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Victor・JVC

Victor WOOD master(HA-FW5000T)レビュー|弱点もろもろ潰してきたVictor渾身のフラッグシップ

Victor伝統の"WOOD"ブランド冠するフラッグシップ・ワイヤレスイヤホン「Victor WOOD master」が登場です。

木の振動板を使った原音描写に強みを持つWOODブランド製品。繊細で音場が広く、イヤホンとは思えぬ臨場感ある空間表現がクセになる仕上がりです。

Victor WOOD master も空間オーディオ再生かと勘違いする音場の広さあり

音描写も非常に繊細で楽器の音1つまで描き分ける優等生たらしめん仕上がりですね。

Victorワイヤレスイヤホンは「音質は良いけど機能面や使い勝手がちょっと... 」と言ったネガティブな評価ありましたが、Victor WOOD master は一転して高性能。そして使い勝手もよし。

ノイズキャンセリングは本格的な静けさ。ケースのワイヤレス充電(Qi)初対応。ちゃっかりIP55の防水防塵まで付いてるギミックぶりが目を見張ります。

従来のようなオーディオ性能だけが尖った音質一辺倒なフラッグシップよりかは、音質も機能性も優れた万人向けフラッグシップとして仕上がってますね。

この記事では、 Victor WOOD master をレビュー。実機で使い勝手を見ていきます。

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Victor WOOD master  の製品概要

スペックシート

発売時期2025年11月
直販価格41,800円
販売元メーカーVictor(日本)
Bluetoothバージョン6.0
Bluetooth対応コーデックSBC、AAC、LDAC
ノイズキャンセリング対応
外音取り込み機能対応
マルチポイント対応(最大2台)
マルチペアリング対応(最大?台)
ペアリング接続先の上書き切り替え対応
イヤホンの着脱検出対応
防水性能IP55(イヤホン本体のみ)
バッテリー駆動時間(イヤホン単体7時間〜10.5時間
ケース併用で最大21時間〜31.5時間
ケース充電方法USB Type-C(有線)、Qi(無線)

ノイズキャンセリングONの場合はイヤホン単体7時間、ケース併用21時間。OFFの場合はイヤホン単体10.5時間、ケース併用で最大31.5時間。

 

 

製品概要

Victor WOOD master は、2025年11月に発売開始したVictorワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル。

Victor伝統のWOODシリーズに位置づけられるワイヤレスイヤホン。木の振動板を用いた滑らかで歪みの少ない原音重視サウンドを強みとする製品です。

機能面も充実。ノイズキャンセリング、マルチポイント、空間オーディオ、LDAC、ケースのワイヤレス充電(Qi)などもろもろ対応します

Victorワイヤレスイヤホンはフラッグシップとはいえノイズキャンセリング性能がしょぼいイメージ(というか事実)ありますが、今作は一転して高性能。明確に静かになります。

ノイズキャンセリング処理のための専用チップを搭載したガチ仕様です。

ノイズキャンセリング性能を自らアピールするだけあります。

従来のような音質一辺倒なフラッグシップよりかは、音質も機能性も優れた、業界のど真ん中に寄せてきた万人向けフラッグシップですね

「Victorワイヤレスイヤホンは音質は良いけど機能面がちょっと... 」といったイメージだった人にも真正面からアピールできる完成度の高さあります。

価格は定価41,800円。カラーリングはピアノブラックとサンバーストブラウンの2色。3年間の長期保証が付きます。

 

 

Victor WOOD master の外観デザイン・使い勝手

イヤホンデザイン・装着感

イヤホン形状は王道のスティック型。Victorフラッグシップでは意外にも初採用です。

イヤホン内側にはエルゴノミクスな段差の凹みあり。耳穴の形状に沿って"すぽり”とイヤホンがハマります。

イヤーピースのサイズさえ調整すれば万人の耳に合う理想的なイヤホンではないでしょうか。

イヤーピースは5サイズが付属します。

イヤホンの装着イメージ。

耳穴にきれいに収まります。耳穴から飛び出してる面積も少なめ。マスク紐との干渉もありません。

楽器デザインを採用したワイヤレスイヤホンとあり、ピアノの屋根のようなポリエステル鏡面塗装のツヤ感あり。非常に高級感あります。

また、傷の自己修復塗装をワイヤレスイヤホン業界で初採用とのこと(Victorいわく)。薄傷であれば時間の経過とともに多少なりに修復されるはずです。

 

