老舗オーディオ・ブランド「Victor」から登場した耳をふさがないイヤホン「nearphones」(型番:HA-NP35T)。
イヤホンを装着したままでも周囲の音が聞き取れる、さながら骨伝導イヤホンのワイヤレスイヤホン版。
骨伝導イヤホンのように頭を締め付けず、眼鏡をかけるようにして装着できるので長時間とイヤホンを装着しっぱなしでも疲れない。
”ながら聴き”イヤホンとして注目を集めるソニー「LinkBuds」のような骨伝導イヤホン代わりに使えるワイヤレスイヤホンを探している人におすすめ。価格は1.1万円とLinkBuds(同2.3万円)に比べて安いのも見逃せない。
▶ レビュー概略
基本情報
発売時期 | 2022年6月 |
市場価格 | 1.1万円前後 |
販売元メーカー | Victor(JVCケンウッド)(国産) |
製品仕様(抜粋)
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | × |
ハイレゾ相当再生 | × |
マルチポイント | × |
ペアリング接続先の上書き切り替え | × |
防水 | 対応(IPX4) |
製品評価
低音 | (3.5) |
中音 | (4) |
高音 | (4) |
イヤホンの装着感 | (4) |
ノイズキャンセリング | - |
外音取り込み機能 | - |
マイク性能 | (4) |
バッテリー性能 | (2) |
ここがGood!!
- 耳周りの開放感抜群(骨伝導イヤホン代わりに使える)
- イヤホンの装着感よし、眼鏡をかけてるような安定感
- マイク性能は優秀、うるさい場所でも口元の音を検出してくれる
ここがBad...
- バッテリー駆動時間は短め(ケース併用17時間)
- 低音は弱め(低音が抜ける)
- ケースサイズが大きめ、エクレア菓子のようなフォルムに
こんな人におすすめ
nearphones は、骨伝導イヤホン代わりに使えるワイヤレスイヤホンを探している人におすすめ。
イヤーピースを使わず、耳元にスピーカー部分を当てて使うだけなのでイヤホンを装着したままでも周囲の音が聞き取れる。
昨今だと「外音取り込み機能」を使って機械的に周囲の音を取り込むワイヤレスイヤホンが増えているが、これよりも圧倒的に耳周りの開放感あり。それこそ勝手で言えば骨伝導イヤホンそのものだ。
一方で音質は微妙。やはり低音が抜ける。Victorブランド製品とあって音質も期待している人がいるかもしれないが、よくも悪くも音を聞くためのイヤホン。この点は先に理解しておきたい。
製品カラーリングは3色
カラーリングはホワイト、ブラック、ネイビーの3色。レビューはホワイトで行う。
▶ レビュー詳細
この記事の目次(タッチで移動)
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Victor nearphone(HA-NP35T)の製品概要
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.1 |
Bluetooth対応コーデック | SBCのみ |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | × |
マルチポイント | × |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体7時間 |
ケース併用で最大17時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
付属品
USBケーブル、取扱説明書が付属。
イヤーピースを使わないイヤホンなのでイヤーピースの付属なし。
Victor nearphone(HA-NP35T)のペアリング仕様
ペアリング仕様抜粋
Google Fast Pair | × |
マルチポイント | × |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
新規ペアリングモードの起動方法 | ペアリング再接続できない状態で数秒放置 |
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタッチでペアリング設定できる。
マルチポイントとは?
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数デバイスのペアリング設定情報が記録できる機能のこと。
1度記録してしまえば次回以降に再度セットアップする必要がなくなり、ケースふたを開くだけでデバイスと再接続できる。
昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング設定情報が記録できる。
ペアリング接続先の上書き切り替えとは?
