中華イヤホンが闊歩するアンダー1万円ワイヤレスイヤホン界隈で奮闘している数少ない非中華イヤホンがある。
それが、今回レビューする「Jabra Elite 3」。
Jabra(ジャブラ)は、1869年に創業したデンマーク「GN」グループが手がけるオーディオブランド。「Jabra Elite 3」は2021年9月に発売開始した最新モデルの位置づけ。価格8,000円ほどで購入できる。
ノイズキャンセリング(ANC)はじめとした最新トレンド機能こそ搭載しないが、高音質オーディオ、および安定したイヤホンの装着感を強みに王道のオーディオ路線を貫く。IP55の防水・防塵性能も備えるのでスポーツイヤホンとして使いたい人でも丁度いい。
コスパを求めるだけなら中華イヤホンでも十分だが、プラスアルファで製品ブランドもこだわりたい人だと「Jabra Elite 3」がおすすめ。
Jabra Elite 3 製品評価
発売時期 | 2021年9月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
▼ 主要機能の対応有無
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | × |
ハイレゾ相当再生 | × |
▼ Jabra Elite 3 の製品評価
低音 | (4) |
中音 | (4.5) |
高音 | (3.5) |
イヤホンの装着感 | (5) |
ノイズキャンセリング | - |
外音取り込み機能 | (2) |
マイク性能 | (4.5) |
バッテリー性能 | (4) |
ここがGood!!
- イヤホンの装着感が抜群によい
- 中音域を土台にした明瞭サウンド、ボーカルが聞き取りやすい
- 「aptX」コーデック対応、Androidスマホ接続ならより高音質に
- 防水防塵対応(IP55)、汗、雨、砂、イヤホンの水洗いに耐えられる
- ケース併用28時間使えるロングバッテリー搭載
ここがBad...
- 外音取り込み機能は性能弱め、実用性は低い
- 上位版モデルでは標準搭載の「マルチポイント」非対応
- 「AAC」コーデック非対応、iPhoneとの相性悪い
製品カラーリングは4色
カラーリングはネイビー、グレー、ベージュ、ライラック(薄紫)の4色。レビューはネイビーで行う。
この記事の目次(タッチで移動)
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Jabra Elite 3 の製品概要
スペックシート抜粋
Bluetoothバージョン | 5.2 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、aptX |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | × |
防水性能 | IP55 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体7時間 |
ケース併用で最大28時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
専用アプリ | あり(iOS、Android) |
Jabra Elite 3 のペアリング仕様
ペアリング仕様抜粋
Google Fast Pair | 対応 |
マルチポイント | × |
マルチペアリング | 対応(最大6台) |
ペアリング接続の上書き切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
新規ペアリングモードの起動方法 | 左右イヤホンのボタンを同時に3秒押し |
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、専用のポップアップ画面からワンタッチでペアリング設定できる。
マルチポイントとは?
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数デバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。
1度記録してしまえば次回以降に再度セットアップする必要がなくなり、ケースふたを開くだけでデバイスと再接続できる。
昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング情報が記録できる。
ペアリング接続の上書き切り替えとは?
複数デバイス間でペアリング接続を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。
一部のワイヤレスイヤホンであれば現在のペアリング接続を解除せず、ペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面でイヤホン名を選択するだけでペアリングを上書きして切り替えられる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケースふたを開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。
2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
新規ペアリングモードの起動方法
新規ペアリングモードの起動方法は簡単。
左右イヤホンのタッチボタンを同時に3秒長押しするだけ。
なお、初回(デバイス1台目)のペアリングであればケースふたを開くだけで新規ペアリングモードが起動する。
複数デバイス間のペアリング切り替え方法
