老舗オーディオブランド「Victor」から登場した完全ワイヤレスイヤホン「Victor HA-A30T」。
ニッパーくん... ではなく「イヌホン」として展開される同製品。若者を意識したポップなカラーリングとVictorならではの高音質オーディオを組み合わせ、お値段9,000円とコスパよく仕上げた。
U1万円ながらノイズキャンセリングにも対応。そこまで高性能な遮音効果とは言えないが、それでも耳栓プラスアルファ程度の静けさは得られる。
Victorブランドのコスパよいワイヤレスイヤホンを探している人なら丁度いい1品。特に高音質オーディオは絶対的な評価ポイントとなりそうだ。
▶ レビュー概略
基本情報
発売時期 | 2022年5月 |
市場価格 | 9,000円前後 |
販売元メーカー | Victor(JVCケンウッド)(国産) |
製品仕様(抜粋)
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
ハイレゾ相当再生 | × |
マルチポイント | × |
ペアリング接続先の上書き切り替え | × |
防水 | 対応(IPX4) |
製品評価
低音 | (4.5) |
中音 | (4) |
高音 | (4) |
イヤホンの装着感 | (3.5) |
ノイズキャンセリング | (3) |
外音取り込み機能 | (3.5) |
マイク性能 | (3) |
バッテリー性能 | (3) |
ここがGood!!
- Victorブランドらしさ光る高音質オーディオ
- イヤホンは軽くて小さめサイズ、長時間のイヤホン装着でも疲れない
- 外音取り込み機能ONで音量を最小に自動で調整可能
ここがBad...
- ノイズキャンセリング性能は普通
- タッチ操作コマンドの割り当てが複雑すぎ
- ケースカバーがAmazonなどで全く売ってない
こんな人におすすめ
Victor HA-A30T は、Victorブランドの入門機的ワイヤレスイヤホンを探している人におすすめ。
しっかり響く低音、クリアな高音が噛み合った高音質オーディオがなによりの魅力。音質重視のワイヤレスイヤホンと言ってしまって問題ない。
他方、ノイズキャンセリング性能は弱め。よくも悪くもコンパクトサイズなイヤホンとあり、物理的な遮音性が低い。これに伴いノイズキャンセリングの静けさもマイナスになってしまったのは否めない。
基本的には音質重視のワイヤレスイヤホンを探している人が選ぶべきだろう。ノイズキャンセリング狙いの人にはおすすめできない。
製品カラーリングは5色
カラーリングはグリーン、ブラック、ホワイト、ピンク、ブルーの5色。レビューはグリーンで行う。
▶ レビュー詳細
この記事の目次(タッチで移動)
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Victor HA-A30T の製品概要
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBCのみ |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | × |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間 |
ケース併用で最大21時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
専用アプリ | × |
付属品
イヤーピース(S・M・L)、USBケーブル、取扱説明書が付属。
Victor HA-A30T のペアリング仕様
ペアリング仕様抜粋
Google Fast Pair | 対応 |
マルチポイント | × |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
新規ペアリングモードの起動方法 | 既存ペアリングデバイスのBluetoothをオフにして、ペアリング再接続できない状態にして少し待つ |
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタッチでペアリング設定できる。
マルチポイントとは?
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数デバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。
1度記録してしまえば次回以降に再度セットアップする必要がなくなり、ケースふたを開くだけでデバイスと再接続できる。
昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング情報が記録できる。
ペアリング接続の上書き切り替えとは?
