昨今のワイヤレスイヤホン市場で盛り上がりを見せるノイズキャンセリング(アクティブノイズキャンセリング)。昨年10月に発表されたAirPods Proが人気の火付け役となり、一躍ノイズキャンセリング対応のワイヤレスイヤホンがメジャーな存在になった。
当サイトではいくつかノイズキャンセリング対応のワイヤレスイヤホンを試しているが、当記事ではAirPods Proをベンチマークに、サムスンの新作ノイズキャンセリング対応モデル「Galaxy Buds Live」を比較したい。ノイズキャンセリング対応のワイヤレスイヤホンとして、また、ワイヤレスイヤホンそのものとして比較し、どちらが優れているか検証する。
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製品概要
AirPods Pro
2019年10月に発売開始となったAppleのワイヤレスイヤホン。価格3万円ほど。周囲の騒音などカットできるノイズキャンセリング機能に初対応した。AirPodsシリーズならではのストレスフリーな使い勝手と相まって現在なお各種販売ランキングで上位に付けている。
Galaxy Buds Live
2020年9月に発売開始されたサムスンの新作ワイヤレスイヤホン。価格は2万円ほど。Galaxy Budsシリーズ初となるノイズキャンセリングに対応しており、工事の音やダクト音など低周波ノイズを97%除去できる。従来Galaxy Budsからデザイン一新され、豆型のイヤホンとなった。
ノイズキャンセリング比較
評価判定
評価 | コメント | |
AirPods Pro | S | 業界屈指のノイキャン性能、ほぼ耳栓 |
Galaxy Buds Live | B | 遮音性の低さゆえノイキャン性能も低め |
(評価はSが最高、Cが最低)
レビュー
ノイズキャンセリング性能だけで見ればAirPods Proの勝利(というか圧勝)である。AirPods Proのノイズキャンセリング性能はまさに耳栓そのもので、オーディオにそこまで詳しくない人でも耳に付けた瞬間に静寂が理解できる。あまりに静かすぎるので屋外で歩きながら使うと危険だと思う(冗談ではなく)。
対してGalaxy Buds Liveは、工事現場の音やダクト音のような濁音ノイズが一定除去できてはいるが、オープンイヤー構造のイヤホン(耳の穴を完全に塞がないイヤホン)とあって、あまりノイズキャンセリングの静寂、没頭感のようなものはない。いかにノイズキャンセリングで騒音を打ち消そうとも物理的に周囲の音が聞こえてしまうので、ノイズキャンセリングの効果が感じにくい。
総じてノイズキャンセリング対応のワイヤレスイヤホンとして評価するならば「AirPods Pro」が勝っている。ほぼ業界トップクラスのノイズキャンセリング性能なので、ノイズキャンセリング前提でワイヤレスイヤホンを探している人には丁度よいだろう。
ワイヤレスイヤホン評価比較
ノイズキャンセリング性能だけで見ればAirPods Proの勝利で大方決着がつくのだが、ではワイヤレスイヤホンの総合評価としてはどうなのか。オーディオ性能は?マイクは?以下こうしたワイヤレスイヤホンの総合パフォーマンスを比較していく。
総合評価
AirPods Pro | Galaxy Buds Live | |
音質(オーディオ性能) | B | A |
接続安定性 | S | S |
つけ心地 | S | S |
バッテリー持ち&充電環境 | A | A |
タッチ操作性 | S | C |
マイク性能 | S | S |
音質(オーディオ性能)
評価 | コメント | |
AirPods Pro | B | 平坦であまり迫力のない音 |
Galaxy Buds Live | A | 重低音サウンド |
(評価はSが最高、Cが最低)※以下共通
音質(オーディオ性能)で言えばGalaxy Buds Liveの方が優れている。Galaxy Buds Liveは12mmの大型スピーカーとベースダクトを内蔵しているのでハードからして重低音が強みだ。完全ワイヤレスイヤホンながら重厚重低音なサウンドが楽しめるので大方文句ない仕上がりだと思う。
対してAirPods Proは、気持ち中〜高音域が強めのフラットな音質だ。ただ、あまりに音がか弱く、音の迫力の無さは否めない。少なからずオーディオ重視で選ぶイヤホンではないだろう。
接続安定性
評価 | コメント | |
AirPods Pro | S | 圧倒的安定感 |
Galaxy Buds Live | S | AirPods Proに並ぶ安定感 |
