ついに登場した「LC3plus」対応のワイヤレスイヤホン「AKG N5 Hybrid」。
AKGはオーストリアの老舗オーディオ・ブランド。表向きオーディオオタク向けの製品ですが、さり気なく「LC3plus」対応とかいうガジェオタ好みの爆弾を仕掛けてきました。
LC3plusは次世代Bluetoothオーディオコーデックの一つ。ハイレゾ音域でオーディオ再生できる音質。および10ms〜20ms(音ズレ0.01秒〜0.02秒)で通信できる低遅延性能を兼ね備えます。
今現在、LC3plusコーデックに対応するスマホは皆無ですが、AKG N5 Hybrid は専用ドングルを介したLC3plus接続に対応。USB Type-Cポートを搭載するデバイスであれば事実上あらゆる製品をLC3plus対応化させられます。
もっぱらiPhoneでハイレゾ再生したい人だったり、Nintendo Switch向けの低遅延ワイヤレスイヤホンを探している人だと魅力的な製品になります。
この記事では、AKG N5 Hybrid を実機レビュー。実際の使い勝手はどうなのか、LC3plusどんな感じなのか、レビューしていきます。
この記事の目次(タッチで移動)
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AKG N5 Hybrid の製品概要
スペックシートを確認
発売時期 | 2024年5月 |
直販価格 | 38,500円 |
販売元メーカー | AKG(オーストリア) |
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
(ドングル接続時のみ)LC3plus | |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | 対応 |
防水性能 | IP54 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体10時間 |
ケース併用で最大40時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
製品概要
AKG N5 Hybrid は、AKG初の完全ワイヤレスイヤホン。2024年5月に発売開始。
AKG(アーカーゲー)はオーストリアの老舗オーディオ・ブランド。モニターヘッドホン製品で有名です。
とはいえ、完全オリジナル製品と言うわけではなく、ハードウェア、ソフトウェアともに JBL TOUR PRO 2 を使いまわしたような印象あり。
...というのもAKGはJBLワイヤレスイヤホンを展開する米ハーマン社(Harman International)傘下のブランド。そのせいか専用アプリはJBLアプリの流用ですし、イヤホン構造もJBL独自の"ショートスティック”構造を流用してます。
カラーリングこそ違いますが、全体的にJBLのフラッグシップモデル「JBL TOUR PRO 2」と瓜二つです。というか流用してますねこれは。
JBL製品との数少ない違いがオーディオ設計(音の方向性)。そしてなにより「LC3plus」対応。
JBLは低音域〜中音域を強めたノリよいサウンドが特徴的ですが、AKG N5 Hybrid は全体的に音がフラット。すっきりクリアで聞き心地よいサウンドです。
AKG N5 Hybrid はLC3plusにも対応。
「LC3plus」は2020年に仕様策定された次世代Bluetoothオーディオコーデック。ハイレゾ音域(24bit/96kHz)でオーディオ再生できる音質。10ms台(誤差0.01秒)で通信できる低遅延性能を併せ持ちます。
今現在、LC3plusに対応するスマホは皆無ですが、AKG N5 Hybrid は専用ドングルを使ったLC3plus接続に対応。
専用ドングルはUSB Type-Cポートに装着可能。iPhone、Androidスマホ、PC、Nintendo SwitchまでもろもろLC3plus対応化させられます。
AKGブランド製品として興味を持っている人を除くと基本的にはLC3plus狙いで購入検討すべきワイヤレスイヤホンになるかと思います。
