ワイヤレスイヤホンのトレンド機能の一つ「空間オーディオ再生」(3Dオーディオ再生)。
さながらホームシアタースピーカーでオーディオ再生するような、360度から包み込まれるオーディオ再生がワイヤレスイヤホン再生ながら可能です。
なんちゃって機能から一転、昨今ではAppleやBOSEの空間オーディオ再生が実用水準のレベルに到達。ノイズキャンセリングやマルチポイントと並ぶワイヤレスイヤホンの人気機能としてポジション確立しました。
この記事では、空間オーディオ再生に対応するワイヤレスイヤホンを紹介。うち特におすすめの5製品をピックアップして紹介します。
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空間オーディオ再生の種類&違い
空間オーディオ再生は以下3種類あり
- ソフトウェア依存の空間オーディオ(ドルビーアトモス再生)
- ハードウェア依存の空間オーディオ
- 例外的な空間オーディオ
1. ソフトウェア依存の空間オーディオ(ドルビーアトモス再生)
ソフトウェア依存の空間オーディオとは、ドルビーアトモス(Dolby Atomos)仕様の楽曲データを再生することで擬似的に空間オーディオ再生を再現したもの。
ハードウェアに依存せず(ワイヤレスイヤホンの機能に依存せず)、iPhone・Androidスマホを問わず、音楽データを再生するだけで空間オーディオ再生できます。
ただ、ドルビーアトモス(Dolby Atomos)仕様の楽曲データを提供するのはApple MusicとAmazon Musicの2社のみ。
YouTubeやNetflixといった主要なアプリはドルビーアトモス(Dolby Atomos)仕様の楽曲データを提供しておらず、空間オーディオ再生になりません。
ドルビーアトモス楽曲を提供する音楽サブスク(日本国内向け、2025年1月時点)
- Apple Music
- Amazon Music Unlimited
2. ハードウェア依存の空間オーディオ(この記事の本題)
ハードウェア依存の空間オーディオとは、文字どおりイヤホンハードの機能に依存した空間オーディオ再生のこと。
AppleがAirPods向けに提供する空間オーディオ再生(ステレオを空間化)が有名どころ。そのほかBOSE、Anker、JBLあたりが自社独自の空間オーディオ再生を提供します。
1. ソフトウェア依存の空間オーディオとは異なり、音楽データのフォーマット関係なく(ドルビーアトモス関係なく)空間オーディオ再生が可能。YouTubeやNetflix、任意の音楽サブスクなど事実上あらゆるオーディオを空間オーディオ再生化させられます。
この記事で取り上げる「空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン」とは、こうした「ハードウェア依存の空間オーディオに対応したワイヤレスイヤホン」のことです。
3. 例外的な空間オーディオ(ソニーの空間オーディオ)
ソニーは自社独自の空間オーディオ・サービス「360 Reality Audio」を提供していますが、これまた特殊仕様。
ソニーのワイヤレスイヤホンを使いつつ、なおかつ「360 Reality Audio」仕様の楽曲を再生する場合に限り空間オーディオ再生できます。ハードウェア依存の空間オーディオ、ソフトウェア依存の空間オーディオをミックスした感じです。
とはいえ、肝心の「360 Reality Audio」仕様の楽曲を提供しているアプリは少ない。なおかつ、アプリがマイナーすぎて日本語楽曲はほぼゼロに近い状態です。現時点で実用性ある空間オーディオとは言えず。当記事でも特に取り扱いません
360 Reality Audio楽曲を提供している主なアプリ(2025年1月時点)
- 360 by Deezer.
- Airtist Connection.
- nugs.net.
