Ankerワイヤレスイヤホンの新作フラッグシップ「Anker Soundcore Liberty 4」。
Anker独自の空間オーディオ再生に初対応した同作。
映画館の音響のような少しこもり気味な音の増幅&反響を加味。脱ワイヤレスイヤホン級の音場の広さと音の力強さがYouTube動画一つにしろリッチコンテンツに化けさせる魔法のイヤホンに。
ノイズキャンセリングやマルチポイントなど他の機能も盛り盛りだが、本命はやはり空間オーディオだろう。
空間オーディオはiPhone、Androidスマホ、PC/Macでも利用できる。空間オーディオ・デビューしたい人にこそ Anker Soundcore Liberty 4 をおすすめしたい。
【レビュー概略】Anker「Soundcore Liberty 4」
基本情報・スペックシート
基本情報
発売時期 | 2022年10月 |
直販価格 | 14,990円 |
販売元メーカー | Anker(中国) |
スペックシート
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み(ながら聞き機能) | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | △(専用アプリ経由のみ可) |
防水 | 対応(IPX4) |
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間 |
ケース併用で最大28時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
評価ポイント
- 価格1.5万円でワイヤレスイヤホンの主要機能を網羅
- 実用レベルの空間オーディオ再生が可能
- マルチポイント対応、2台のデバイス間ならペアリング切り替えする必要なし
- 高性能ノイズキャンセリング搭載
- ワイヤレス充電(Qi充電)対応
微妙だったところ(あるいは明確なデメリット)
- 低遅延モード(ゲームモード)廃止
- LDAC接続中はマルチポイント機能が使えない
- ヘルスケア機能はそこまで使う機会ない
製品をおすすめできる人
- 空間オーディオ前提のワイヤレスイヤホンを探している人
- ノイズキャンセリングやマルチポイントなど最新機能を使いたい人
Anker Soundcore Liberty 4 は、AirPods路線のガジェット機能を重視したワイヤレスイヤホンを探している人におすすめ。
中でも空間オーディオ再生の完成度は高い。空間オーディオ前提でのオーディオ再生を考えている人であれば Anker Soundcore Liberty 4 を選んで損なし。むしろ空間オーディオ狙いで購入すべきワイヤレスイヤホンだ。
【追記】カスタム版「Anker Soundcore Liberty 4 NC」の発売が開始されました(2023年7月付)
Anker Soundcore Liberty 4 NC レビュー|ノイズキャンセリング強化&50時間バッテリー搭載したカスタムモデル
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▶ レビュー詳細
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Anker Soundcore Liberty 4 の外観・デザイン
イヤホン形状は王道AirPods、クセなく装着可能
イヤホン形状は小ぶり。AirPodsらしい王道スタンダードなイヤホン形状とあり、イヤーピースのサイズさえ調整すれば違和感なく装着できる。
イヤホン重量は6gと相場よりも少し重めだが、イヤホンの重心が自然と内側を向くように設計されているおかげで重量らしい重量は感じない。スペックシート上の重量と比較して思いのほか軽い。
耳から飛び出てるイヤホン面積も少なく、見た目シュッとしたイメージだ。
ケースもコンパクト、ズボンのポケットに入るサイズ
充電ケースは小さめ。数値で言うと縦5cm、横6cm、厚み2.5cmほど。握りこぶし一つで包めるサイズ感。
男性であればズボンのポケットにしろ胸ポケットにしろ仕舞っておけるコンパクトサイズだ。
ケース素材はプラスチック。サラサラしてて触り心地こそいいが、いざ机に放置すると底面部などスリ傷付きやすそうな印象。できればケースカバーを使いたい。
Ankerワイヤレスイヤホンとあり、Amazonあたりを探せば1,000円前後のケースカバーが簡単に見つかる。
Anker Soundcore Liberty 4 の音質
空間オーディオありきで完成する低音イヤホン
