昨今続々と登場している「LC3」対応ワイヤレスイヤホン(あるいはLC3plus対応ワイヤレスイヤホン)。
LC3は次世代Bluetoothオーディオコーデックの1つ。遅延30ms台で通信できる低遅延性能に強みを持ちます。
また、LC3の上位版コーデックである「LC3plus」であれば10ms台まで遅延低減。ワイヤレスイヤホンをゲーミングイヤホン代わりに使いたい人だと夢のような遅延スペックです。
この記事では、LC3(LC3plus)対応ワイヤレスイヤホンの選び方を解説。おすすめの製品も紹介します。
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LC3(LC3plus)対応ワイヤレスイヤホンの選ぶために知っておきたい基礎知識
LC3とは
LC3は2020年に策定されたBluetooth新規格「LE Audio」で定義されるBluetoothオーディオコーデックの一つ。
特筆すべきはその低遅延性能。LC3なら遅延30ms台、上位版コーデックたるLC3plusなら10ms台で通信できます。いずれも有線イヤホン級の低遅延仕様です。
また、いずれのコーデックもハイレゾ音域での高音質オーディオ再生にも対応します。
LC3対応デバイスは少ない
LC3接続するためにはワイヤレスイヤホン側だけでなく、スマホやPCなどデバイス側もLC3対応する必要あり。
LC3対応のワイヤレスイヤホンが増えてきた昨今ですが、肝心のLC3対応デバイスは少なめ。
Windowsに関してはLC3対応のための仕様要件が明確化されてはいるものの、いざ機能として使えるかはメーカーごとの判断に委ねられます。仕様要件を満たしていてもからなずしも対応しているわけではないので早とちり注意。
LC3(というかLE Audio)はBluetoothの国際業界団体が策定した業界統一規格であり、遅かれ早かれLC3に標準対応するデバイスも増えていくと思われますが、2025年時点ではまだまだ対応デバイスは少なめです。
▼参考情報
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LE Audio(LC3)に対応するAndroidスマホまとめ(2025年時点)
続きを見る
「専用ドングル付きのLC3対応ワイヤレスイヤホン」が現状だとベストな選択肢
2025年6月時点でLC3対応デバイスは少なめ。その弱点を補うべく界隈で人気を博しているのが「専用ドングル付きのLC3対応ワイヤレスイヤホン」。
USB Type-Cポートに装着できる専用ドングルを介して接続。LC3非対応デバイスも含めて事実上あらゆるデバイスをLC3対応化させられます。
通常だとLC3対応しないゲーミングPC、Nintendo Switch、PS5でもLC3接続が可能。
ここ最近のワイヤレス・ゲーミングイヤホンはもれなくドングルを使ったLC3対応ワイヤレスイヤホンだったりします。
もちろんiPhoneやAndroidスマホでも利用可能。USB Type-Cポートを備えるデバイスならもれなく装着&LC3接続できます。
2025年時点でLC3対応ワイヤレスイヤホンを本格的に活用したい人だと「専用ドングル付きのLC3対応ワイヤレスイヤホン」を選ぶのがベストです。
【専用ドングルあり】LC3(LC3plus)対応のおすすめワイヤレスイヤホンはこれ
1. Anker Soundcore VR P10(価格14,990円)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC |
(ドングル接続時のみ)LC3 | |
ノイズキャンセリング | ー |
外音取り込み機能 | ー |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体5.5時間(ドングル接続時は6時間) |
ケース併用で最大22時間(ドングル接続時は24時間) | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
専用ドングル経由でLC3接続できるワイヤレスイヤホンとしては業界最安
モバイルバッテリー大手・Ankerが展開するゲーミングイヤホン「Soundcore VR P10」。
付属の専用ドングルを介したLC3接続に対応。専用ドングルはUSB Type-Cポートに装着可能。USB Type-Cポートを備えるデバイスならもれなくLC3対応化できます。
ゲーミングイヤホンと銘打ってることもあり、Ankerワイヤレスイヤホンでは珍しく明瞭くっきりな音。音場も広めです。
iOS・Android向けの専用アプリを使ったイコライザー調整にも対応。よりゲーム特化のチューニングにカスタムできます。
