ワイヤレスイヤホンのトレンド機能の一つ「空間オーディオ再生」(3Dオーディオ再生)。
さながらホームシアタースピーカーでオーディオ再生するような、360度から包み込まれるオーディオ再生がワイヤレスイヤホン再生ながら可能です。
なんちゃって機能から一転、昨今ではAppleやBOSEの空間オーディオ再生が実用水準のレベルに到達。ノイズキャンセリングやマルチポイントと並ぶワイヤレスイヤホンの人気機能となりつつあります。
この記事では、空間オーディオ再生に対応するワイヤレスイヤホンを紹介。うち特におすすめの3製品をピックアップして紹介します。
この記事の目次(タッチで移動)
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空間オーディオ再生の種類&違い
空間オーディオ再生は以下3種類あり
- ソフトウェア依存の空間オーディオ(ドルビーアトモス再生)
- ハードウェア依存の空間オーディオ
- 例外的な空間オーディオ
1. ソフトウェア依存の空間オーディオ(ドルビーアトモス再生)
ソフトウェア依存の空間オーディオとは、ドルビーアトモス(Dolby Atomos)仕様の楽曲データを再生することで擬似的に空間オーディオ再生を再現したもの。
ハードウェアに依存せず(ワイヤレスイヤホンの機能に依存せず)、iPhone・Androidスマホを問わず、音楽データを再生するだけで空間オーディオ再生できます。
ただ、ドルビーアトモス(Dolby Atomos)仕様の楽曲を提供するのはApple MusicとAmazon Musicの2社のみ。YouTubeやNetflixといった主要なアプリはドルビーアトモス(Dolby Atomos)仕様の楽曲を提供しておらず、空間オーディオ再生になりません。
ドルビーアトモス楽曲を提供する音楽サブスク(日本国内向け、2024年10月時点)
- Apple Music
- Amazon Music Unlimited
2. ハードウェア依存の空間オーディオ(この記事の本題)
ハードウェア依存の空間オーディオとは、文字どおりイヤホンハードの機能に依存した空間オーディオ再生のこと。
AppleがAirPods向けに提供する空間オーディオ再生(ステレオを空間化機能)が有名どころ。そのほかGoogle、サムスン、BOSE、Anker、JBLあたりが自社独自の空間オーディオ再生を提供します。
1. ソフトウェア依存の空間オーディオとは異なり、音楽データのフォーマット関係なく(ドルビーアトモス関係なく)空間オーディオ再生が可能。YouTubeやNetflix、任意の音楽サブスクなど事実上あらゆるオーディオを空間オーディオ再生できます。
この記事で取り上げる「空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン」とは、こうした「ハードウェア依存の空間オーディオに対応したワイヤレスイヤホン」のことです。
3. 例外的な空間オーディオ(ソニーの空間オーディオ)
ソニーは自社独自の空間オーディオ・サービス「360 Reality Audio」を提供しているが、これまた特殊。
ソニーのワイヤレスイヤホンを使いつつ、なおかつ「360 Reality Audio」仕様の楽曲を再生する場合に限り空間オーディオ再生できます。
ハードウェア依存の空間オーディオ、ソフトウェア依存の空間オーディオをミックスした感じ。
とはいえ、肝心の「360 Reality Audio」仕様の楽曲を提供しているアプリは少ない。現時点で実用性ある空間オーディオとは言えず。当記事でも特に取り扱いません
360 Reality Audio楽曲を提供している主なアプリ
- 360 by Deezer.
- Airtist Connection.
- nugs.net.
