2021年6月に登場したソニーの新作ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」。
前作「WF-1000X M3」から2年ぶりリニュアル。新たにLDACコーデック(ハイレゾ音源再生)に対応するなどオーディオ性能に磨きをかけた。
同時に「WF-1000X M3」の相場も値下がり。だいたい新品が2万円くらいで購入できるように。
ぶっちゃけ、そこまで最新機能も必要ないし、音楽を聞くだけ、動画を見るだけなら「WF-1000XM3」でも十分という人も多そうだ。
そこでこの記事では「WF-1000XM4」と「WF-1000XM3」を比較。WF-1000XM4でアップデートされた点をまとめていく。
WF-1000XM4とWF-1000XM3、どちらを購入すべきか迷っている人は記事を参考にしてほしい。
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ソニー「WF-1000XM4」、前作「WF-1000X M3」からアップデートされた10のこと
主たる進化点、改善点は以下10点。
1. LDACコーデック対応、ハイレゾ音源の単体再生可能に
対応Bluetoothコーデック | |
WF-1000XM4 | SBC、AAC、LDAC |
WF-1000XM3 | SBC、AAC |
LDAC(エルダック)はBluetoothコーデックの一種。ハイレゾ音源をワイヤレスでそのまま転送できる情報量を内含する。
WF-1000XM4は、完全ワイヤレスイヤホンで世界初となるLDACコーデック対応モデル。ワイヤレスイヤホン単体でハイレゾ音源やハイレゾサブスクがそのまま再生できるようになった。
WF-1000XM3はLDCAコーデック非対応。
2. DSEEがバージョンアップ、より精度の高い高音質化が可能に
DSEEバージョン | |
WF-1000XM4 | DSEE Extreme(第2世代) |
WF-1000XM3 | DSEE HX(第1世代) |
双方ともにソニー独自の高音質化機能「DSEE」に対応。ハイレゾ音源ではない通常オーディオ楽曲をハイレゾ相当に高音質補正して再生できる。
WF-1000XM4は、DSEEの最新バージョン「DSEE Extreme」に対応。より細かな音も拾って高音質化してくれる。
WF-1000XM3は初代DSEEこと「DSEE HX」に対応。メロディラインなど大まかな音を中心に高音質化している。
DSEEのバージョンによる差はそこまで大きくないが、とりあえずはWF-1000XM4のバージョンアップ点の1つとして覚えておきたい。
3. ノイズキャンセリングの高音域の静音化性能が気持ち向上
双方ともに低周波音を中心としたノイズキャンセリング性能に強み。
対して人の話し声など高周波音はWF-1000XM4の方が気持ち静音化できている。完全に無音化しているわけではないが、刺さるような高音は減少している。
また、WF-1000XM4はソニーが新開発したウレタン素材のイヤーピースが使われており、物理的にも高周波音を抑えている。
オーディオを再生した状態であれば、なんやかんやでどちらも周囲の騒音は聞こえにくい。ただ、オーディオ止めての耳栓利用も検討している人であればWF-1000XM4の方がより静音化されていてよい。
4. イヤホン形状が丸ころデザインに変更、ホールド感がかなり向上
WF-1000XM3は小型ヘッドセットのようなデザインだったが、WF-1000XM4はいかにもワイヤレスイヤホンらしい丸ころデザインに。
イヤホンのホールド感、フィット感で言うと断然にWF-1000XM4の方が上。イヤホンがヌメリと耳の穴に入り込み、きれいに収まる。
WF-1000XM3はイヤーピースを耳穴に引っ掛けてるだけ。見た目、つけ心地ともに小型ヘッドセットそのもの。
5. ケースサイズが適正化(コンパクト化)
ケースサイズ(実測) | |
WF-1000XM4 | 縦5cm、横8cm、厚さ2.8cm |
WF-1000XM3 | 縦4cm、横6.5cm、厚さ2.5cm |
WF-1000XM3のケースサイズは異様に馬鹿デカかったが、WF-1000XM4はようやく通常サイズに。男性ズボンのポケットに入れておいてもモッコリしない。
6. バッテリー駆動時間が向上
バッテリー駆動時間(AAC接続時) | |
WF-1000XM4 | ケース併用で最大36時間、ノイズキャンセリングONだと同24時間 |
WF-1000XM3 | ケース併用で最大32時間、ノイズキャンセリングONだと同24時間 |
わずかにだが、WF-1000XM4のバッテリー駆動時間の上限値が向上している。
なお、WF-1000XM4はLDCA接続時だとケース併用で最大18時間前後までバッテリー駆動時間が落ちる。ノイズキャンセリングONだと同15時間ほど。
7. ワイヤレス充電(Qi充電)対応
充電仕様 | |
WF-1000XM4 | ワイヤレス充電、USB Type-C充電 |