ワイヤレスイヤホンは無線接続のため、屋外や人混みの多い場所で使うと接続が切れたり、音が飛んだりすることがある。そうした中で、AirPods ProとGalaxy Buds Liveはどちらもスマホメーカーが作るワイヤレスイヤホンとあり、非常に接続が安定している。粗を探して減点しようとしても特段粗らしい粗が見当たらず、評価イーブンとしたい。
つけ心地
評価 | コメント | |
AirPods Pro | S | 従来AirPodsよりもコンパクトで良し |
Galaxy Buds Live | S | 重さも窮屈さも感じない新仕様 |
イヤホンのつけ心地は多分に個人差があるので評価しにくいのだが、減点法で考えると気持ちGalaxy Buds Liveの方が上だと思う。Galaxy Buds Liveはイヤーピースを使わず、言うなら豆を耳の穴に突っ込んでるだけなので長時間使っていても耳や耳の穴が疲れにくい。
AirPods Proもうどんが短くなってコンパクトで使いやすいと思うが、イヤーピースを使った古典的なイヤホンなので長時間使うと耳穴への締め付け感や疲労感がある。また、イヤホンが耳から飛び出ているので多少なりに紛失リスクが伴う。
バッテリー持ち&充電環境
評価 | コメント | |
AirPods Pro | A | ケース併用で最大24時間のバッテリー持ち |
Galaxy Buds Live | A | ケース併用で最大29時間のバッテリー持ち |
※どちらもノイズキャンセリングOFFの状態のバッテリー時間を掲載
気持ちGalaxy Buds Liveの方がバッテリー駆動時間が長い。また、Galaxy Buds LiveはUSB Type-Cケーブルを使った充電が可能なので昨今のモバイル充電環境との相性は良い。
AirPods Proはライトニングケーブルでの充電となるため、普段からiPhoneを使っている人でないと別途ケーブルを用意する必要がある。特に出先での充電を考えると面倒かもしれない。
タッチ操作性
評価 | コメント | |
AirPods Pro | S | 感圧ボタンなので操作しやすい |
Galaxy Buds Live | C | 古典的なタッチセンサー仕様、センサーの位置も不明瞭 |
タッチ操作は間違いなくAirPods Proが優れている。AirPods Proは感圧ボタンを採用しており、タッチ操作よりかはボタン操作だ。ボタンを押すたびに微弱に振動するのでボタンの複数回押しも問題なく行える。
対してGalaxy Buds Liveは古典的なタッチセンサー仕様なので、2回タッチ、3回タッチなど反応処理が不安定な部分がある。また、Galaxy Buds Live固有の問題として、タッチセンサーエリアがイヤホン筐体デザインに溶け込んでいるのでタッチセンサーの位置が分かりにくく、これに伴うタッチミスなどもある。
マイク性能
評価 | コメント | |
AirPods Pro | S | 屋外でも屋内でも問題なし |
Galaxy Buds Live | S | ノイキャンマイクで通話時の雑音カット可能 |
AirPods Pro、Galaxy Budsともにノイズキャンセリング用マイクを使ったマイク利用時の雑音除去が可能なモデルだ。そのため、双方ともに普段使いで文句ないクオリティであり、テレワーク用途だったり、出先でのヘッドセット代わりに使うにも問題ない。評価はほぼイーブンだろう。
まとめ
これまでの評価をまとめると以下のようになる。
AirPods Pro | Galaxy Buds Live | |
ノイズキャンセリング性能 | S | B |
音質(オーディオ性能) | B | A |
接続安定性 | S | S |
つけ心地 | S | S |
バッテリー持ち&充電環境 | A | A |
タッチ操作性 | S | C |
マイク性能 | S | S |
どちらもワイヤレスイヤホンとして非常に完成度は高い。それゆえ、普段使いで感じるであろうデメリットを許容できるか否かが最終的な購入判断になると思う。双方のデメリットだが、まとめると以下のようになる。
▼ AirPods Proのデメリット
- 音質がショボい
- USB Type-Cケーブルで充電できず
- iPhone以外の端末だと諸所カスタマイズできず
▼ Galaxy Buds Liveのデメリット
- ノイズキャンセリング性能が低い(物理的な遮音性が低い)
- タッチ操作しにくい
AirPods Pro、Galaxy Buds Live、どちらが良いかは、上記デメリットのどちらを受け入れることができるかに等しい。上記デメリット以外はおおよそ接戦でどちらも文句ないレベルだ。これをチェックした上で良きワイヤレスイヤホンを選んでくれれば幸いだ。
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