それこそドングル経由でのLC3plus接続に対応する業界唯一の製品です。(追記:JBLからも同様の製品が登場しました)
AKG N5 Hybrid のデザイン
イヤホンデザイン・装着感
イヤホン構造はまんまJBLワイヤレスイヤホン(JBL TOUR PRO 2)そのもの。
JBLいわくの「ショートスティック構造」、短めの筒が伸びたスティック形状のイヤホンデザインです。全体的にシュッとした印象。
重量配分もバランスよく設計されており、長時間のイヤホン装着でも耳が疲れにくいです。
イヤホンを装着したイメージ。見た目すっきり収まります。マスク紐への引っ掛かりもありません。
イヤーピースは3サイズが付属します。
イヤホン外側にはタッチセンサーボタンを搭載。オーディオや音声アシスタントが操作できます。iOS・Android向けの専用アプリを使えば操作コマンドの割り当て変更も可能です。
操作コマンド
以下3パターンから左右それぞれ1つづつ設定可能。「割り当てなし」(タッチ反応OFF)も選べます。
1. 再生コントロール
操作コマンド | |
1回タップ | 再生/停止 |
2回タップ | 次の曲に進む |
3回タップ | 前の曲に戻る |
1回タップ → 長押し | 音声アシスタント起動 |
2.音量コントロール
操作コマンド | |
1回タップ | 音量+1 |
2回タップ | 音量ー1 |
1回タップ → 長押し | 音声アシスタント起動 |
3. アンビエントサウンドの操作
操作コマンド | |
1回タップ | ノイズキャンセリング切り替え |
2回タップ | Bluetooth接続←→ドングル接続の切り替え |
3回タップ | トークスルーON/OFF |
1回タップ → 長押し | 音声アシスタント起動 |
(左右固定)通話コマンド ※変更不可
操作コマンド | |
2回タップ | 着信対応/終了 |
1回タップ → 長押し | 着信拒否 |
(通話中のみ)マイクミュートON/OFF |
イヤホンの着脱検出にも対応。イヤホンを外すとオーディオ再生が停止。イヤホンを装着し直すとオーディオ再生が開始します。
ケースデザイン
充電ケースは楕円形デザイン。
イヤホン本体こそ JBL TOUR PRO 2 の流用モデルみたいな仕上がりでしたが、ケースはほぼオリジナル設計です。
サイズ的には片手で握り込める大きさ。厚みは3cmほど。ズボンのポケットに入れた状態で座るとちょいモッコリします。
「AKG」のロゴは刻印仕様。経年劣化で剥げることもないかと。
ケースのワイヤレス充電(Qi)に対応。有線で充電する場合にはUSB Type-Cケーブルが必要です(ケーブル同梱あり)。
ケースの上蓋を開いたイメージ。
ケース内部にドングルの収納スペースあり。ドングルが仕舞っておけます。
AKG N5 Hybrid の音質レビュー
音質はフラット
低音 | (4.5) |
中音 | (4.5) |
高音 | (4.5+) |
低音域〜高音域までバランスよく鳴るオーディオ設計。音場も広め。全体的にすっきりクリアで聞き心地よい音です。
無駄に低音強くなく、(LC3plus対応と相まって)奇しくもゲーミングイヤホンとして映えるチューニング具合かと思います。
というか、AKGはモニターヘッドホン大手。モニターヘッドホンならではのフラットかつ精細な音の作りはゲーミングイヤホンに通づる側面あります。それこそ長時間のリスニングでも聞き疲れにくいので、いざゲームを数時間ぶっ通しでプレイするのにも相性いいです。
LDACコーデックにも対応。大方のAndroidスマホであればハイレゾ音域(24bit/96kHz)での高音質オーディオ再生が可能です。
iPhoneはLDAC非対応ですが、ドングル接続時であれば「LC3plus」コーデックで接続可能。iPhoneで使う場合でもハイレゾ再生できます。
イコライザー調整にも対応
iOS・Android向けの専用アプリからイコライザー調整が可能。
「低音増強」「ボーカル重視」など音楽シチュエーションに合わせたプリセット変更が可能。また、目盛り単位の細かなオーディオ・チューニングにも対応します。
空間オーディオ再生にも対応
JBL独自の空間オーディオ再生機能「空間サウンド」に対応(AKGはJBL傘下ブランド)。