複数デバイス間でペアリング接続先を切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要あり。
現在のペアリングを解除して、ペアリングを移したいデバイスのBluetooth設定画面からイヤホン名をタップすればペアリングが切り替えられる。
現在のペアリングは新規ペアリングモードを起動すれば解除できる。あるいは現在ペアリングしているデバイスのBluetoothをオフにすることでも代替可能。
Jabra Elite 3 の機能レビュー
バッテリーまわりのこと
バッテリー駆動時間(通常時) | イヤホン単体7.5時間 |
ケース併用で最大28時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
ケースの充電ポートはUSB Type-C。AndroidスマホユーザーならUSB Type-Cケーブルがそのまま使いまわせる。
急速充電にも対応。オーディオ再生60分相当のバッテリーが10分で充電できる。
ケースのワイヤレス充電(QI充電)には対応せず。
通話マイク仕様
通話時ノイズカット機能 | 対応 |
風切り音カット | × |
アンダー1万円ワイヤレスイヤホンの中ではトップクラスの通話マイク性能。
イヤホン片側2つのマイクを使って口元の音と周囲の音を聞き分け。通話先には(極力)口元の音だけ転送してくれる。いざ使うと騒音のある場所でも口元の音7:周囲の音3くらいの比率で通話転送される。
いかんせんアンダー1万円のワイヤレスイヤホンだと通話マイクはオマケ扱いのものが多いが、Jabra Elite 3 ならマイク狙いでの購入も現実的。セールスポイントの一つとして評価できる。
操作性
ボタン種類 | 物理ボタン |
操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
Jabra Elite 3 はイヤホン本体に物理ボタンを搭載。スマホのオーディオ操作や通話対応などボタン操作で可能。
ボタンの押し心地は硬すぎず柔らかすぎず。ゲームコントローラーのボタンのように”カチカチっ"と操作できる。
タッチセンサーではないので、ふとしたタイミングに指が触れてしまい誤反応することもない。
音楽操作コマンド(部分的に割り当て変更可能)
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回押し | (選択)外音取り込み機能のON/OFF、Spotify再生起動 | オーディオ再生/停止 |
2回押し | (選択)音声アシスタント起動、Spotifyランダム再生起動 | 次のオーディオを再生 |
3回押し | -- | 前のオーディオを再生 |
長押し | 音量ダウン | 音量アップ |
Spotify関連コマンドはAndroidスマホと接続したときのみ起動。iPhone環境下では使えず。
通話対応コマンド(割り当て変更不可)
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回押し | 着信受け、(通話時)マイクミュートON/OFF | |
2回押し | 着信拒否、(通話時)通話終了 | |
3回押し | -- | |
長押し | 音量ダウン | 音量アップ |
イヤホン着脱検出(装着検出)
イヤホンの着脱検出(装着検出) | × |
イヤホンの着脱検出(装着検出)には対応せず。
対応モデルだとオーディオ再生中にイヤホンを耳から外すとオーディオ再生が自動停止。イヤホンを耳に装着し直すとオーディオ再生が自動開始する。
防水性能
防水性能 | IP5 |
防塵性能 | IP5 |
Jabra Elite 3 のセールスポイントたる防水性能(防水防塵性能)。IP55とスポーツイヤホン相当のスペックを備える。
もっぱら雨、汗、イヤホンの水洗いに耐えられる。防塵にも対応しているので砂ホコリも問題ない。
Jabraが提供する製品登録(無料)すれば防水防塵に関する故障保証のみ2年に引き伸ばせる(他は1年)。製品保証は専用アプリから可能なので購入したら忘れずに登録したい。
低遅延モード
低遅延モード | なし |
遅延性能 | ー |
ゲーム以外での利用 | ー |
低遅延モード(ゲームモード)の提供なし。
専用アプリ
専用アプリ | あり |
イコライザー調整 | 対応 |
タッチ操作コマンドの割り当て変更 | 対応 |
低遅延モード(ゲームモード)ON/OFF | × |
イヤホンを探す | 対応 |
専用アプリ「Jabra Sound+」をiOS、Android向けに提供。
ひととおりのイヤホン・カスタマイズが行えるほか、製品保証の延長(防水防塵のみ保証1年を2年に延長できる)もアプリから可能だ。
Jabra Sound+
無料posted withアプリーチ
iPhoneとの相性
iPhoneとの相性 | (普通) |
AACコーデック | × |
iOS向け専用アプリ | 対応 |
iPhoneとの相性は普通。
iPhoneで主流のBluetoothオーディオコーデックである「AAC」に対応しておらず、下位グレードの「SBC」接続で代替される。オーディオ再生自体は可能だが、音質面では少しばかり割を食う。
専用アプリはiPhoneでも利用可能。イコライザー調整やタッチ操作コマンドの割り当て変更できる。ただ、タッチボタンでSpotifyを再生する操作コマンドはiPhone環境下では設定&利用できない。
全体としてAndroidスマホ向けのワイヤレスイヤホンといった印象。iPhoneユーザーにはあまりおすすめできない。
Jabra Elite 3 の外観&使用感
充電ケースはコンパクト、ズボンのポケットに入れておいても邪魔にならないサイズ