 

イヤホン操作性

ロゴ部分にタッチセンサーボタンの搭載あり。オーディオ操作、音量調整、通話対応などもろもろ可能です。

タッチ感度は安定。複数回タッチも機能してます。

ただ、操作コマンドの割り当てが多すぎて初見だと混乱します。事前のカスタマイズ必須。iOS・Android向けの専用アプリからもれなくカスタマイズできます。

イヤホンの着脱検出にも対応あり。イヤホン着脱と連動してオーディオが自動再生/停止します。ただ、反応しないことが多々あって動作の安定感に欠けます。

イヤホン本体の防水防塵等級はIP55。雨や汗なら問題ないですし、いざとなれば水洗いもできる等級です(浸水は不可)。




デフォルト仕様(すべて変更可能)

左イヤホン右イヤホン
1回押し再生/停止ノイズキャンセリング切り替え
2回押し音量1ダウン次の曲に進む
3回押し音量1アップ前の曲に戻る
4回押し音声アシスタント起動空間オーディオ切り替え
5回押し低遅延モード
1回押し→長押し音量ダウン
2回押し→長押し音量アップ
長押しサウンドモード切り替えタッチ&トーク

iOS・Android向けの専用アプリからすべての操作コマンド枠を変更可能。以下から選べます。

  • 再生/停止
  • 次の曲に進む
  • 前の曲に戻る
  • 音量1アップ
  • 音量1ダウン
  • 空間オーディオ切り替え
  • サウンドモード切り替え
  • ノイズキャンセリング切り替え
  • タッチ&トーク
  • 低遅延モード
  • 音声アシスタント起動
  • 設定なし(タッチ反応OFF)

「1回押し→長押し」「2回押し→長押し」枠に関しては「音量アップ」「音量ダウン」「設定なし」の3つからしか指定できず。

デフォルト仕様(すべて変更可能)

左イヤホン右イヤホン
1回押し着信対応ノイズキャンセリング切り替え
1回押し(通話時のみ)マイクミュート
2回押し音量1ダウン音量1ダウン
3回押し音量1アップ音量1アップ
4回押しサイドトーン
5回押し転送
1回押し→長押し音量ダウン音量ダウン
2回押し→長押し音量アップ音量アップ
長押し着信拒否・通話終了タッチ&トーク

iOS・Android向けの専用アプリからすべての操作コマンド枠を変更可能。


 

 

充電ケース仕様

充電ケースは丸くてコンパクト。寸法で言うと直径6cm、厚み3cmほど。

ちょい厚みありますが、男性ズボンのポケットに入れておいても邪魔にならないサイズ感です。

上蓋にはニッパー君(犬)の刻印あり。メタル刻印仕様で高級感あります。

外装は革テクスチャ仕様。楽器ケースのような硬い革ですね。

高級感あるのはもちろん、他社のプラスチックケースに比べて傷らしい傷が付きそうになし。別途のケースカバーは必要ないと思います。

ワイヤレス充電(Qi)にも初対応(Victorワイヤレスイヤホンとして初)。スマホ向けのワイヤレス充電器が使いまわせます。

有線充電の場合はUSB Type-Cケーブルが必要です(同梱あり)。

 

 

Victor WOOD master の音質レビュー

音質は原音重視、音場がものすごく広い

低音(5)
中音(5)
高音(5)

理想的な原音重視サウンド

ハイブリッドWOODドライバー(木の振動板)を使っていることもあり、ほんの少しばかりウォーム感あり。

低音域〜中音域にかけてしっとりと音を鳴らし、中音域〜高音域にかけては楽器の音1つまで描き分ける繊細さを併せ持ち。

なおかつ、全体的な音のバランスが取れてる音響メーカーの意地が感じられる仕上がりです。

また、なにより音場がめっちゃ広いんですよね。音の定位感もしっかりしてて初見で空間オーディオが機能ONになってるのかと勘違いしたくらいです。

Victorワイヤレスイヤホンはイコライザーが優秀ですが、イコライザーなしのデフォルトままで使う場合であっても十分に満足できる高音質かと思います

LDAC対応あり、デジタル・ハイレゾ補正機能にも対応予定

LDACコーデックに対応あるほか、将来的なアップデートでVictor独自の高音質化機能「K2テクノロジー」も利用可能。

K2テクノロジーはソニーのDSEEのようなデジタル・ハイレゾ補正機能。2025年12月時点でアップデートは来てません。

 