設定した内容はイヤホン本体側に保存されるため、ドングル接続で使う場合でもイコライザーが引き継げます。
価格14,990円とちょい高めですが、「ドングル経由でLC3接続できるワイヤレスイヤホン」として考えると破格のコスパ。Amazonセール期だと1万円前後で買えます。
とりあえずでLC3対応ワイヤレスイヤホンを探している人だと価格的にも性能的にも丁度いい選択肢になるかと思います。
2. AKG N5 Hybrid(価格3.4万円前後)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
(ドングル接続時のみ)LC3plus | |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IP54 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体8時間(ドングル接続時は4.5時間) |
ケース併用で最大40時間(ドングル接続時は18時間) | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
専用ドングル経由で「LC3plus」に対応する業界で数少ない1品
LC3の上位版コーデック「LC3plus」に対応した(ほぼ)業界初のワイヤレスイヤホン「AKG N5 Hybrid」。
LC3plusは遅延10ms台(誤差0.01秒台)で通信可能。もはや有線イヤホンの勝手そのものです。
AKG N5 Hybrid は、専用ドングルを噛ませて接続することであらゆるデバイスをLC3plus対応化。専用ドングルはUSB Type-Cポートに装着できます。
AKGはモニターヘッドホンで有名なオーディオブランドとあり、AKG N5 Hybrid に関してもモニターヘッドホンらしさある音の明瞭さ、音場の広さあり。
LC3plus対応と相まりゲーミングイヤホンとして映える仕上がりです。
AKG公式的にはゲーミングイヤホンとして売り出していないものの、音質的・仕様的にこれもうゲーミングイヤホンなんですよね。
ゲーミングPCやNintendo Switchで使うためのゲーミングイヤホンとして考えると最高級の仕上がりです。
定価38,500円と割高ですが、昨今だとAmazonなどで4,000円近いポイント還元を常時実施中。相場3.4万円前後で買えます。
3. ソニー「INZONE Buds」(価格2.7万円)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | LC3のみ |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | ー |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体12時間 |
ケース併用で最大24時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
LC3コーデック"のみ"に対応した未来的だがトリッキーな1品
ソニーのゲーミングブランド「INZONE」のワイヤレスイヤホン「INZONE Buds」(型番WF-G700N)。
LC3コーデックに対応。専用ドングル(USB Type-C)が挿せるデバイスならもれなくLC3接続が可能です。
イヤホン単体で12時間使える長時間バッテリーを搭載。
なおかつ、長時間のイヤホン装着でも疲れにくいイヤホン構造を採用しており、ゲーミングイヤホンと銘打つだけある完成度の高さあり。
"ゲーミングイヤホン"としてのLC3対応ワイヤレスイヤホンを探している人であれば選んで間違いない製品です。
ただ、LC3以外のコーデックに対応しない未来的だがトリッキーな仕様あるので注意。
ドングル接続時はもちろん通常のBluetooth接続時(ドングルを使わない状態)でもLC3コーデックしか使えません。SBCやAACなど従来コーデックは一切対応せず。
LC3対応デバイスがそこまで普及してない2025年現在、違うデバイスでオーディオ出力するために都度ドングルごと装着し直す必要があって面倒です。
複数デバイス間でワイヤレスイヤホンを使いまわそうと考えてる人はちょい注意。
4. JBL TOUR PRO 3(価格3.9万円)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
(ドングル接続時のみ)LC3plus | |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体11時間 |
ケース併用で最大44時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
JBLフラッグシップモデル。充電ケースをドングル代わりに「LC3plus」接続が可能