デフォルトの音質は低音強め。片側2つのダイナミックドライバーを搭載とあり(いわゆる”A.C.A.A3.0構造”)、従来のAnkerワイヤレスイヤホンよりも低音が強い印象だ。
とはいえ、Anker Soundcore Liberty 4 の本骨頂は空間オーディオ再生。
通常どおりの音質レビューなら「低音強め」で終わりだが、Anker Soundcore Liberty 4 に関しては「空間オーディオのための低音強め」と評価すべき製品だ。
空間オーディオ再生に変更すると通常のオーディオ再生に比べて低音が増幅。高音は反響して音場の広さが増す。
音を聞く満足度は3割増。さながら映画館のような音響に化ける。野良YouTube動画が一転してリッチコンテンツに化ける。まさしくこれは空間オーディオのための低音イヤホンだろう。
Ankerの空間オーディオはiOS、AndroidもちろんWindows PCやMacにも対応。専用アプリから機能ONにすればハードレベルで一律で空間オーディオ再生に変更できる。この汎用性の高さも評価ポイント。
イコライザー調整にも対応
iOS、Android向けに配信している専用アプリ「Soundcore」を使ったイコライザー調整に対応。
音楽シチュエーションに合わせたプリセット変更、パーソナライズ作成したイコライザー変更(HearID)、そのほか完全オリジナルのイコライザー作成も可能だ。
デフォルトの音質だとボーカル(中音域)が引っ込んでるのでボーカル重視で音楽を聞きたい人だとイコライザー調整したい。
なお、イコライザー調整と空間オーディオ再生は併用できない。空間オーディオ再生する場合はデフォルトままの音質になる。
soundcore
無料posted withアプリーチ
一部Androidスマホであれば「LDAC」接続が可能
Anker Soundcore Liberty 4 はBluetoothオーディオコーデック「LDAC」に対応。専用アプリから機能ONにできる。
LDAC対応のAndroidスマホと接続すればハイレゾっぽい高音質なオーディオ再生が可能になる(iPhoneはLDAC非対応)。
LDACとはいえロッシーでありCD音源よりも情報量は少ない。「SBC」「AAC」など通常のオーディオ再生に比べて劇的に音が変わるわけではないが、流行り物が好きな人だと試してみたい。
なお、LDACと空間オーディオは併用できない。空間オーディオ再生する場合はデフォルトままの音質になる。
ノイズキャンセリングの実力は?
ノイズキャンセリングは実用レベル
Anker Soundcore Liberty 4 はノイズキャンセリングに対応。機能ONにすると周囲の音を低減・中和できる。
遮音効果は実用レベル。機能ON/OFFの違いが明確に理解できる。電車やバスの中で使えばガタゴト音がゼロとは言わずも低減され、音量を上げずとも動画のセリフなど聞き取れるようになる。
ホワイトノイズ("サーッ”といった機械音)も全くなく、オーディオ再生を止めれば無音に近い環境に。デジタル耳栓としての利用も現実的だ。
ノイズキャンセリングの強度調整に対応
iOS、Android向けの専用アプリを使えばノイズキャンセリングの強度も調整可能。
よくも悪くも高性能なノイズキャンセリングとあり、ノイズキャンセリングの強度が強すぎて鼻が詰まるような感覚におそわれる人もいるかもしれない。こうした人であれば専用アプリからノイズキャンセリングの強度を弱めたい。
ながら聞きイヤホンとして使える?
ながら聞きイヤホンとしては微妙(無理ではないが...)
Anker Soundcore Liberty 4 は外音取り込み機能に対応。機能ONにするとイヤホンマイク通じて周囲の音を集音。イヤホンを装着したままでもスピーカー通じて周囲の音が聞き取れる。
音の取り込みは機能しており、なんちゃって機能ではない。ただ、取り込み音にこもりと反響あり、聞き辛さある。自然な音の取り込みとは言いがたい。常時機能ONで”ながら聞き”するには辛そうな印象だ。
ながら聞きイヤホンとして使いたい人だと購入を見送った方がいいかもしれない。ながら聞き狙いならソニーの「LinkBuds」やパナソニックの「Technic EAH-AZ40」を選んだ方がいい。
ペアリング・マルチポイント仕様
【概略】ペアリング仕様
Google Fast Pair | × |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続の上書き切り替え | △(専用アプリを使えば可能) |
新規ペアリングモードの起動方法 | ケースのボタンを3秒長押し |
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタッチでペアリング設定できる。
マルチポイントとは?