複数デバイス間でペアリング接続を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。
一部のワイヤレスイヤホンであれば現在のペアリング接続を解除せず、ペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面でイヤホン名を選択するだけでペアリングを上書きして切り替えられる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケースふたを開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。
2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
新規ペアリングモードの起動方法
新規ペアリングモードを起動するための操作コマンドやボタンなし。
ケースふたを開いた状態にして、ペアリング再接続できないまま数秒経つと自動で新規ペアリングモードが起動する。
すでに何かしらのデバイスとペアリング設定している場合だとペアリング再接続してしまうため、先にペアリングしたデバイスのBluetoothをオフにしておく必要がある。
複数デバイス間のペアリング切り替え方法
複数デバイス間でペアリング接続を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要あり。
現在のペアリングを解除した状態にして、ペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面からイヤホン名をタップすればペアリングが切り替えられる。
現在のペアリングを解除するには現在のペアリングデバイスのBluetoothをオフにする。
Victor HA-A30T の機能レビュー
バッテリーまわりのこと
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間 |
ケース併用で最大21時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
バッテリー駆動時間は相場同等だが、ノイズキャンセリング常時ONだとイヤホン単体7.5時間、ケース併用で最大17時間と少し短くなる。
充電はUSB Type-Cケーブルで可能。AndroidスマホユーザーならUSB Type-Cケーブルが使いまわせる。
ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず。
通話マイク仕様
通話時ノイズカット機能 | × |
風切り音カット | × |
通話マイク性能は普通。
集音性能は問題ないが、ビームフォーミング(通話時ノイズカット機能)が機能してるも様子なし。騒音のある場所で使うと周囲の音ごと集音して通話転送してしまう。
風切り音(通話マイクに風が当たった音)も除去しておらず、概して普通の通話マイク。基本的には室内など静かな場所で使いたい。
操作コマンド
ボタン種類 | タッチセンサー |
操作コマンドの割り当て変更 | × |
イヤホン本体にタッチセンサー内蔵。オーディオ操作、音声アシスタント起動、通話操作などひととおり可能。
ただ、操作コマンドは業界随一の複雑仕様。他社ワイヤレスイヤホンで類を見ない「5回タッチ」操作があったりする。操作コマンドの割り当て変更もできないので頑張って操作コマンドを覚えるしかない。
スマホ操作コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回タッチ | 再生/停止 | 外音取り込み機能のON/OFF |
2回タッチ | 音量を下げる | 次の曲へ |
3回タッチ | 音量を上げる | 前の曲へ |
4回タッチ | 音声アシスタント起動 | ー |
5回タッチ | 低遅延モードON/OFF | ー |
1秒長押し | バスブーストON/OFF | ノイズキャンセリングON/OFF |
3秒長押し | 電源ON/OFF |
バスブーストとは低音増強モードのこと。
通話対応コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回タッチ | 着信受け | 外音取り込み機能のON/OFF |
(通話中)マイクミュートON/OFF | ||
2回タッチ | 音量を下げる | |
3回タッチ | 音量を上げる | |
5回タッチ | イヤホン通話←→スマホ通話の切り替え | ー |
1秒長押し | 着信拒否 | ノイズキャンセリングON/OFF |
着信終了 |
防水性能
防水性能 | IPX4(IP4) |
防塵性能 | × |
防水性能はIPX4と相場相当。雨や汗が防げる。スポーツ中の利用も問題ない。
低遅延モード
低遅延モード | あり |
ゲーム以外での利用 | 可能 |
低遅延モード搭載。左イヤホンのタッチセンサーを5回連続タッチで低遅延モードがON/OFFできる。
低遅延モードはゲームだけでなく動画再生でも機能する。
ただ、低遅延モードON/OFFによる違いはわかりにくい。音ゲーあたりをプレイする人だと多少なりに恩恵あるかもしれないが、ポチゲーをプレイしたり、動画を視聴するくらいであれば機能OFFままでも大丈夫だと思う。
iPhoneとの相性
iPhoneとの相性 | (普通) |
AACコーデック | × |
iOS向け専用アプリ | ー |
iPhoneとの相性は普通。
iPhoneで主流のBluetoothオーディオコーデックである「AAC」に対応しておらず、下位グレードの「SBC」で接続代替される。
(後述どおり)SBC接続とは思えぬ高音質オーディオを搭載しているが、スペックシート上のマイナス点として一応確認しておきたい。
Victor HA-A30T の外観デザイン&装着感
イヤホンは小ぶりで軽量、ランニング中だとイヤホン揺れが気になりそう
イヤホンサイズは小ぶり。なおかつ重量は片側4gと軽量級。耳が小さい人でもらくらく装着できる。長時間のイヤホン装着で耳が疲れるようなこともない。
ただ、イヤホンのフィット感は微妙。
イヤーピースを耳奥に突き刺して、イヤホン外側を耳甲介で押さえてるだけなのでフィット感に不安が残る。もっぱらランニング中に使うとイヤホン揺れが明確に気になってくる。
ケースサイズはコンパクト、片手で握り隠せる
ケースサイズは非常にコンパクト。数値で言うと縦3.5cm、横5cm、厚さ3cmほど。
握りこぶし1つで握り隠せるサイズ感。男性ズボンのポケットもちろんシャツの胸ポケットにもらくらく入る。
ケース外装素材はプラスチック。プラスチックを磨き上げたマット感あり。サラサラ、ヌメヌメを足して2で割ったような手触りだ。
Victor HA-A30T の音質
低音を土台にした高音質オーディオがなによりの魅力
音質は低音寄りフラット。しっかりと構えた低音。そこそこクリアな中音。明るい高音が混じり合う。
中華イヤホンのようにイタズラに低音だけ強めたチューニングではなく、低音でボーカルが潰れることもない。中音域〜高音域とバランス取りつつ、迫力ある低音サウンドに仕上けてる。
高音域に関しては細かな楽器の音まで描写。それでもって音が刺さることなく、低音の重さを緩和するよきアクセントに。
対応しているBluetoothオーディオコーデックがSBCだけであり音質に不安を覚えそうだが、いざ使うとSBC接続とは思えぬ高音質オーディオで驚く。なにも知らずに使うとAAC接続かと勘違いする。
低音増強モード(バスブースト)あり、高音を抑えたい人なら常時ONで使いたい
左イヤホンのタッチセンサーを1秒長押しで低音増強モードのON/OFFできる。
機能ON/OFFでそこまで明確に音が変わるわけではないが、気持ち高音域の音の鳴りを減らせる。デフォルトで音楽を聞いてて高音域のシャンシャン具合が気になる人だったら機能ONにすると丁度よさそう。
【重点レビュー】ノイズキャンセリング&外音取り込み機能の性能は?