空間オーディオ対応のワイヤレスイヤホン、おすすめTOP5
1. BOSE QuietComfort Ultra Earbuds(価格3.6万円)
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、aptX Adaptive |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体6時間 |
ケース併用で最大24時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
筆者個人としては一番推したい。空間オーディオの本命機種「BOSE QuietComfort Ultra Earbuds」。
BOSE QuietComfort Ultra Earbuds はBOSEの現行フラッグシップモデル。
BOSE独自の空間オーディオ再生「イマーシブオーディオ」に初対応。iOS・Android向けの専用アプリから機能ONにすればアプリ関係なく一律で音の鳴り方を変更できます。機能ONにしておけばPC環境でも空間オーディオ再生が可能です。
空間オーディオ再生の完成度はこれまた非常に高い。さながらBOSEのホームシアタースピーカーをワイヤレスイヤホン環境で再現した仕上がり。
低音が重くなり、音場は広くなり、なおかつ音が360度にバラけて拡散していきます。音の迫力と臨場感、それに伴う音の空間や奥行き表現がホームシアタースピーカーそのものです。
空間オーディオ再生に伴う音の劣化もなく、常時機能ONで使ってても気持ち悪さありません。
価格3.6万円と結構いい値段がしますが、空間オーディオ対応ワイヤレスイヤホンを探している人だと BOSE QuietComfort Ultra Earbuds はまず真っ先におすすめです。
2. AirPodsシリーズ
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | △(Appleデバイス間のみ可) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体5〜6時間 |
ケース併用で最大30時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
※AirPods ProのみMagSafe充電にも対応 |
ワイヤレスイヤホン業界における空間オーディオ再生のパイオニアたるAirPodsシリーズ。
iPhone・iPadと接続した場合のみ空間オーディオ再生が可能。アプリ単位で空間オーディオ再生に変更できます。
以前は空間オーディオ再生に対応しないアプリがあったものの、2025年現在、ほぼすべてのiPhoneアプリで空間オーディオ再生が使えるようになりました。
空間オーディオ再生の完成度は非常に高い。音の鳴る位置が明確に変化。電車内で使うと音漏れを心配しだすレベルに音がバラけて拡散していきます。
音の劣化もなし。むしろAirPodsシリーズだと空間オーディオ再生にした方が音の厚みが生まれて高音質に感じる仕上がりです。
空間オーディオ再生をメジャーにした立役者だけあって、いざ興味半分の人でも空間オーディオ再生が何たるかが理解できる完成度の高さ。iPhone・iPadユーザーなら第1検討候補としておすすめです。
空間オーディオ再生は、以下のiPhone・iPadとAirPodsを接続した場合のみ利用できます(2025年1月時点)。
対応iPhone
- iPhone 7以降のiPhoneすべて
対応iPad
- iPad Pro 12.9(第3世代〜)
- iPad Pro 11
- iPad Air(第3世代〜)
- iPad(第6世代〜)
- iPad mini(第5世代〜)
空間オーディオ再生に対応しているAirPodsは以下のとおり。
Beats製品ではBeats Fit Proのみ空間オーディオに対応します。
Beats Studio Buds +も「空間オーディオ対応」と宣伝されるもののAppleが提供する空間オーディオ再生(ステレオを空間化)には対応せず。あくまでソフトウェア依存の空間オーディオ、ドルビーアトモス楽曲の再生に特化チューニングした製品です。勘違い注意。
3. Anker Soundcore Liberty 4(価格14,990円)
機能の対応有無 | |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応 |
ハイレゾ再生 | 対応(LDAC) |
防水性能 | 対応(IPX4) |
ケースのワイヤレス充電 | 対応(Qi) |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間 |
ケース併用で最大28時間 |
2025年現在、空間オーディオの入門機的な存在である「Anker Soundcore Liberty 4」。
Ankerの空間オーディオ再生は、iOS、Android、Windows、Mac関係なく利用可能。
iOS・Android向けの専用アプリから空間オーディオ再生を機能ONにすればデバイス問わず、アプリ問わず、一律で音の鳴り方を変更できます。
空間オーディオ再生の実力も申し分なし。