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数デバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。
1度記録してしまえば次回以降に再度セットアップする必要がなくなり、ケースふたを開くだけでデバイスと再接続できる。
昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング情報が記録できる。
ペアリング接続の上書き切り替えとは?
複数デバイス間でペアリング接続を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。
一部のワイヤレスイヤホンであれば現在のペアリング接続を解除せず、ペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面でイヤホン名を選択するだけでペアリングを上書きして切り替えられる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケースふたを開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。
2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
新規ペアリングモードの起動方法
初回(1台目)ならケースふたを開けばそのまま起動。
2回目(2台目)以降は左右イヤホンをケースに入れ、ケースふたを開いた状態にして、ケース内部にあるペアリングボタンを3秒長押しで新規ペアリングモードに切り替わる。
あるいは、iOS、Android向けの専用アプリの「マルチポイント接続」項目から「新しい機器と接続する」をタップでも新規ペアリングモードが立ち上げられる。
複数デバイス間のペアリング切り替え方法
iOS、Android向けの専用アプリを使った場合に限り、ワンタップで接続 or 接続解除できる。
通常どおりBluetooth設定画面を経由して接続先を切り替える場合だと先に現在のペアリングを解除する必要あり。
ペアリングを解除するには新規ペアリングモードを起動、あるいは現在のペアリングデバイスのBluetoothをオフにする。
マルチポイント仕様
マルチポイント接続可能台数 | 最大2台 |
オーディオ再生中の音声出力の切り替え | △(着信のみ可) |
マルチポイント機能に対応。なにかしらオーディオ再生を開始するだけで当該デバイス側に自動で音声出力先が切り替わる。
ただ、オーディオ再生中だと音声出力先が切り替わらず。先にオーディオ再生を停止させておく必要がある。
着信時に限り、現在のオーディオ再生の有無関係なく着信デバイス側に音声出力先が切り替わり、イヤホンに着信音が通知される。そのままイヤホンのボタン操作で着信対応も可能だ。
マルチポイント接続可能台数
マルチポイントで同時接続できるデバイスの台数のこと。もっぱら2台接続できる製品が一般的。
オーディオ再生中の音声出力先の切り替え
マルチポイントには、現在のオーディオ再生の有無関係なく音声出力先が切り替わるもの、現在のオーディオ再生が停止している場合のみ音声出力先が切り替わるものの2種類あり。
なおかつ、後者の「現在のオーディオ再生が停止している場合のみ音声出力先が切り替わるもの」だと着信時に限り、現在のオーディオ再生の有無関係なく音声出力先が切り替わる製品が存在する。
細かな機能レビュー
バッテリー持ち・充電環境
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体9時間 |
ケース併用で最大28時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)、Qi(無線) |
バッテリー水準は優秀。イヤホン単体9時間、ケース内充電を含めれば最大28時間使える。
ケース充電は有線充電ほかワイヤレス充電(Qi充電)も使えて勝手よし。
通話マイク仕様
通話時ノイズカット機能 | 対応 |
風切り音カット | 対応 |
通話マイク性能は優秀レベル。
通話時ノイズカット、風切り音カットともに機能している。周囲の音がゴニョゴニョとした感じに中和・低減され、口元の音だけを極力拾って通話転送してくれる。
多少なりにうるさい場所であっても使えるし、在宅で使うなら十分すぎるマイク性能。
なお、初期状態では風切り音カットが機能オフに設定してある。オンにするには専用アプリを使って設定変更する必要あり。
ボタン操作
ボタン種類 | 感圧ボタン |
操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
イヤホン側面に感圧ボタンあり。軽くつまむだけで操作できる。
感圧ボタンのセンサー感度は安定。軽く触れただけだと反応しないので誤タッチ動作は少ない。センサー感度は専用アプリから調整できる。
