | △(cVc8.0) |
風切り音カット | × |
通話マイク性能はいたって普通。
集音性能こそ問題ないが、周囲の騒音がうるさい場所で使うと騒音ごと集音してしまう。基本的には静かな場所で使った方がいい。
なお、通話時ノイズカット機能として「cVc8.0」に対応しているが、これはあくまで通話音声をクリアに加工するだけ。口元の音と周囲の音を聞き分けたり、周囲の音を低減して通話転送する... といった機能ではない。
操作性
ボタン種類 | 物理ボタン |
操作コマンドの割り当て変更 | × |
イヤホンに搭載された物理ボタンでデバイス操作可能。タッチセンサー式ボタンではないので、ふとしたタイミングの誤タッチ、誤反応を防げる。
ただ、右イヤホンに2つのボタン、左イヤホンに1つのボタンを搭載するトリッキー仕様なので操作の慣れが多分に必要。ボタン操作コマンドも割り当て変更できず。
音楽操作コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン(+) | 右イヤホン(-) | |
1回押し | 再生/停止 | 音量1アップ | 音量1ダウン |
2回押し | 外音取り込みON/OFF | 次の曲へ | 前の曲へ |
1秒長押し | - | - | 音声アシスタントON/OFF |
音声アシスタントはSiriとGoogleアシスタントに対応(※アレクサ非対応)。
通話対応コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン(+) | 右イヤホン(-) | |
1回押し | 着信を受ける | 音量1アップ | 音量1ダウン |
2回押し | - | - | - |
1秒長押し | 着信拒否、着信を終了する | - | - |
防水性能
防水性能 | IPX5(IP5) |
防塵性能 | × |
巷のワイヤレスイヤホンだとIPX4の防水性能だが、ヤマハ「TW-E5B」はさらに一歩上のIPX5の防水性能あり。
雨や汗に耐えられるほか、イヤホンの水洗いも可能。イヤホンが汚れたら水道の蛇口から水を直接かけて洗っても問題ない。
iPhoneとの相性
現行モデル(併売モデル)「TW-E3B」との違い
ヤマハは完全ワイヤレスイヤホンの現行ラインナップとして「TW-E5B」(レビュー品)、そして「TW-E3B」の2製品を展開している。
同2製品の主たる違いは以下のとおり。
「TW-E5B」は上位版モデルの位置づけ。aptX Adaptiveほか、イヤホンを装着したまま周囲の音が聞き取れる「外音取り込み機能」に対応。ノイズキャンセリング(ANC)には対応しない。
対して「TW-E3B」はエントリーモデルの位置づけ。エントリーモデルとは思えぬ高音質ワイヤレスイヤホンとして2020年11月の発売以来ロングセールスを記録している。
もっぱら「TW-E5B」はaptX Adaptive狙いで、「TW-E3B」はコスパ狙いで購入を検討すべき。
どちらも高音質なワイヤレスイヤホンだが、「TW-E5B」はより高音質なBluetoothオーディオコーデックとして知られる「aptX Adaptive」に対応。Xperiaなど一部のAndroidスマホとセットで使えば、より解像度の高いオーディオ再生になる。
aptX Adaptiveに対応しているAndroidスマホは米クアルコムの公式サイトから確認できる。
「TW-E3B」の場合、もっぱら初めてのワイヤレスイヤホンとして、とりあえずワイヤレスイヤホンを使ってみたいという人におすすめだ。
あわせて読みたいヤマハ(YAMAHA)の完全ワイヤレスイヤホンを比較|TW-E5B、TW-E3B、何が違う?
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ヤマハ「TW-E5B」の外観&使用感
イヤホンの装着感は悪くないが、装着するとイヤホンが横に出っ張る
イヤホンの装着感は悪くない。イヤーピースを耳穴に突っ込んで少しばかり時計回りにクルッと回すと自然とフィットする。
イヤホン重量も片側6.5gと相場相当で長時間のイヤホン装着でも疲れにくい。
ただ、横に出っ張ったイヤホンデザインなので装着すると存在感ある。さながら小型ヘッドセットのよう。寝転がった状態で使うとイヤホンがぐいぐい内側に押されて鬱陶しさ感じそう。
充電ケースは格別におしゃれ、楽器の収納ケースのよう
充電ケースがこれまたおしゃれ。楽器の収納ケースのようなリッチな風合い、質感が多分にある。
外観素材はプラスチックなのだが、適度にヌメリがあって安っぽさは感じない。
また、ケース蓋には凹凸あるザラザラ加工が施されててよきアクセントに。ヤマハの音叉マークと相まってケース単体でもさまになる。
ケースサイズは縦5cm、横6cm、厚み3cmほど。他社のワイヤレスイヤホンに比べると少しだけ大きめだが、それでも男性ズボンのポケットに入れておけるサイズはキープしている。特段に大きさを気にする必要もないかと思う。
ヤマハ「TW-E5B」の音質
音の解像度は高め、楽器の音色一つまで映える
ヤマハ「TW-E5B」はクリアな高音再生を強みとするオーディオ設計。音の解像度が非常に高く、不必要な低音増強もないので聴き心地よい。
楽器ごとの音色も丁寧に描写されていて、他社ワイヤレスイヤホンだと低音おろか高音に隠れてしまっているような細かな楽器の音も認知できる。ここらのチューニング具合は楽器メーカー・ヤマハならではのこだわりを感じるところ。
他方、さ行の音(”さしすせそ”の音)が少しばかり刺さり気味。どうしても気になる人だと専用アプリからイコライザー調整して高音域を抑えた方がいい。