WF-1000XM3 | USB Type-C充電 |
WF-1000XM4にて、ついに、ようやくのワイヤレス充電(Qi充電)対応。ワイヤレス充電器に置くだけで充電できる。
WF-1000XM3はワイヤレス充電に対応せず、USB Type-Cケーブルを使った有線充電のみ対応。
8. 通話マイクに雑音カット機能搭載(ようやく)
通話マイク性能 | |
WF-1000XM4 | ノイズカットあり |
WF-1000XM3 | ノイズカットなし |
WF-1000XM4は通話時のノイズカットあり。口元から離れた音をトーンダウンして、口元の音をメインにして通話相手に伝送してくれる。
WF-1000XM3は通話マイクが付いてるだけ。ノイズカットしていないので周囲の音もそのまま集音してしまう。静かな場所ならまだイケるかもしれないが、工事現場の近くだったり、自宅の生活音がある場所だと使いにくそう。
9. タッチセンサーの感度改善
WF-1000XM3のタッチセンサーは動作不安定だった。2回タッチ(2回タッチ操作)が1回しかカウントされなかったり、タッチ音が鳴るのにタッチ反応しない症状がみられた。
これに比べてWF-1000XM4のタッチセンサーは非常に優秀。きちんと1回タッチが1回タッチに、2回タッチが2回タッチとして認識される。認識違いはほぼほぼない。
10. 防水対応(ようやく)
防水性能(防滴性能) | |
WF-1000XM4 | IPX4 |
WF-1000XM3 | なし |
WF-1000XM4にて、ようやくの防水対応(厳密にはIPX4は防滴)。
風呂場、プールでの利用は推奨されないが、雨天時の屋外イヤホン利用やジムやジョギングなど汗かく環境で使う程度なら問題ない。
WF-1000XM4、どういう人が購入すべき?
LDCAでハイレゾ再生したい人
WF-1000XM4の最大の売りはLDACコーデック対応。
LDACコーデックを使えばハイレゾ音源やハイレゾサブスクがそのまま再生できる。
ほか何を用意する必要もなくスマホとペアリングすればハイレゾ再生できるので普段からハイレゾ楽曲をよく聞いている人なら重宝するに違いない。
全体的にストレスなく使いたい人
前作「WF-1000XM3」はわりと細かな使い勝手は悪かった。
ワイヤレス充電できないし、通話マイクは雑音カットなしのボンクラだし、タッチセンサーの感度は悪いし、防水は完全非対応だし、ケースサイズは異様にデカかった。
ここらの酷評買った部分がWF-1000XM4では見事に改善されている。WF-1000XM3を使っていた筆者からすると、「ソニーさんよくユーザー調査したな」と関心した。
通話マイクの使い勝手を重視している人
昨今だとテレワークなどでワイヤレスイヤホンの通話マイクを活用している人も多いかと思う。
通話マイクの性能だけで見れば圧倒的にWF-1000XM4の方が上。通話時のノイズカット機能が搭載されているので口元以外の音を極力除去(トーンダウン)してくれる。
屋外や騒音のある場所で使えるのはもちろん、自宅で使うときも生活音がシャットアウトできて便利だと思う。
WF-1000XM3でも十分な人
LDCA(ハイレゾ再生)に興味ない人
WF-1000XM4は完全ワイヤレスイヤホンでは世界初となるLDAC対応を果たした。
ーーーとはいえ、このセールスポイントに惹かれない人だとあえてWF-1000XM4を購入すべきか迷うところ。
基本的なオーディオスペックだけで言えばWF-1000XM3も悪くない。
LDAC関係なく単に音楽が聞きたいだけ、動画が見れれば十分くらいの人ならWF-1000XM3でも十分満足できるはずだ。
iPhoneユーザー
iPhoneシリーズは今日なおLDACコーデック非対応。
WF-1000XM4とペアリングしてもLDAC接続できないので、WF-1000XM4のセールスポイントが潰れてしまっている感は否めない。
音楽が聞ければ十分の人
WF-1000XM3はLDACコーデックこそ対応していないもののオーディオスペックは悪くない。
通常オーディオをハイレゾ相当に高音質化(アップスケーリング)するDSEE Ultimateに対応しているので、機能ONにすれば中音域〜高音域がよりクリアに、明瞭なボーカル音声が楽しめる。
音楽を聞くためのワイヤレスイヤホンとして考えればWF-1000XM3でも十分だ。
この記事のまとめ
ソニー「WF-1000XM4」の前作からの改善点をまとめてきた。
とにもかくにもLDAC対応だ。LDAC狙いの人なら購入して損はない。
LDACにそこまで興味ない人、そもそもLDACが使えないiPhoneユーザーだと購入意欲が下がり気味だが、WF-1000XM3に比べるとワイヤレス充電が使えたり、通話マイク性能が向上したりと全体的に機能や使い勝手が改善されている。
こうしたLDAC以外のワイヤレスイヤホンとしての完成度を評価したうえで購入を検討してもいいかもしれない。
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