ノイズキャンセリング性能はごく普通、耳栓プラスアルファ程度の静けさ
Victor HA-A30T はU1万円モデルながらノイズキャンセリング機能に対応。機能ONにすると周囲の騒音を低減できる。
とはいえ、遮音効果は価格なり。周囲の音をそれとなく中和・低減するレベルにとどまる。人の話し声などは残っている。少し高性能な耳栓といったところ。
イヤホン自体が遮音性の高い設計構造ではないので、オーディオ再生を止めた状態だと周囲の音は普通に聞こえる。正直なところノイズキャンセリングはそこまでのセールスポイントではない。
同等価格帯のノイズキャンセリング対応製品であればJVC名義で展開される「JVC HA-A50T」やAnkerの「Soundcore Life P3」の方が優秀。ノイズキャンセリングにこだわりたい人だとこちらを検討した方がいい。
外音取り込み機能は効果あり...?
Victor HA-A30T は外音取り込み機能にも対応。機能ONにすればイヤホンを装着したままイヤホンマイクを通じて周囲の音が聞き取れる。機能ON/OFFは右イヤホンの1回タッチで可能。
とはいえ、性能は弱め。イヤホンマイク通じた集音効果が弱く、周囲の音が気持ち明るくなる程度の効果しかない。なんちゃって機能感は否めない。
一方で機能ONにするとオーディオ音量が最小に自動調整される。これにより物理的に周囲の音が聞こえる状況が作れる。本来の外音取り込み機能とは意図が違う気がするが、少しばかり会話するときなどこれはこれで活用できそうだ。
Victor HA-A30T の気になったところ(あるいはデメリット)
タッチ操作コマンドがいびつ(業界随一)
タッチ操作コマンドは業界随一のいびつさ。5回連続タッチ操作とか見たことない。
スマホ操作コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回タッチ | 再生/停止 | 外音取り込み機能のON/OFF |
2回タッチ | 音量を下げる | 次の曲へ |
3回タッチ | 音量を上げる | 前の曲へ |
4回タッチ | 音声アシスタント起動 | ー |
5回タッチ | 低遅延モードON/OFF | ー |
1秒長押し | バスブーストON/OFF | ノイズキャンセリングON/OFF |
3秒長押し | 電源ON/OFF |
通話対応コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回タッチ | 着信受け | 外音取り込み機能のON/OFF |
(通話中)マイクミュートON/OFF | ||
2回タッチ | 音量を下げる | |
3回タッチ | 音量を上げる | |
5回タッチ | イヤホン通話←→スマホ通話の切り替え | ー |
1秒長押し | 着信拒否 | ノイズキャンセリングON/OFF |
着信終了 |
タッチ操作コマンドは割り当て変更できず、すべてデフォルトままで使うことになる。
4回タッチ、5回タッチはタッチしてる途中でカウント計算が止まっているのか、2回タッチ操作、3回タッチ操作で操作代替されてたりする。正直なところ勝手は悪い。
ケースカバーが全く売ってない
ケース傷を防ぐための、あるいはケースを彩るためのケースカバー。
スマホケースの要領でワイヤレスイヤホンのケースにケースカバーを装着している人が多いが、Victor HA-A30T 向けのケースカバーはAmazonなどで全く売っていない。
ケースになぜケースを付けるのだい?という人なら関係ない話だが、どうしてもケースカバーを使いたい人だと拭えぬマイナスポイントになりそうだ。
この記事のまとめ
ここまで Victor HA-A30T をレビューしてきた。
低音を土台にした高音質オーディオはなによりの魅力。音質にこだわりたい人であれば選んでしまって問題ない。
他方、ノイズキャンセリング性能は弱め。セールスポイントと言えるほどの強みではない。ノイズキャンセリング狙いの人だと「JVC HA-A50T」や「Anker Soundcore Life P3」を選んだ方がいい。
よくも悪くも高音質オーディオという強みに特化したシンプルisベストな製品ではある。Victorブランド狙い、高音質オーディオ狙いの人であればおすすめしたい。
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