オーディオテクニカの現行フラッグシップモデルに位置づけられる「ATH-TWX9」をレビュー。
多機能の極みを極めたガジェオタ好みの1品。ノイズキャンセリング、マルチポイント、aptX Adaptiveなど最新のトレンド機能はもちろん、イヤホンボタンには累計14個の操作コマンドが割り当てられたり、ケース内部には謎のLED除菌機能を搭載してたりと盛りに盛った。
よくも悪くも多機能すぎて勝手知れない人だと混乱しそうだが、それがまた「フラッグシップを使いこなせてる俺」感を演出できててよき。ガチ向けの本物のフラッグシップを探している人におすすめしたい。
▶ レビュー概略
基本情報
発売時期 | 2022年8月 |
市場価格 | 3.3万円前後 |
販売元メーカー | オーディオテクニカ(国産) |
製品仕様(抜粋)
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
ハイレゾ相当再生 | 対応(aptX Adaptive) |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | △(専用アプリ経由のみ可) |
防水 | 対応(IPX4) |
製品評価
低音 | (4.5) |
中音 | (4.5) |
高音 | (4) |
イヤホンの装着感 | (5) |
ノイズキャンセリング | (4) |
外音取り込み機能 | (4) |
マイク性能 | (4) |
バッテリー性能 | (3) |
イヤホン単体6時間、ケース併用で最大18.5時間 |
ここがGood!!
- 多機能を搭載したガジェオタ向けフラッグシップ
- マルチポイント対応、2台のデバイス間でペアリング切り替えの必要なし
- ノイズキャンセリングは実用水準の静けさ
- 低音域〜中音域を重視した高音質オーディオ
- イヤホンボタンは物理&タッチセンサーのW仕様(操作コマンドの割り当て枠は14つ)
- イヤホン・ケースともに高級感ある仕上がり
ここがBad...
- バッテリー駆動時間は相場よりも短め(ケース併用で最大18.5時間)
- マルチポイントのデバイス切り替え勝手が悪い
- イヤホン・ケースともにホコリが付きがち
こんな人におすすめ
ATH-TWX9 は、機能性とカスタマイズ性に優れたガチ向けフラッグシップモデルを探している人におすすめ。
サイズの異なるイヤーピースが12種類付属。イヤーピースの交換通じてイヤホンの装着感の調整、ノイズキャンセリングの遮音調整、イコライザー調整と組み合わせた音質調整などもろもろ可能だ。
ノイズキャンセリングやマルチポイントなど最新のトレンド機能にも対応。機能性とカスタマイズ性を重視する人だと特に満足度が高そう。
製品カラーリングは1色
カラーリングはブラックのみ
▶ レビュー詳細
この記事の目次(タッチで移動)
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オーディオテクニカ「ATH-TWX9」の製品概要
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、aptX Adaptive |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体6時間 |
ケース併用で最大18.5時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi.(無線) |
専用アプリ | あり(iOS、Android) |
付属品
USBケーブル、イヤーピース、取扱説明書が付属する。
イヤーピースは全12種類を用意。イヤーピースのサイズとノズルの高さ(イヤーピースの高さ)が細かく調整できる。
オーディオテクニカ「ATH-TWX9」のペアリング・マルチポイント仕様
ペアリング仕様抜粋
Google Fast Pair | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | △(専用アプリ経由のみ可) |
新規ペアリングモードの起動方法 | 専用アプリ起動ほか |
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタップで初回のペアリング設定できる。
マルチポイントとは?
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数デバイスのペアリング設定情報が記録できる機能のこと。
1度記録してしまえば次回以降に再度セットアップする必要がなくなり、ケースふたを開くだけでデバイスと再接続できる。
昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング設定情報が記録できる。
ペアリング接続先の上書き切り替えとは?