複数デバイス間でペアリング接続を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。
一部のワイヤレスイヤホンであれば現在のペアリング接続を解除せず、ペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面でイヤホン名を選択するだけでペアリングを上書きして切り替えられる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケースふたを開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。
2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
新規ペアリングモードの起動方法
新規ペアリングモードを起動するための操作コマンドやボタンなし。
ケースふたを開いた状態にして、ペアリング再接続できないまま数秒経つと自動で新規ペアリングモードが起動する。
すでに何かしらのデバイスでペアリング設定している場合だとペアリング再接続してしまうため、先にペアリングしたデバイスのBluetoothをオフにしておく必要がある。
複数デバイス間のペアリング切り替え方法
違うデバイスにペアリング接続先を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要あり。
現在のペアリングデバイスのBluetoothをオフにすればペアリング解除。その状態でペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面からイヤホン名をタップすればペアリングが切り替えられる。
Victor nearphone(HA-NP35T)の機能レビュー
バッテリーまわりのこと
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体7時間 |
ケース併用で最大17時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
バッテリー駆動時間は相場よりも短め。昨今だとケース併用で20時間〜30時間使える製品が一般的だが、Victor「nearphones」はケース併用で17時間。
充電はUSB Type-Cケーブルで可能。AndroidスマホユーザーならUSB Type-Cケーブルがそのまま流用できる。
ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず。
通話マイク仕様
通話時ノイズカット機能 | 対応 |
風切り音カット | × |
通話マイク性能は優秀。
イヤホン片側2つのマイクを使ったビームフォーミング機能(通話時ノイズカット機能)に対応。口元の音を主として通話転送してくれる。
周囲の音は完全には除去できないが、それでも気持ち7割くらいの音が中和・低減。テレビの音が流れる場所で使っててもテレビの音だけピンポイントにボリュームダウンして口元の音を検出してくれる。
操作性
ボタン種類 | タッチセンサー |
操作コマンドの割り当て変更 | × |
イヤホン本体にタッチセンサー内蔵。オーディオ操作、音声アシスタント起動、通話対応などひととおりタッチで可能。
ボタンのタッチミスは少ない。2回タッチ、3回タッチもきちんと回数分がカウントされる。
通話中のマイクミュート操作コマンドあり。通話中に1回タッチでミュートON/OFFできる。
スマホ操作コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回タッチ | 再生/停止 | |
2回タッチ | 音量を下げる | 次の曲へ |
3回タッチ | 音量を上げる | 前の曲へ |
1秒長押し | 音声アシスタント起動 |
通話対応コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回タッチ | 着信対応 | |
1秒長押し | 通話終了、着信拒否 | |
1回タッチ(通話中のみ) | マイクミュートON/OFF |
防水性能
防水性能 | IPX4(IP4) |
防塵性能 | × |
防水性能はIPX4と相場相当。雨や汗は防げるでのスポーツ中の利用も問題ない。
iPhoneとの相性
iPhoneとの相性 | (普通) |
AACコーデック | × |
iOS向け専用アプリ | ー |
iPhoneとの相性は普通。
iPhoneで主流のBluetoothオーディオコーデックである「AAC」に対応しておらず、下位グレードの「SBC」で接続代替される。オーディオ再生は問題なく行える。
もとより同製品は「SBC」しか対応していないのでAndroidスマホで使う場合でも「SBC」接続になる。また、専用アプリはAndroid版を含めて提供なし。