また、よくも悪くも音が丁寧。ノリノリになれる激しい音の強弱を好む人、低音をガンガン鳴らしたい人とはオーディオ相性が悪そう。
どちらかと言えば、「丁寧な音」「繊細な音」「優しい音」といったキーワードに惹かれる人ほどオーディオ相性がよさそうだ。
イコライザー調整(音質カスタム)に対応
専用アプリ「Headphone Control」を使えばイコライザー調整が可能。目盛り単位で細かく設定できる。
デフォルト状態だとあまりに丁寧すぎて低音がほしくなる人もいるかもしれない。そうした人なら低音域を少しばかり引き上げると丁度いい。
Headphone Control
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「リスニングケア」(聴覚保護機能)は効果あり、音量が半分以下でも音楽が聞き取りやすい
ヤマハ独自機能「リスニングケア」あり。
音量が低いとぼやけてしまう低音と高音を引き立て、音量が低い状態であっても音楽を聞き取りやすくする機能。音量の上げすぎによる聴覚ダメージを防ぐための機能として提供される。
いざ使うと効果は実感できる。スマホの音量が半分以下の状態であっても低音〜高音まで音の輪郭が残る。
周囲の音がうるさい場所だと物理的に音量を上げざるを得ないことはあるのだが、静かな場所で使うシチュエーションであれば十分に活用できる。
aptX Adaptive対応、一部Androidスマホと接続すればより高音質に
ヤマハ「TW-E5B」のセールスポイントaptX Adaptive。
aptX AdaptiveはBluetoothオーディオコーデックの一つ。aptXの上位版であり、ハイレゾ相当の音楽データ(最大48kHz/24bit)をワイヤレス経由で転送&再生できる。
昨今だとApple MusicやAmazon Music HDでハイレゾ相当楽曲の配信が始まっている。もっぱらここらの楽曲を高音質ままで再生したい人だとaptX Adaptive対応は譲れぬセールスポイントとなる。
とはいえ、通常のオーディオ再生でも音の解像度が高いワイヤレスイヤホンとあり、aptX Adaptiveだからといって劇的に音質や音の解像度が引き上がるわけではない。
音の解像度を10段階評価で言えば(1が最低、10が最高)、通常のオーディオ再生が8、aptX Adaptiveが9といった具合。
正直なところ、そこまで劇的な違いが見られないので、aptX Adaptiveに対して期待値を上げすぎると肩透かしくらいそう。プラスアルファ程度の機能として考えておいた方がいい。
ヤマハ「TW-E5B」の機能チェック
ゲーミングモード初搭載、ゲームだけでなく動画視聴時にも使える
ヤマハのワイヤレスイヤホンでは初となるゲーミングモード(低遅延モード)搭載。動画視聴やゲームプレイによる音ズレを低減できる。
低遅延スペックは公表されていないが、他社メーカー品に習えば60ms(遅延0.06秒)で抑える程度だろうか。言ったところで今日のワイヤレスイヤホン技術で音ズレを0にするのは不可能だ。
とはいえ、動画を見たり、ポチゲーをプレイする程度であれば音ズレなど無いに等しい。よほど目がいい人を除けば音ズレを認知できないレベルに仕上がってる。
外音取り込み機能は高性能、周囲の音を9割方通す
イヤホンを装着したまま周囲の音が聞き取れる「外音取り込み」機能に対応。
いざ機能ONにすると周囲の音を9割方を通し、イヤホンを付けてないような錯覚を覚える。ホワイトノイズ(サーっといった機械音)もなく、常時機能ONでも気持ち悪くない。
歩行中、運動中くらいであれば安全面を考慮して常時機能ONで使うのもよさそう。
ただ、さすがに骨伝導イヤホンよりは遮音性が残るので自転車走行中などの利用はおすすめできない。
ヤマハ「TW-E5B」の気になったところ(あるいはデメリット)
(価格のわりに)ノイズキャンセリング非対応
ヤマハ「TW-E5B」は価格1.5万円前後の製品だが、ノイズキャンセリングに対応していない。
オーディオ特化のワイヤレスイヤホンとして考えれば妥当な価格設定かもしれないが、昨今だと1万円前後のワイヤレスイヤホンでもノイズキャンセリングに対応する時代とあり、イヤホンよりかはガジェットの観点から見ると割高に感じそう。
ペアリング可能台数が最大3台と少なめ
ヤマハ「TW-E5B」の地味なデメリットがペアリング可能台数。
最大3台のデバイスのペアリング情報しか記録できない。スマホ、タブレット、PCと1台づつ接続すればペアリング枠をすべて使い切ってしまう。
4台目以降は古いデバイスのペアリング情報から上書きされるので、たとえばNintendo Switchだったりスマートウォッチも繋ぎたい人だとペアリング枠が足りなくて辛そう。
昨今だと8台前後のデバイスのペアリング情報が記録できる製品が一般的なので、なにゆえ3台と少ないのか気になるところ...
この記事のまとめ
ここまでヤマハ「TW-E5B」をレビューしてきた。
楽器の音色まで丁寧に描写する、解像度の高いオーディオが映える1品。
もとより楽器メーカー・ヤマハの製品ラインナップとあって、楽器への理解ある人だったり、楽器の音に聞き心地よさ感じる人をメインターゲットにした製品であろうと思っている。
昨今だとノイズキャンセリングや通話マイク性能などガジェットとしての側面を強めたワイヤレスイヤホンが多い。対してヤマハ「TW-E5B」はオーディオメーカーの矜持を貫いた、紛うことなきオーディオ特化のワイヤレスイヤホンといってしまって問題ない。
ワイヤレスイヤホンであってもオーディオにこだわりたい人なら、ヤマハ「TW-E5B」をおすすめしたい。
レビュー対象製品
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