音の鳴る位置だけが変わります。(他社に比べて)地味な感じの空間オーディオですが、音質にも影響ないので、音質そのままで空間オーディオらしい音の広がりがほしい人だと丁度いい仕上がりかもしれません。
空間オーディオは機能ONにすればアプリ関係なく一律で空間オーディオ再生に変更されます。機能ON/OFFはiOS・Android向けの専用アプリから可能。
AKG N5 Hybrid の機能レビュー
ノイズキャンセリング
ノイズキャンセリング性能 | (5) |
遮音強度の調整 | 対応 |
ノイズキャンセリング性能は高性能。
機能ONにすれば明確に周囲の音がトーンダウン。低周波音がそのまますり減ります。エアコンや空気清浄機の動作音のような濁音ノイズは大方シャットアウトできます。
ノイズキャンセリング利用に伴うホワイトノイズ(サーっといった機械音)も発生なし。オーディオ再生を停止した状態ならデジタル耳栓代わりに使えます。
ノイズキャンセリングの遮音強度の調整にも対応。遮音が強すぎて耳が痛い(耳が詰まる)人だとカスタムしたい。
外音取り込み機能(ながら聴き機能)
外音取り込み性能 | (4.5) |
音の取り込み量の調整 | 対応 |
イヤホンを装着したままスピーカー経由で周囲の音が聞き取れる「外音取り込み」(ながら聴き)機能に対応。
音の取り込み性能は高性能。機能ONにすると明確に周囲の音が明るくなります。
イヤーピース装着による物理的な音こもり感こそ残りますが、機能そのものの性能で評価すれば優秀。オーディオ音量を小音量にしておけば周囲の生活音や環境音も聞き取れます。"ながら聴き”用途で使うのに最適です。
通話マイク品質
通話マイク性能 | (5) |
通話マイクは高性能。自分の声のピックアップ、周囲の音のノイズ除去、風切り音カットともに機能してます。
ドングル接続した状態であればマイク性能がさらに向上。細かなノイズすらない、そのまま喋っているかのようなクリアな音が転送できます。
ドングルなしの状態でも優秀な通話マイクですが、屋外などで使う場合だとドングルありで通話した方がそのマイク性能がいかんなく発揮できそうです。
マルチポイント・ペアリング切り替え勝手
マルチポイント | 対応(最大2台) |
マルチポイントとLDACの併用 | 対応 |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | 対応 |
ペアリングまわりは非常に優秀。というか、JBLフラッグシップ仕様をそのまま引き継いでます。
マルチポイント機能に対応。最大2台のデバイスを同時接続。なにかしらオーディオ再生を開始したデバイスに自動でオーディオ出力先が切り替わります。
マルチポイントとLDACの併用も可能。他社メーカーだと併用できない場合が多く、これも地味だが堅実なセールスポイントです。
ペアリング接続先の上書き切り替えにも対応。マルチポイント接続外のデバイスにペアリング接続先を切り替えるとき、Bluetooth設定画面からイヤホン名を選択するだけでペアリングが切り替わります。都度、現在のペアリング接続を解除する必要はありません。
「Google Fast Pair」&「音声の切り替え」にも対応。Androidスマホで使う場合なら初回のペアリング設定が簡素化されます。また、Androidデバイス間であれば擬似的なマルチポイント接続&自動切り替えできます。
バッテリー持ち・充電環境
バッテリー性能 | (5+) |
(イヤホン単体10時間、ケース併用40時間) | |
ワイヤレス充電 | 対応(Qi) |
バッテリー駆動時間は優秀。イヤホン単体で10時間、ケース併用で最大40時間のバッテリー持ち。昨今の相場だとケース併用24時間〜30時間くらいです。
なお、ドングル接続時だとイヤホン単体4.5時間、ケース併用で最大18時間止まり。バッテリー持ちが半分になるので注意。
ケースのワイヤレス充電(Qi)にも対応。スマホ向けの充電器がそのまま使いまわせます。有線で充電する場合にはUSB Type-Cケーブルが必要です(付属あり)。
【本命機能】ドングルを使ったLC3plus接続について
そもそものLC3plusとは?