 

イコライザー調整に対応

iOS・Android向けの専用アプリを使えばイコライザー調整が可能。

通常どおりのイコライザー調整にくわえ、耳の聞こえ方に最適化する「パーソナライズサウンド」にも対応あり。

また、Victorフラッグシップ恒例の「PROFESSIONAL」イコライザーも用意あります

PROFESSIONALイコライザーは、Victorの音響エンジニアがチューニングしたプロ仕様のイコライザー。

以下5つのイコライザーが選べます。

  • PROFESSIONAL 1 → 中低音域を重視(ギター感重視)
  • PROFESSIONAL 2 → 中高音域を重視(原音重視)
  • PROFESSIONAL 3 → 高音域を重視
  • PROFESSIONAL 4 → ボーカル重視
  • PROFESSIONAL 5 → 臨場感重視

好みにもよりますが、本命的なイコライザーは「PROFESSIONAL 2」ですかね

音像が全体的にスケールアップするので音量アップとは違った満足感ありますし、Victor WOOD master ならではの音場の広いチューニングがさらに映えます。

それこそ空間オーディオ再生と勘違いする音の広がりと臨場感あって感動ものです。

 

 

空間オーディオ対応

Victor独自の空間オーディオ機能(3Dオーディオ機能、EXOFIELD機能)に初対応

iOS・Android向けの専用アプリから設定可能。アプリの種類に関係なく一律で空間オーディオ再生になります。

ただ、空間オーディオの完成度は微妙。ボーカルがちょい後ろに引っ込むだけです。

なんなら中音域〜高音域にかけて音を押しつぶしてて、せっかくの高音質が台無しになってますね。機能OFFの方が空間オーディオらしさあります。

将来的なアップデートで改善される可能性はありますが、現状だと空間オーディオは使わなくてもいいかな...

 

 

【✗】LC3コーデック非対応

LE Audio(およびLC3コーデック)は非対応。

 

 

Victor WOOD master の機能レビュー

ノイズキャンセリング【★5】

ノイズキャンセリング性能(5)
遮音強度の調整

ノイズキャンセリングは思いのほか高性能

低音域〜高音域までまんべんなく周囲の音を遮音・低減できてます。

Victorワイヤレスイヤホンは音質への影響を考慮してか、あまりノイズキャンセリングが高性能なイメージありませんでしたが、Victor WOOD master はかなりしっかりとした遮音効果あり。ノイズキャンセリング専用の処理チップを搭載しただけあります。

イヤホン構造に伴う物理的な遮蔽感の高さと相まって体感レベルでも非常に静か

また、ホワイトノイズ(サーっと言った機械音)も発生しておらず、オーディオ再生を停止した状態なら耳栓運用も可能です。

 

 

外音取り込み機能(ながら聴き機能)【★4+】

音の取り込み性能(4+)
取り込み量の調整

イヤホンマイクで周囲の音を集音。イヤホンを装着したままスピーカー経由で周囲の環境音が聞き取れる「外音取り込み機能」に対応あり。

機能ON/OFFで周囲の音の明るさが明確に変化します

ただ、機能ONにするとホワイトノイズ(サーっと言った機械音)が強く出ます。イヤホン構造に伴う物理的な遮蔽感が邪魔してか、耳周りの音こもり感も取れません。

一時的に機能ONにして駅のアナウンスを聞き取るくらいの使い方まだしも、常時機能ONにして"ながら聴き”運用するのは微妙ですね。音こもった感じが気になります。

 

 

通話マイク品質【★5】

通話マイク性能 (5)

通話マイクはフラッグシップらしい高品質仕様。

自分の声のピックアップ、周囲の音の除去、風切り音カット、いずれも機能してます

特に風切り音カットが秀逸。屋外でハンズフリー通話したい人にもおすすめ。

屋内でビデオ通話マイクとして使うくらいなら十分すぎる性能です。

 