違うデバイスにペアリング接続先を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。
一部メーカー品であれば現在のペアリング接続を解除せず、デバイスごとのBluetooth設定画面からイヤホン名を選択するだけでそのまま接続先が切り替えられる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケースふたを開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。
2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
新規ペアリングモードの起動方法
初回のペアリング接続はケースから左右イヤホンを取り出せば自動で新規ペアリングモードが起動。
2回目(2台目)以降の場合、iOS・Android向けの専用アプリ「Connect」の「接続機器の管理」ページから「+追加」をタップすれば新規ペアリングモードに切り替えられる。
補足
新規ペアリングモードを手動で起動するための操作コマンドや操作ボタンは用意なし。
2回目(2台目)以降で専用アプリが使えない場合は、既存ペアリングデバイスのBluetoothをオフにして、ペアリング再接続できない状態で数秒放置。そのまま新規ペアリングモードに自動で切り替わるのを待つ必要あり。
複数デバイス間のペアリング切り替え方法
iOS・Android向けの専用アプリ「Connect」を使った場合のみ接続先をワンタップで切り替え可能。都度、現在のペアリング接続を解除する必要はない。
通常どおりBluetooth設定画面を経由してペアリング接続先を切り替える場合、先に現在のペアリング接続を解除する必要あり。
ペアリングを解除するには新規ペアリングモードを起動、あるいは現在のペアリングデバイスのBluetoothをオフにする。
マルチポイント仕様
マルチポイント接続可能台数 | 最大2台 |
オーディオ再生中の音声出力先の切り替え | × |
マルチポイント機能に対応。なにかしらオーディオ再生を開始したデバイス側に自動で音声出力先が切り替わる。
ただ、オーディオ再生中だと音声出力先が切り替わらず。オーディオ再生が停止している状態で、なにかしらオーディオ再生を開始した場合のみ当該デバイス側に自動で音声出力先が切り替わる。
着信通知もオーディオ再生中だと動作不安定。着信すると現在のオーディオ再生が一時停止するものの、着信音は通知されない。PC側でオーディオ再生しながらスマホ側の着信を受けたい人だと勝手を悪く感じそうだ。
マルチポイント接続可能台数
マルチポイントで同時接続できるデバイスの台数のこと。もっぱら2台接続できる製品が一般的。
オーディオ再生中の音声出力先の切り替え
マルチポイントには、現在のオーディオ再生状態に関係なく音声出力先が切り替わるもの、現在のオーディオ再生が停止している場合のみ音声出力先が切り替わるものの2種類あり。
オーディオテクニカ「ATH-TWX9」 の機能レビュー
バッテリーまわりのこと
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体6時間 |
ケース併用で最大18.5時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
バッテリー駆動時間は相場よりも短め。昨今のワイヤレスイヤホンだとケース併用で24時間使えるのがスタンダード。ケース併用で18時間はフラッグシップモデルにしては短め。
ケース充電はUSB Type-Cケーブル使った有線充電、およびワイヤレス充電(Qi充電)にも対応している。
通話マイク仕様
通話時ノイズカット機能 | 対応 |
風切り音カット | ? |
マイク性能は普通。基本的には室内など静かな場所で使いたい。
通話時のノイズカット(周囲の音の見極め&トーンダウン)は機能しているが、ノイズの打ち消し音が音声に残ってる。AirPodsやソニーのワイヤレスイヤホンのようなノイズの打ち消し音すら打ち消してる変態機種に比べると性能は劣る。
風切り音(マイクに風が当たった音)は除去できてない印象あり。屋外で使うと風の音が入り込んでうるさい。
ボタン操作
ボタン種類 | 物理ボタン・タッチセンサー |
操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
装着装着 | 対応 |
イヤホン本体にタッチセンサーボタン、および物理ボタンをW搭載。操作コマンドの割り当て枠は累計14つと業界屈指の変態仕様。
初期状態だと操作コマンドが割り当てられてないのでカスタマイズ必須。カスタマイズはiOS・Android向けの専用アプリ「Connect」から可能だ。
なお、タッチセンサーは機能OFFにも変更可能。誤タッチが鬱陶しい人ならカスタムあれ。
スマホ操作コマンド(割り当て変更可能)
以下の操作コマンドを割り当て可能。
- 音量UP
- 音量DOWN
- 再生/停止
- 曲送り
- 前戻し