「LC3plus」は2020年に仕様策定された次世代Bluetoothオーディオコーデック。
ハイレゾ音域(24bit/96kHz)でオーディオ再生できる音質。および理論値10ms〜20ms(誤差0.01秒〜0.02秒)で通信できる低遅延性能を併せ持ちます。
2024年現在、LC3plusに対応するスマホは皆無ですが、AKG N5 Hybrid は専用ドングルを噛ませることで、スマホに限らずあらゆるデバイスでLC3plus接続が可能です。
専用ドングルの仕様
AKG N5 Hybrid の専用ドングルはUSB Type-Cポートに装着可能。
同梱の変換アダプターを使えばUSB Type-Aポートにも装着できます。これ以外の変換アダプターの使用は推奨されず(おおよそ対応せず)。
iPhoneで使う場合は自ずとUSB Type-Cポートを搭載したiPhone 15以降のモデルに限られます。Lightningポートを搭載した古いiPhoneだとドングル装着できず。変換アダプター経由で装着してもアクセサリーとして認識しないので注意。
ドングルは縦0.7cm、横2.7cm、厚み1.0cmほど(端子部分を除く)。
端子部分はちょい長め。ドングルを差し込んだときに0.2cmほど浮くように設計。
厚めのスマホケースやSwitchケースの上から装着する場合でもドングルがケースに干渉しにくいです。これ地味なセールスポイントかもしれない。
パススルー充電には非対応。
他社社品だとドングルを外さず、ドングル経由でデバイス本体が充電できる製品がありますが、こうした使い方はできません。デバイス本体への充電都度、ドングルを外す必要があります。
LC3plusの使い勝手は?
LC3plusコーデックが最も活きるのがゲーム。その低遅延性能です。
10ms台(0.01秒台)の低遅延性能とあり、ほぼ音ズレは認知できず。よほど耳がいい変態スナイパーでもない限り、これもう有線イヤホンと変わらぬ使い勝手です。
それこそオープンワールドゲームやシューティングゲームのようなリアルタイムでの音の反応が求められるゲームであっても違和感なくプレイできてます。
AKG製品とあり音質的な側面を重視している人も多いかもしれませんが、音質以上にやはりこの低遅延性能こそが本命ですね。
有線イヤホン感覚で使える低遅延ワイヤレスイヤホンを探している人だとLC3plus対応、遅延10msで通信できる AKG N5 Hybrid は感動ものです。
LC3plusにはハイレゾ・コーデックとしての側面もあり。専用ドングルを噛ませれば、あらゆるデバイスでハイレゾ再生(24bit/96kHz)が可能です。
特にiPhoneだとLDACやaptX Adaptiveが使えないこともあり、LC3plusに対応した AKG N5 Hybrid はハイレゾ再生できる救世主。
ハイレゾ再生ならではの音のザラつきが減って、"なめらか"と表現するのが相応しい音。この感覚がiPhoneでも味わえます。
専用ドングルは挿しっぱなしでも邪魔にならないので、いっそのことドングル常設で使うのもいいかもしれません。
まとめ
【Good!】AKG N5 Hybrid のよかったところ
- 業界で唯一無二となる「LC3plus」対応ワイヤレスイヤホン
- 専用ドングルを使えばデバイス関係なくLC3plus対応化
- モニターヘッドホンを思わすAKGサウンド
- JBLフラッグシップモデル相当の機能盛りだくさん
【Bad...】AKG N5 Hybrid の気になったところ
- 価格が高い(定価38,500円)
- ドングル経由のデバイス充電は非対応(パススルー充電非対応)
AKG N5 Hybrid は、LC3plus狙いの人にこそおすすめしたいワイヤレスイヤホン。
AKG製品とあり、わりとガチなオーディオオタク向けの製品のイメージありますが、「LC3plus対応」なる点を考慮するとガジェオタこそ選ぶべき製品です。
10msで通信できる低遅延性能。そしてAKG製品ならではのモニターヘッドホンを思わすフラットで精細な音が相まり、これもうゲーミングイヤホンですね。
Nintendo SwitchやゲーミングPC向けの低遅延ワイヤレスイヤホンを探している人こそ AKG N5 Hybrid を選ぶべきでしょう。
価格が38,500円と割高ですが、「ドングル経由でLC3plus接続できるワイヤレスイヤホン」としては業界唯一無二の製品です。
AKG N5 Hybrid のおすすめ代替候補
JBL TOUR PRO 3(価格3.9万円)
2024年10月に登場したJBLの新フラッグシップモデル。充電ケースをドングル代わりにLC3plus接続が可能(レビュー記事を見る)。
Anker Soundcore VR P10(価格14,990円)
Ankerのゲーミングイヤホン。物自体はLC3対応ワイヤレスイヤホン。ドングル経由でLC3接続できます。LC3は30msの低遅延仕様。体感レベルではLC3plusと変わらず(レビュー記事を見る)。
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