Androidスマホで使う場合と比べて条件はほぼイーブンでiPhoneだからといって割を食う要素はない。
Victor nearphone(HA-NP35T)の外観デザイン&装着感
イヤホンの装着感は安定、眼鏡をかけるようにして使える
イヤホンの装着感は安定。眼鏡のツルだけを耳にかけるようにして装着できる。
イヤホン重量は片側13gと一般的な耳栓型のワイヤレスイヤホン(5g〜8g)に比べて重めだが、耳全体で重量を支える構造のため、さして重さを感じることはない。
イヤホン揺れも極めて少なく、運動中などに使いたい人でも安心だ。
イヤホンの伸縮部分はシリコン素材で折り曲げられる。これにより耳の形や大きさ問わず、装着角度が調整できる。
眼鏡との併用もなんとか可能。ただ、耳元の窮屈感は否めない。
ケースは大きめ、ほぼエクレアサイズ
ケースサイズは他社ワイヤレスイヤホンよりも大きめ。数字で言うと縦6cm、横11cm、厚み3.5cmほど。
ファーストインプレッションで「これはエクレアだ」と感じるサイズ感。というかフォルム。あまりにエクレアすぎて逆に愛おしい。
厚みが3.5cmと相当に分厚いので男性ズボンのポケットに入れておくとモッコリする。基本的にはカバンにしまっておきたい。
Victor nearphone(HA-NP35T)の音質
音質は中音域〜高音域メイン、低音は弱く感じる
音質は中音域〜高音域がメイン。ボーカルや高音域の楽器の音がきれいに描写される。
ドライバーサイズは16mmと大口径だが、やはり開放感のあるイヤホンとあってか低音は弱く感じる。
スピーカー部分を耳穴に押し当てると、もっとしっかりと低音が出てる。耳穴とスピーカーが密着していない分、低音が抜けてしまい、スピーカーが鳴らしている実際の低音よりも弱々しく感じてしまうのは否めない。
その結果か、音として明確に認知できるのは中音域〜高音域。低音域は弱い。
専用アプリなし、イコライザー調整不可
iOS、Androidどちらにも専用アプリの配信なし。イコライザー調整(音質カスタム)には対応せず。
【重点レビュー】遮音性(音漏れ具合)について
開放感は抜群、イヤホン装着したまま周囲の音が聞き取れる
イヤホン装着時の開放感は骨伝導イヤホンそのもの。物理的に耳穴をふさいでいないので、ごくごく普通に周囲の音が聞き取れる。
先に登場した"耳をふさがないイヤホン"ことソニー「LinkBuds」だと穴の空いたイヤホンを耳穴に突っ込むので多少なりに遮音されてた。
対してVictor「nearphones」は耳穴すらふさいでない。あくまでも耳穴の上にスピーカーを当ててるだけだ。
屋外を歩いているときに使えば、オーディオ再生している状態であっても自動車の走行音はもちろん周囲の人の話し声も聞こえる。
なお、自転車やバイク走行中でも問題なく使えるとは思うが、Victor(JVCケンウッド)の公式見解としては自転車やバイク走行中のイヤホン利用を禁じているので、その点は理解しておきたい。
音漏れはそこまで心配する必要なし
音漏れは意外にも少ない。
よほど静かな場所でもない限りは、あるいは音量MAXにでもしない限りは、周囲50cmくらいの近距離にいる人でも音漏れを認知するのは難しいと思う(個人差あるかもしれないが)。
Victor公式いわくの”指向性を適切にコントロールしたイヤホン設計”、特定の方向のみに音が流れるよう物理的に設計されてる。下手な骨伝導イヤホンよりも圧倒的に音漏れが少ない。
Victor nearphone(HA-NP35T)の気になったところ(あるいはデメリット)
音質重視のワイヤレスイヤホンではない
低音域がかなり弱い。というか弱く感じるイヤホン。
よくも悪くも"耳をふさがないイヤホン”であって、イヤホンスピーカーと耳穴の間にスペースが空いている。このスペースのせいで低音が抜けてしまい、ほぼ中音域〜高音域の音しか聞こえないイヤホンに成り果ててる。
Victorブランド製品とあり高音質を期待している人もいるかもしれないが、少なからず「nearphones」は音質重視のワイヤレスイヤホンではない。この点、理解しておきたい。
この記事のまとめ
ここまでVictor「nearphones」をレビューしてきた。
耳をふさがないイヤホンとしては完成してる。骨伝導イヤホンのようなポジションで使いまわしたい人に文句なしにおすすめ。
他方、そこまで音質にこだわったワイヤレスイヤホンではない。Victorブランド製品とあり高音質なイメージがあるかもしれないが、よくも悪くも音を聞くためのイヤホンだ。この点は先に理解しておきたい。
テレワークやスポーツ中に使えるイヤホンを探している人、骨伝導イヤホン代わりに使えるワイヤレスイヤホンを探している人などVictor「nearphones」を試してみてはどうだろうか。
レビュー対象製品
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