- 音声アシスタント起動
- クイックヒアスルー(音量最小&外音取り込み機能ON)
- ノイズキャンセリング←→外音取り込み機能の切り替え
- 低遅延モードON/OFF
- 電池残量の確認アナウンス
- ノイズキャンセリングの最適化
- 割り当てなし(反応なし)
操作コマンドの割り当て枠は以下14つを用意。
▼ タッチセンサー(左右1枠づつ)
- 1回タッチ
- 2回タッチ
- 3回タッチ
- 長押し
▼ 物理ボタン(左右1枠づつ)
- 1回押し
- 2回押し
- 3回押し
通話対応コマンド(割り当て変更可能)
基本的な操作コマンドは以下のとおり(すべて物理ボタン操作)。
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回押し | 着信対応 | |
長押し | 着信終了 | |
(着信時)着信拒否 |
専用アプリを使えば「マイクミュート」「音量調整」など割り当てられるほか、タッチセンサー側コマンドにも通話関連の操作を追加できる。
防水性能
防水性能 | IPX4(IP4) |
防塵性能 | × |
相場相当のIPX4の防水性能あり。雨や汗が防げる。日常使いなら大方問題ない。
専用アプリ
iPhoneとの相性
iPhoneとの相性 | (非常によい) |
AACコーデック | 対応 |
iOS向け専用アプリ | あり |
iPhoneとの相性は非常によい。
iPhoneで主流のBluetoothオーディオコーデックである「AAC」に対応。マルチポイントに関してもiPhoneでも利用できる(マルチポイントに組み込める)。
Androidスマホで使う場合と比べて欠点らしい欠点なし。iPhoneユーザーで使いたい人にもおすすめ。
オーディオテクニカ「ATH-TWX9」の外観デザイン&イヤホン装着感
イヤホンは小っちゃめ
イヤホンサイズはコンパクト。重量は片側5gと相場同等。イヤーピースのサイズさえ調整すれば難なく装着できる。
初期同梱イヤーピースは12種類あり。イヤーピースのサイズもちろんノズルの高さもいじれる。
イヤーピースを付け替えるだけでイヤホンの装着感、遮音具合、音の聞こえ方がもろもろ変わる。普段はデフォルトままのイヤーピースを使っている人でもイヤーピースを付け替えてみると新たな発見あるかもしれない。
個人的なおすすめイヤーピースは「LongのM」。低音の質感を生みつつ、ノイズキャンセリング利用時の遮音性が向上するので体感レベルでの満足度が高め。
充電ケースは革?仕上げの高級仕様
イヤホン同様に充電ケースもコンパクト。数値で言うと縦5cm、横6.5cm、厚み1.5〜3cmほど。握りこぶし一つで包めるサイズ感。男性であればズボンのポケットにしろ胸ポケットにしろ仕舞っておける。
外装には革のような素材を採用(正式な素材名は不明)。しっとりした触り心地。見た目、触り心地ともに高級感ある。
革っぽい素材なので多少なりに汚れてもそれが味になる。ケースカバーをつける必要はないだろう。
底面部も同様に革っぽい素材。机で擦っても擦り傷など付きにくくてよし。
ケース内部には(謎の)除菌モードあり。
深紫外線LEDを使ってイヤーピース表面を除菌。イヤホンをケースに仕舞ってるタイミングで除菌される。
効果のほどは正直よくわからないが、お気持ち程度に受け取っておきたい。
オーディオテクニカ「ATH-TWX9」の音質
低音域〜中音域を重視した聞き心地よいサウンド
低音域〜中音域の描写に力を入れたオーディオテクニカらしい音質。
低音しっかり、ボーカルくっきり、高音域は少しシャンシャン。音場(音の広がり)は広く、音楽ジャンル関わらず無難に80点が出せる仕上がり。
付属イヤーピースが12種類あり、どのイヤーピースを使うかで音の聞こえ方も変わってくるかと思うが、土台の音質はこんな感じ。
イコライザー調整にも対応
iOS、Android向けに配信している専用アプリ「CONNECT」を使ったイコライザー調整に対応。
プリセット変更(音質テンプレ変更)ほか、目盛り単位で細かくチューニングしたオリジナルのイコライザーも作成可能。
12種類あるイヤーピースと組み合わせることで十人十色の音が鳴らせる。イヤーピースとセットでカスタマイズしたい。
一部Androidスマホであれば「aptX Adaptive」(Snapdragon Sound)接続が可能
ATH-TWX9 はBluetoothオーディオコーデック「aptX Adaptive」に対応。
Snapdragon系CPUを搭載した一部Androidスマホと接続すればaptX Adaptive接続になる。一応はSnapdragon Sound名義なので理論上スペックは最大96kHz/24bit(ビットレート最大1.1Mbps)だ。
ただ、あくまでスペックシート上の高音質。aptX Adaptiveはオリジナル音源から音質が劣化するため(非可逆圧縮のため)で耳でわかるレベルの明確な音質の向上は無い。音の波形はたしかにハイレゾかもしれないが、CD以上の高音質を謳うハイレゾとはまた別物なのは理解しておきたい。
ノイズキャンセリング&外音取り込み機能の実力は?