充電ケースは無駄なスペースない極小コンパクト仕様。男性の握りこぶし一つで覆えるサイズ。
数値で言えば、縦3.5cm、横6cm、厚み2.5cmほど。ズボンのポケットに入れておいても邪魔にならず、スマホとイヤホンだけで外出したいときでもポケットインでまかなえる。
ケースの外装素材は価格相応のプラスチック。雑に扱えば擦り傷など付きそう。Amazonなど探すとシリコンのケースカバーがいくらか展開されているので傷が気になる人ならケースカバーを使いたい。
イヤホンのフィット感は抜群、物理的な遮音性も高い
Jabra Elite 3 は、テトラポット形状のイヤホンデザインを採用。
適度な丸みとカクカク具合をあわせ持ち、耳穴に装着するとパズルのピースのごとく”すぽり”とハマる。
耳の穴の形に沿ってフィットするので、イヤーピースのサイズさえ合わせれば文句ない装着感が得られる。
イヤホン揺れも少なくジムで運動中に使うにも丁度いい。
耳穴から飛び出てるイヤホン面積部分も少なく、物理的にもビジュアル的にも”シュッ”と収まってる。
マスク着脱時にマスク紐がイヤホンに引っかかることもなく、出先でイヤホンを吹っ飛ばす心配もない。
Jabra Elite 3の音質
音質は中音域(ボーカル)重視の明瞭サウンド
Jabra Elite 3 は中音域を中心とした音質構成。ボーカルが多分に前に出てる。音場(音の広がり)は少し狭め。
全体としてきれいさっぱりとした明瞭サウンド(俗に言うクリアな音)なので長時間のリスニングでも聞き疲れない。日常的に長時間とイヤホンを装着して音楽を聞いたり、動画を見ている人ほど勝手のよさを実感できそう。
高音質なBluetoothオーディオコーデックとして知られる「aptX」にも対応しており、Androidスマホとセットで使えば音の明瞭さがより際立つ(iPhoneはaptX非対応)。
イコライザー調整すれば低音も際立つ
専用アプリ(iOS、Android)を使えばイコライザー調整が可能。6種の音楽プリセット(テンプレ音質設定)から選択する。
Jabra Elite 3 は低音を強化したモデルと宣伝されるが、デフォルト状態だとそこまで低音の強さは感じられない。どちらかと言うとプリセットありきの低音モデルとなる。
いざプリセットを「低音ブースト」にすることで重低音のような音の厚みが加味され、低音を強化したという宣伝文句もあながち嘘でなくなる。もとより低音を強めて音楽を楽しみたい人であればイコライザー調整を活用あれ。
Jabra Elite 3 の気になったところ(あるいはデメリット)
外音取り込み機能(ヒアスルー)はオマケ、実用性ほぼなし
Jabra Elite 3 は外音取り込み機能に対応。機能ONにするとイヤホンを装着したまま周囲の音が取り込める。
ただ、お世辞にも高性能とは言えない。機能ON/OFFでごくごくわずかに周囲の音が大きくなっているのが確認できるが、ほとんど音は取り込めず。実用レベルの機能として評価するのは難しい。
オーディオ再生を止めて意識して耳をすませれば駅のアナウンスくらいなら聞き取れるかもしれないが、イヤホンを付けたままの会話だったり、常時ONで骨伝導イヤホン代わりに使うのは現実的ではない。
全体的にiPhoneとの相性は悪い、Spotifyのボタン起動も不可
Jabra Elite 3 はBluetoothオーディオコーデック「AAC」に非対応。iPhone、iPadで使う場合は下位グレードの「SBC」接続になる。
AndroidスマホだとAACの上位版たる「aptX」が使えることもあり、いかんせん音質面でのマイナス感は否めない。
また、iPhoneで使う場合、ボタン操作でSpotifyが起動できる「Spotify Tap」機能も利用できない。同機能はAndroidスマホと接続している場合のみ使える。
iPhoneでも使えないわけではないのだが、全体として見るとAndroidスマホで使った方が満足度は高そうだ。
ノイズキャンセリング、マルチポイントなど最新機能は使えない
Jabra Elite 3はあくまでもエントリーモデルの位置づけ。上位版モデルの「Jabra Elite 7 Pro」「Jabra Elite 7 Active」らが搭載するノイズキャンセリング、マルチポイントなど利用できない。
昨今だとやはりマルチポイント対応が譲れぬセールスポイントとなりつつある。
マルチポイントは2台のデバイスを同時接続できる機能。オーディオ再生しているデバイス側に自動で音声出力が切り替えられる。逐一手動で接続を切り替える必要がなくなるので、たとえば「スマホ←→PC」間でイヤホンを使いまわしているような人だと特に重宝する。
どうしてもマルチポイントが使いたい人であれば上位版モデルである「Jabra Elite 7 Pro」「Jabra Elite 7 Active」を検討あれ。
この記事のまとめ
Jabra Elite 3 をレビューしてきた。
王道感あふれる完全ワイヤレスイヤホンらしさ所々光る。音質のよさはもちろん、イヤホンの装着感がピカイチによい。はじめての完全ワイヤレスイヤホンとして選ぶのに丁度いいし、そこそこ勝手が知れてる人が使う場合でも気に入るはず。
他方、iPhoneとの相性はよくない。Bluetoothオーディオコーデック「AAC」に対応しないので音質に影響が出がち。どちらかと言うとAndroidスマホユーザーにおすすめの完全ワイヤレスイヤホンとなる。
Androidスマホユーザーでアンダー1万円のワイヤレスイヤホンを探していて、なおかつ大手の製品がいい、素性の知れぬ中華イヤホンは嫌... といった人であれば Jabra Elite 3 を試してみてはどうだろうか。
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