2024年に発売開始したJBLフラッグシップモデル「JBL TOUR PRO 3」。
充電ケースをドングル代わりにしたLC3plus接続に対応。
充電ケース(というかドングル)を専用ケーブル経由でUSB Type-Cポート、あるいは3.5mmイヤホンジャックに装着して使います。
ドングルとはいえ充電ケース。使うシチュエーションによってはサイズ的に邪魔になるかもしれませんが、物自体は「ドングル対応LC3plus対応ワイヤレスイヤホン」です。
充電ケースに搭載したタッチディスプレイを通じてイヤホン操作できるギミックもあり。オーディオ再生をコントロールしたり、空間オーディオの機能ON/OFFできます。
ドングル接続時であってもタッチディスプレイ通じてイヤホン操作できるため、事実上あらゆるデバイスで空間オーディオ再生できます。これ地味なセールスポイントかもしれない。
ドングル代わりの充電ケースがちょい大きめかな... と思うところはありますが、ドングル接続するシチュエーションいかんでは検討余地ある1品です。
BAドライバーを搭載した音質特化モデルとあり、細かな音の描き分けも秀逸。ゲーミングイヤホンとして考えた場合でも音質マッチしてて良いです。
【専用ドングルなし】LC3(LC3plus)対応のおすすめワイヤレスイヤホンはこれ
1. ソニー「LinkBuds」シリーズ(価格2万円〜)
ソニーの「LinkBuds」シリーズは以下3機種がLC3対応。
いずれも追加アップデートでLE Audio解禁。現在ではLC3コーデックが使えます(2025年6月時点)。
なお、専用アプリ通じてLE Audioモードへの切り替えが必要。LE Audioモードに切り替えるとマルチポイント機能が使えなくなるため注意(解説記事)。
1. LinkBuds S(価格2万円)
LinkBudsの見本市モデル。ボーカル重視のソニー・サウンド、高性能ノイズキャンセリング、軽量コンパクトなイヤホン筐体とソニー・ワイヤレスイヤホンの王道スタイルを価格2万円で実現 ▶ レビュー記事を見る
2. LinkBuds Fit(価格2万円)
LinkBudsのハイエンド相当モデル。ソニー自社開発のフラッグシップ相当チップ「統合プロセッサーV2」を搭載 ▶ レビュー記事を見る
3. LinkBuds Open(価格2万円)
"ながら聴き”イヤホン相当モデル。イヤホンを装着したまま周囲の音が聞き取れます ▶ レビュー記事を見る
2. ソニー「WF-1000XM5」(価格3.3万円)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC、LC3 |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体12時間 |
ケース併用で最大36時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
ソニーの現行フラッグシップモデル「WF-1000XM5」
ソニーの通常シリーズライン「WF」シリーズの現行フラッグシップ「WF-1000XM5」。
高性能ノイズキャンセリングとボーカル重視の高音質オーディオに強みを持つ王道フラッグシップです。
追加アップデートでLE Audio解禁。LC3コーデックに対応しました。
LC3を使うためにはイヤホン設定をLE Audio仕様に切り替える必要あり。切り替えるとマルチポイント機能が使えなくなります(ソニーのLE Audio仕様について詳しく見る)。
3. パナソニック「Technics EAH-AZ100」(価格4万円)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC、LC3 |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大3台) |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体10時間 |
ケース併用で最大28時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
Technicsフラッグシップにして唯一のLC3対応モデル
2025年1月に発売開始したTechnicsの現行フラッグシップモデル「Technics EAH-AZ100」。
ワイヤレスイヤホン業界初となる磁性流体ドライバーを搭載した音質特化モデルです。
LE AudioにもTechnicsワイヤレスイヤホンで初対応。LC3コーデックが使えます。
なお、LE Audio仕様に切り替えた場合、マルチポイント、音声アシスタント、空間オーディオ機能が使えなくなります。この点のみ注意(TechnicsのLE Audio仕様について詳しく見る)。