ノイズキャンセリングは実用水準
ATH-TWX9 はノイズキャンセリングに対応。機能ONにすると周囲の音を中和・低減できる。
機能ONにすると明確に遮音を感じられる実用水準の性能だが、そこまで高性能というわけではない。
AirPods ProやBOSEなどノイズキャンセリング最強モデルが周囲の音を”遮断”するのに対して ATH-TWX9 は周囲の音を”中和”するレベルにとどまる。電車やバスの中で使うとわりかし周囲の音が残ったままだ。
また、ノイズキャンセリング利用中だと風切り音(マイクに当たった風の音)がうるさくなる欠点あり。風切り音が全く除去できてない。
概して実用水準のノイズキャンセリング性能ではあるが、AirPods ProやBOSEなどに比べると普通。ノイズキャンセリング狙いの人だと価格に照らして満足度が低くなりそう。
ヒアスルー(外音取り込み機能)は微妙な使い勝手
ATH-TWX9 は外音取り込み機能に対応。機能ONにするとイヤホンマイク通じて周囲の音を集音。イヤホンを装着したままでもスピーカー通じて周囲の音が聞き取れる。
音の取り込みは機能しているが、機能ONにしてもあまり周囲の音が明るくならない。イヤーピースによる物理的な音こもりと相まって、そこまで自然な、高性能な外音取り込み機能とは言えない。
常時機能ONで”ながら聞き”するよりかは、駅のホームアナウンスを聞き取るために一時的に使うくらいが限度かと思う。屋外で歩きながら安全考慮しながらイヤホンを使いたいときは素直に音量を下げたい。
なお、オーディオテクニカ独自の"クイックヒアスルー”機能にも対応。外音取り込み機能をONにすると同時にオーディオ音量を最小に調整できる。通常の外音取り込み機能よりもこっちの方が活用機会は多そうだ。
オーディオテクニカ「ATH-TWX9」 の気になったところ(あるいはデメリット)
空間オーディオ(360 Reality Audio)は実用性なし
ATH-TWX9 はソニーが提供する空間オーディオサービス「360 Reality Audio」に対応。
一部アプリの一部楽曲を立体音響仕様で再生できる。AppleがAirPods向けに提供している空間オーディオのソニー版と言ったところ。
ただ、対応アプリがあまりに少ない。対応アプリは事実上、↑上記の4サービスのみ。「nugs.net」を除く他の3つはお試しアプリに過ぎず、「nugs.net」もまた有料の外国製アプリなので使い勝手は悪い(というか洋楽しか配信なし)。
現時点で実用性らしい実用性は見いだせない。他社メーカーが空間オーディオを実用水準の機能に落とし込みつつある昨今だが、一転してお粗末な空間オーディオだ。
この記事のまとめ
ここまで ATH-TWX9 をレビューしてきた。
機能性とカスタマイズ性に優れたガジェオタ好みのフラッグシップモデルと言ったところ。
付属する12種類のイヤーピースを付け替えることでイヤホンの装着感、遮音具合、音質まで細かく調整できる。専用アプリを使えばソフトウェア側からも音質やノイズキャンセリング強度がいじくれる。カスタムしがいがあるガジェオタ好みの仕上がりだ。
イヤホン・ケースともに革っぽい素材で高級感もよし。ホコリが付きやすいのが難点だが、目で見て、手で触って、体感レベルで満足できる。3万円を出す価値ある紛うことなきフラッグシップモデルとしておすすめしたい。
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