スマホ操作コマンド(割り当て変更可能)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回押し | 次の曲へ進む | 再生/停止 |
2回押し | 前の曲へ戻る | 音量アップ |
3回押し | ノイズキャンセリング←→外音取り込み機能 | 音量ダウン |
上記すべての項目を割り当て変更可能。音声アシスタントの起動コマンドも用意あり。
通話対応コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン | |
2回押し | 着信対応/終了 | |
3回押し | 着信拒否 |
イヤホン着脱検出(装着検出)
イヤホンの着脱検出(装着検出) | 対応 |
オーディオ再生中にイヤホンを耳から外すとオーディオ再生が自動停止。イヤホンを耳に装着し直すとオーディオ再生が自動開始する。
ただ、イヤホン装着時のオーディオ再生開始が機能してない(筆者個体の問題か、製品全般の問題かはわからない)。
着脱検出は初期状態だと機能オフ。使うには別途専用アプリから機能オンにする必要あり。
防水性能
防水性能 | IPX4(IP4) |
防塵性能 | × |
相場一般的なIPX4の防水性能あり。雨や汗が防げる。日常使いで特段に困ることはない。
低遅延モード
低遅延モード | × |
遅延性能 | × |
ゲーム以外での利用 | × |
低遅延モード(ゲームモード)の搭載なし。他のAnkerワイヤレスイヤホンだと搭載する製品があるが、省かれてしまったよう。
専用アプリ
専用アプリ | あり(iOS、Android) |
イコライザー調整 | 対応 |
操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
低遅延モードON/OFF | × |
イヤホンを探す | × |
※アプリのファームウェア04.23時点
iOS、Android向けの専用アプリ「Soundcore」が利用可能。
接続先デバイスの指定 or 接続解除も専用アプリ上で行う。複数デバイス間でワイヤレスイヤホンを使いまわそうと考えている人であればアプリも含めて重宝しそうだ。
soundcore
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iPhoneとの相性
iPhoneとの相性 | (非常によい) |
AACコーデック | 対応 |
iOS向け専用アプリ | あり |
iPhoneとの相性は非常によい。
iPhoneで主流のBluetoothオーディオコーデックである「AAC」に対応するほか、専用アプリもそのまま利用可能。イコライザー調整など可能だ。
マルチポイントに関してもiPhoneでも問題なく利用できる(マルチポイントに組み込める)。
Anker Soundcore Liberty 4 の気になったところ(あるいはデメリット)
ヘルスケア機能を使う機会は少ない(外部アプリと連携できず)
Anker Soundcore Liberty 4 はAnkerの完全ワイヤレスイヤホンで初となるヘルスケア機能に対応。イヤホン通じた心拍数の測定やストレスチェック、アクティビティの記録など可能だ。
測定できるデータ
- 運動アクティビティ
- 心拍数
- ストレスチェック
- 姿勢チェック
ただ、「Google Fit」はじめとしたサードパーティアプリと連携できず、あえて同アプリ経由(イヤホン経由)で健康データを測定するメリットなりモチベーションを見いだせないのが正直なところ。
もとよりヘルスケア機能狙いの人なら外部連携の勝手いいリストバンド型デバイスなど使った方がいい。
低遅延モード(ゲームモード)廃止
Ankerワイヤレスイヤホンの上位版モデルだと標準搭載していた低遅延モード(ゲームモード)だが、Anker Soundcore Liberty 4 ではなぜか廃止された。
Anker Soundcore Liberty 4 は遅延が目立つワイヤレスイヤホンではなく、動画を見る程度ならなんら違和感ない。ただ、それでもスマホゲームなどがっつりプレイしたい人だと低遅延モードが使えないのは心証面でデメリットと感じるかもしれない。
この記事のまとめ
ここまで Anker Soundcore Liberty 4 をレビューしてきた。
機能性重視のAnkerワイヤレスイヤホンの正統進化系といったところ。
特にAnkerワイヤレスイヤホンで初対応した空間オーディオ再生の完成度が高い。ただの低音イヤホンが一転して映画館のような重低音サウンドに変わる。音場の広さと音の力強さは脱ワイヤレスイヤホン級だ。
バッテリー駆動時間を評価する人だと事実上の競合たる Anker Soundcore Space A40 がおすすめだが、空間オーディオ再生を使いたい人であれば Anker Soundcore Liberty 4 を選びたい。
レビュー対象製品
ケースカバーはこれがおすすめ
プライム発送で価格900円前後。
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