4. オーディオテクニカ「ATH-CKS50TW2」(価格2.2万円)
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LC3 |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
防水性能 | IP55 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体25時間 |
ケース併用で最大65時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
業界No.1の長時間バッテリー搭載モデル(イヤホン単体25時間、ケース併用65時間駆動)
2024年10月に発売開始したオーディオテクニカの現行・上位版モデル「ATH-CKS50TW2」。
業界No.1のスタミナモデルとして知られる同機。イヤホン単体25時間、ケース併用で65時間駆動する変態級スタミナあり。
オーディオテクニカ製品で初となるLE Audio対応。LC3コーデックが使えます。
専用アプリからLE Audio仕様に切り替える必要ありますが、ソニーやTechnicsと異なりLE Audio状態でもマルチポイント機能が使えます。
現状だとLE Audioに切り替えるとマルチポイントが使えなくなる機種(あるいはメーカー)が多く、LE Audio状態でもマルチポイントが使えるのは2025年時点においては明確なメリットです(オーディオテクニカのLE Audio仕様について詳しく見る)。
5. デノン「DENON AH-C840NCW」「DENON AH-C500W」(価格1.3万円〜)
デノンは2025年4月に発売開始した2機種でLE Audio初対応。いずれもLC3コーデックが使えます。
専用アプリからLE Audioモードに切り替え必要。ちなみに、切り替えたあともマルチポイントが機能します。
「DENON AH-C840NCW」はイヤーピースあり版。「DENON AH-C500W」はイヤーピースなし版(オープンイヤー版)。2機種とも物自体はほぼ同型です。
1. DENON AH-C840NCW(価格1.7万円)
デノンシリーズのイヤーピースあり版。ノイズキャンセリング機能が使えます。バッテリー駆動時間もケース併用35時間と長め ▶ レビュー記事を見る
2. DENON AH-C500W(価格1.3万円)
デノンシリーズのイヤーピースなし版(オープンイヤー版)。軽いイヤホン装着感&音の抜け具合に強み。ノイズキャンセリングは非対応。
6. Creative Zenシリーズ(価格3,700円〜)
シンガポールの音響機器製造メーカー「Creative」。
あまり有名な会社ではありませんが、1981年に創業した老舗です。日本国内ではアイ・オー・データ機器(I・O DATA)との合弁会社が公式販売を行っています。
LE Audio対応機種もいくらか展開。いずれも価格1万円以下と安価です。
ただ、LE Audioはβ版仕様であり、まだまだ挙動が不安定な側面あります。実用性の観点から選ぶのは微妙。万人向けの製品とは言えません。
とりあえずでLE Audioをお試ししたい人がチャレンジがてら選ぶべき製品です。
1. Creative Zen Air Plus(価格3,700円)
2025年現在で国内最安級のLE Audio対応ワイヤレスイヤホン。LC3コーデックが使えます。ただ、LE Audioの挙動が不安定なので基本的にはチャレンジャー向けです ▶ レビュー記事を見る
2. Creative Zen Air Pro(価格5,500円)
Creativeの上位版モデル。別売りの専用トランスミッター経由でLC3plus接続も可能ですが、専用トランスミッターが発売されないまま2025年になりました(もともと2023年発売機種)。
まとめ
ここまでLC3対応ワイヤレスイヤホンのおすすめ製品をまとめてきました。
2025年現在だとLC3対応デバイスが少ないこともあり、専用ドングルありのLC3対応ワイヤレスイヤホンを選ぶのが妥当なチョイスかと思います。
コスパで選ぶならAnkerの「Soundcore VR P10」(価格14,990円)がおすすめ。
ドングルありのLC3対応ワイヤレスイヤホンとして考えると破格のコスパ。Amazonセール期なら1万円前後で買えるのでなおよし。
LC3plusが使いたい人なら「AKG N5 Hybrid」(価格3.4万円)。
ワイヤレス再生ながらも遅延10msの世界が堪能できます。ゲーミング用途で使いたい人だと特に相性よし。
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