特におすすめの空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホンTOP3
1. BOSE QuietComfort Ultra Earbuds(価格3.6万円)
筆者個人としては一番推したい。空間オーディオの本命機種「BOSE QuietComfort Ultra Earbuds」。
BOSE QuietComfort Ultra Earbuds はBOSEの現行フラッグシップモデル。
BOSE独自の空間オーディオ再生「イマーシブオーディオ」が利用可能。iOS・Android向けの専用アプリから機能ONにすればアプリ関係なく一律で音の鳴り方を変更できます。機能ONにしておけばPC環境でも空間オーディオ再生が可能です。
空間オーディオ再生の完成度は非常に高い。さながらBOSEのホームシアタースピーカーをワイヤレスイヤホン環境で再現した仕上がり。
低音が"ヴォンヴォン”鳴る重たい音に変化。なおかつ、音場は広くなり、音がバラけて拡散していきます。音の迫力と臨場感、それに伴う音の空間や奥行き表現がホームシアタースピーカーそのものです。
空間オーディオ再生に伴う音の劣化もなく、常時機能ONで使ってても気持ち悪さありません。
iPhone、Androidスマホ、いずれの機種でも使える空間オーディオ対応ワイヤレスイヤホンを探している人だと BOSE QuietComfort Ultra Earbuds はまず真っ先におすすめです。
2. AirPodsシリーズ
ワイヤレスイヤホン業界のパイオニアたるApple「AirPods」シリーズ。
iPhone・iPadと接続した場合のみ空間オーディオ再生が可能。アプリ単位で空間オーディオ再生に変更できます。
以前は空間オーディオ再生に対応しないアプリがあったものの、2024年現在、ほぼすべてのiPhoneアプリで空間オーディオ再生が使えるように。
空間オーディオ再生の完成度は非常に高い。音の鳴る位置が明確に変化。電車内で使うと音漏れを心配しだすレベルに音がバラけて拡散していきます。
空間オーディオ再生に伴う音の劣化もなし。むしろ空間オーディオ再生にした方が音の厚みが生まれて高音質に感じる仕上がりです。
空間オーディオ再生をメジャーにした立役者だけあって、いざ興味半分の人でも空間オーディオ再生が何たるかが理解できる完成度の高さあり。iPhone・iPadユーザーなら第1検討候補としておすすめです。
なお、空間オーディオ再生は、以下のiPhone・iPadとAirPodsを接続した場合のみ利用できます(2024年8月時点)。
対応iPhone
- iPhone 7以降のiPhoneすべて
対応iPad
- iPad Pro 12.9(第3世代〜)
- iPad Pro 11
- iPad Air(第3世代〜)
- iPad(第6世代〜)
- iPad mini(第5世代〜)
空間オーディオ再生に対応しているAirPodsは以下のとおり。
Beats製品ではBeats Fit Proのみ空間オーディオに対応している。
ちなみに、Beats Studio Buds +も「空間オーディオ対応」と宣伝されるもののハードウェア依存の空間オーディオ再生には対応せず。あくまでソフトウェア依存の空間オーディオ、ドルビーアトモス楽曲の再生に特化した製品です。勘違い注意。
3. Anker Soundcore Liberty 4(価格14,990円)
2024年現在、空間オーディオの入門機的な存在である「Anker Soundcore Liberty 4」。
Ankerの空間オーディオ再生は、iOS、Android、Windows、Mac関係なく空間オーディオ再生可能。iOS・Android向けの専用アプリから空間オーディオ再生を機能ONにすればハード設定レベルで一律で音の鳴り方を変更できます。
空間オーディオ再生の実力も申し分なし。
もともと低音イヤホンですが、空間オーディオ再生にすると低音が重低音に変化。なおかつ、音場が広くなり、ボーカルとバックミュージックが明確に分離。さながら屋内コンサートホールでの演奏のような音の距離感、臨場感が生まれます。
空間オーディオに伴う音の劣化もほぼなし。ASMRのような落ち着いたトーンのコンテンツとの相性もよさげです。