もともと低音イヤホンですが、空間オーディオ再生にすると低音が重低音に変化。なおかつ、音場が広くなり、さながら屋内コンサートホールでの演奏のような音の距離感、臨場感が生まれます。
空間オーディオに伴う音の劣化もほぼなし。ASMRのような繊細な音描写が必要なコンテンツとの相性もよさげです。
価格は14,990円。iPhone、Androidスマホ、いずれでも使える空間オーディオ対応ワイヤレスイヤホンとして考えると手頃な価格です。
4. EarFun Air 2 NC(価格7,990円)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IPX5 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間 |
ケース併用で最大40時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
中華メーカー・EarFun(イヤーファン)の中堅モデル「EarFun Air 2 NC」。2024年10月に発売開始した新製品。
同社製品で初の空間オーディオ対応。iOS・Android向けの専用アプリから空間オーディオ再生に変更できます。機能ONにしておけばPC環境でも空間オーディオ再生が可能です。
空間オーディオ再生の完成度は高め。もっぱら低音に特色あり。ホームシアタースピーカーを思わす”ドコドコ”鳴る低音が再現できてます。
それこそ音量そのままで音の迫力が3割増。低音イコライザーとは違った空間オーディオならではの低音の強さが楽しめます。
音場の広さや空間表現では他社メーカー品に劣りますが、空間オーディオ再生ならではの低音の迫力や臨場感を重視する人なら EarFun Air 2 NC との相性よさげです。
5. デノン「PerL Pro」(価格2.1万円)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、aptX Adaptive、aptX Lossless |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体8時間 |
ケース併用で最大32時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
国産老舗・デノン(DENON)が展開するフラッグシップモデル「PerL Pro」。
聴覚チューニングに対応した業界唯一無二の製品。各々の聴覚を測定して、各々の聴覚にとって聴き心地よい高音質サウンドに自動チューニングしてくれます。
空間オーディオ再生にも対応。iOS・Android向けの専用アプリから機能ONにできます。機能ONにしておけばPC環境でも空間オーディオ再生になります。
非常にナチュラルな空間オーディオ再生。音の鳴る位置だけが変わります。音が劣化しないどころか、ほぼ音質に影響を及ぼさず。
空間オーディオ再生は多かれ少なかれ音質に影響が出ますが、この影響を限りなくゼロに。あくまでも音質重視のデノン製品です。
映画館やコンサートホールのような音の反響がほしい人だと地味に感じるかもしれませんが、音質そのままで空間オーディオ再生ならではの音の広がりがほしい人なら PerL Pro は唯一無二の選択肢となるはずです。
【補足】人によってはおすすめ
Galaxy Buds3 シリーズ(Galaxyスマホのみ対応)
韓国サムスンが展開する純正ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds」。
一部Galaxyスマホと接続している場合のみサムスン独自の空間オーディオ再生が可能。他社スマホやPC/Macと接続している場合には空間オーディオ再生できません。
空間オーディオに対応するGalaxyスマホの条件
- One UI 3.1以上を搭載したGalaxyスマホ(もっぱらGalaxy S10以降の機種)
2024年夏にリニュアルした現行モデル「Galaxy Buds3」シリーズであれば実用水準の空間オーディオ再生が使えます。
音場が広くなり、音量そのままで音の迫力や臨場感が3割増。音の劣化もなく、常時機能ONで使ってても気持ち悪さありません。
Galaxy Buds2シリーズでも空間オーディオ再生は使えましたが、あまりに完成度が低く、聞くに耐えませんでした。Galaxy Buds3シリーズであれば空間オーディオ再生狙いの人にもおすすめできます。
現行モデルはスタンダードモデルに「Galaxy Buds3」、上位版モデルに「Galaxy Buds3 Pro」を展開中。
この記事のまとめ
2025年現在、空間オーディオを試してみたい人ならBOSEの「QuietComfort Ultra Earbuds」がおすすめ。
さながらBOSEのホームシアタースピーカーを空間オーディオで再現。興味半分の人でも空間オーディオがなんたるかが理解できます。
iPhone・iPadユーザーなら、やはりまずはAirPodsシリーズを試したいところ。
なんだかんだで空間オーディオ再生の完成度は高め。それこそ電車の中で使うとiPhoneから音漏れしてる錯覚あり。文字どおりの意味で日常生活に溶け込む空間オーディオです。普段使いするにも最適です。
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