 

マルチポイント・ペアリング切り替え勝手【★5】

全体的な勝手のよさ(5)
マルチポイント対応(最大2台)
マルチペアリング対応(最大?台)
ペアリング接続先の上書き切り替え対応
Google Fast Pair対応

ペアリングまわりの勝手は劇的進化。Victorの本気っぷりが垣間見える箇所です。

マルチポイント対応もちろん「ペアリング接続先の上書き切り替え」にVictorワイヤレスイヤホンで初対応

マルチポイント接続外のデバイスにペアリングを切り替えるとき現在のペアリング接続を解除する必要なし。Bluetooth設定画面からイヤホン名をタップするだけで上書きで切り替わります。

また、新規ペアリングモードの起動コマンドもついに搭載しましたね(今まで搭載なし)。

充電ケースに左右イヤホンをセットした状態にして、左右イヤホンのタッチセンサーボタンを同時に5秒長押しすると新規ペアリングモードが起動します。

 

 

 

バッテリー持ち・充電環境【★4】

バッテリー性能 (4)
(イヤホン単体7時間〜10.5時間、ケース併用21時間〜31.5時間)
ワイヤレス充電対応(Qi)
急速充電対応(15分でオーディオ再生100分)

バッテリー持ちはそこそこ優秀。ノイズキャンセリング常時ONでもイヤホン単体7時間、ケース併用で21時間のスタミナです。

ワイヤレス充電(Qi)にも対応あり。意外にもVictorワイヤレスイヤホンで初対応です。

なお、有線で充電する場合はUSB Type-Cケーブルが必要です(ケーブル同梱あり)。

 

 

この記事のまとめ

【Good!】 Victor WOOD master のよかったところ

  • しっとり繊細、かつ音場の広い音描写
  • イヤホン装着感は抜群によし
  • ノイズキャンセリングも本格的な静けさ
  • ペアリングまわりの勝手よし
  • 充電ケースの革感よし(ケースカバー必要なし)

【Bad...】Victor WOOD master の気になったところ

  • 外音取り込み性能は少し物足りない
  • 空間オーディオ機能は地味な仕上がり
  • LC3コーデック(LE Audio)非対応

Victor WOOD master、音質だけでなく機能面や使い勝手の面でも頑張ってますね。Victorの本気が垣間見えます

オーディオ性能が優秀なのは言わずもがな、ノイズキャンセリングがかなり本格的な静けさ。

ほかにも目立つ箇所ではないが、これまでVictorワイヤレスイヤホンの弱点とされた使い勝手の悪さがもろもろ改善されてます。

主な改善ポイント(いずれもVictorワイヤレスイヤホンで初)

  • 充電ケースのワイヤレス充電(Qi)対応
  • ペアリング接続先の上書き切り替え対応
  • 新規ペアリングモードの起動コマンドを用意

従来のVictorワイヤレスイヤホン評「音質は良いが、機能性や使い勝手は微妙」を見事に覆してて驚きました。きちんと市場調査してますね。これは。

総合力で見てAirPodsBOSETechnicsあたりのフラッグシップとタイマン張れる完成度の高さあると思います

なかでも音質。WOODドライバーを搭載することもあり、デフォルト音質でも非常に音場が広くて音の臨場感ありますし、これにPROFESSIONALイコライザーを使えばほぼ無敵。

製品としての総合力を重視しつつ、プラスαで音質をなにより重視している人だと Victor WOOD master は唯一無二の個性を持つフラッグシップ。順当におすすめできる製品です。

 

 

Victor WOOD master のおすすめ代替候補

パナソニック「Technics EAH-AZ100」(価格4万円)

Technicsのフラッグシップモデル。磁性流体ドライバーを使ったウォーム感ある原音路線サウンド。ノイズキャンセリング性能は業界5本の指に入る静けさ(レビュー記事を見る

デノン「DENON PerL Pro」(価格2.1万円)

DENONのフラッグシップ。聴覚測定器を使った聴覚に合わせたチューニングが可能。さながら補聴器のようなオーダーメイド高音質が作れます。定価5.7万円も最近は2.1万円前後で購入可能(レビュー記事を見る

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