なお、Ankerワイヤレスイヤホンは他の機種でも空間オーディオ再生に対応する製品がありますが、そこまで空間オーディオの完成度は高くない。もとより空間オーディオ狙いの人だと Anker Soundcore Liberty 4 を選びたい。
そのほか空間オーディオに対応するワイヤレスイヤホンまとめ
JBL(ハーマン)
空間オーディオ再生の完成度:
空間オーディオ対応機種
- JBL TOUR PRO 2(価格2.7万円)
- JBL LIVE BEAM 3(価格2.8万円)
JBLは独自の空間オーディオ再生「空間サウンド」に対応。iOS・Android向けの専用アプリから機能ON/OFFできます。そのままPC/Mac環境での空間オーディオ再生も可能。
空間オーディオ再生の実力は可もなく不可もなく。空間オーディオらしい音の広がりは味わえますが、セールスポイントと言えるほどの音の派手さ、臨場感はありません。空間オーディオ狙いであえて選ぶ製品ではないかと思います。
シャオミ(Xiaomi)
空間オーディオ再生の完成度:
空間オーディオ対応機種
- Xiaomi Buds 5(価格1.2万円)
- Redmi Buds 5 Pro(価格9,000円)
- Redmi Buds 4 Pro(2023年モデル)※公式販売終了
中国シャオミは自社独自の空間オーディオ機能「イマーシブサウンド」を提供。iOS・Android向けの専用アプリから機能ON/OFFできます。そのままPC/Mac環境での空間オーディオ再生も可能。
空間オーディオ再生の完成度は低め。屋内コンサートホールでの演奏のような音の反響・拡散こそ再現できますが、音がものいっそ劣化。というか音が崩れてます。常時機能ONで使うには聴くに耐えないかと思います。
Google Pixel Buds Pro(Pixelスマホのみ対応)
空間オーディオ再生の完成度:?(未検証)
空間オーディオ対応機種
- Pixel Buds Pro 2(価格36,800円)※発売予定
- Pixel Buds Pro(価格23,800円)
Googleの空間オーディオは、PixelスマホとPixel Buds Proを接続した場合のみ機能。他社スマホやPC/Macと接続している場合には利用不可。
なおかつ、すべてのアプリで空間オーディオ再生できるわけではなく、空間オーディオ対応はYouTubeやNetflixなど特定5アプリに限られます(2024年7月時点)。
空間オーディオ対応アプリ
- YouTube
- Netflix
- Disney+
- Google TV
- HBO Max
Galaxy Budsシリーズ(Galaxyスマホのみ対応)
空間オーディオ再生の完成度: (Galaxy Buds3シリーズのみ)
空間オーディオ対応機種
Galaxy Budsシリーズは、一部Galaxyスマホと接続している場合のみサムスン独自の空間オーディオ再生が利用可能。他社スマホやPC/Macと接続している場合には空間オーディオ再生できません。
空間オーディオに対応するGalaxyスマホの条件
- One UI 3.1以上を搭載したGalaxyスマホ(もっぱらGalaxy S10以降の機種)
Galaxy Buds3シリーズに関してのみ、空間オーディオ再生の完成度は高め。音場が広くなり、音量そのままで音の迫力や臨場感が3割増。音の劣化もなく、常時機能ONで使ってても気持ち悪さありません。
Galaxy Buds2シリーズ(あるいはそれ以前の機種)だと空間オーディオ再生の完成度は低め。高音域がかなり劣化。音がカサカサ・スカスカになってしまい聞くに堪えません。
この記事のまとめ
2024年現在、空間オーディオを試してみたい人ならBOSEの「QuietComfort Ultra Earbuds」がおすすめ。さながらBOSEのホームシアタースピーカーを空間オーディオで再現した。興味半分の人でも空間オーディオがなんたるかが理解できます。
iPhone・iPadユーザーならAirPodsシリーズの検討余地あり。なんだかんだで空間オーディオ再生の完成度は高め。電車の中で使うとiPhoneから音漏れしてる錯覚ある、文字どおりの意味で日常に溶け込む空間オーディオなので普段使いするにも最適です。
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