「Tuned by VICTOR STUDIO」ブランドを冠したVictorワイヤレスイヤホンが登場。「Victor HA-FX550T」。
「Tuned by VICTOR STUDIO」ブランドは、通常シリーズラインのワイヤレスイヤホンと異なり、Victorスタジオの音響エンジニアが監修したプロ向け(ハイエンド向け)製品として展開されます。
Victor HA-FX550T は独自開発のシルク(絹)振動板を採用。Victorの音響エンジニアがチューニングした専用イコライザーも用意あり。音響ハード、ソフト、双方でこだわった1品です。
ノイズキャンセリング、マルチポイント、ビームフォーミング対応マイクなど昨今のワイヤレスイヤホンのトレンド機能も揃えており、機能面も抜かりなし。Victorのハイエンド帯ワイヤレスイヤホンとして相応しい仕上がりです。
この記事では、Victor HA-FX550T をレビュー。実機でその使い勝手を見ていきます。
この記事の目次(タッチで移動)
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Victor HA-FX550T の製品概要
スペックシートを確認
発売時期 | 2024年6月 |
直販価格 | |
販売元ブランド | Victor(国産) |
Bluetoothバージョン | 5.3 |
Bluetooth対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
ノイズキャンセリング | 対応 |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | 対応(最大2台) |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | ✗ |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体6時間 |
ケース併用で最大21時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線)のみ |
製品概要
Victor HA-FX550T は、2024年6月に発売開始したVictorのフラッグシップ・ワイヤレスイヤホン。
「Tuned by VICTOR STUDIO」ブランドを冠したプロ仕様モデル。通常シリーズラインと異なり、Victorスタジオの音響エンジニアが監修した製品として展開されます。
ドライバーには独自開発のシルク(絹)の振動板を採用。角がない、無駄な振動のない“なめらかな”サウンドを強みとします。
LDACコーデックに対応するほか、Victorの音響エンジニアがチューニングした専用イコライザーも用意あり。音響面のハード、ソフト、双方でこだわった1品です。
ノイズキャンセリング、マルチポイント、ビームフォーミング対応マイクなどトレンド機能も完備。
公式的にテレワーク用途をPRしていることもあり、特に通話マイクは高性能。屋内外で雑音入らずに問題なく使えます。
ただ、その一方でバッテリー駆動時間は短め。通常時でイヤホン単体6時間、ノイズキャンセリングONだと同4時間、LDAC併用だと2〜3時間くらいしか持ちません。バッテリー駆動時間の短さは同製品最大のネックです。
直販価格は29,700円。カラーリングはブラック、ブロンズの2色展開。当記事のレビューモデルはブロンズ色です。
メーカー公式の保証期間は1年。
Victor HA-FX550T の外観・デザイン
イヤホン本体
イヤホン形状はカナル型。
サイズがコンパクトなのにくわえ、独特の楕円形状のイヤホン構造とあり、耳穴の形に沿って"すぽり”とハマります。装着感は抜群によいです。
イヤホンを装着したイメージ。
ほぼ耳穴にハマった状態ですね。気持ちいいまでのフィット感です。
耳から飛び出てる部分も少なめ。マスク紐との干渉もありません。
イヤーピースは5サイズを用意。音質劣化を軽減するVictor独自開発の「スパイラルドットPro」(EP-FX12)イヤーピースです。
イヤホン筐体は非常に高級感あり。
(レビュー機が)ブロンズ色ということもあり、高級オーディオ筐体のような光沢や艶っぽさあります。ビジュアル買いしても損ないレベルの美しさ。
イヤホン表側(ロゴマーク部分)にはタッチセンサーボタンあり。所々オーディオ操作できます。
オーディオ操作コマンド
以下12枠に任意の操作コマンドを割り当て可能。
なお、「1回押し→長押し」「2回押し→長押し」に関しては音量操作コマンドのみ割り当て用意されます。
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
2回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
3回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
4回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
5回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
1回押し→長押し | 音量1下げる or 割り当てなし | |
2回押し→長押し | 音量1上げる or 割り当てなし | |
長押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
▼ 割り当て可能内容(重複設定可)
- 再生/停止
- 次の曲に進む
- 前の曲に戻る
- イコライザー変更
- 音量1下げる
- 音量1上げる
- 音声アシスタント起動
- 低遅延モード起動
- 優先モード
- ノイズキャンセリング←→外音取り込みの切り替え
- 割り当てなし(反応なし)
通話コマンド
以下12枠に任意の操作コマンドを割り当て可能。
なお、「1回押し→長押し」「2回押し→長押し」に関しては音量操作コマンドのみ割り当て用意されます。
左イヤホン | 右イヤホン | |
1回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
2回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
3回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
4回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
5回押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
1回押し→長押し | 音量1下げる or 割り当てなし | |
2回押し→長押し | 音量1上げる or 割り当てなし | |
長押し | 割り当て可能 | 割り当て可能 |
▼ 割り当て可能内容(重複設定可)
- 着信対応&マイクミュート
- 着信終了&着信拒否
- 転送
- 音量1下げる
- 音量1上げる
- サイドトーン
- ノイズキャンセリング←→外音取り込みの切り替え
- 割り当てなし(反応なし)
イヤホンの着脱検出は非対応。イヤホン着脱と連動したオーディオ再生・停止は機能しません。
防水はIPX4仕様(生活防水等級)。雨や汗に濡れる程度なら問題ありません。
充電ケース
充電ケースは非常に小さめ。
数値で言うと縦3cm、横4cm、厚み3cmほど。愛くるしさ感じるレベルのコンパクトサイズです。
片手でらくらく握り込めるサイズ感。ズボンのポケット、シャツの胸ポケットなどに入れておいてもモッコリしません。
上蓋にはニッパー君(犬)のロゴマークあり。プリント印字なので経年劣化で剥げる可能性あります。
ケース外装は磨き上げたプラスチック。さらさらした触り心地です。
ブロンズ色と相まって高級感あってよし。ただ、その分、傷など目立ちそうな印象あります。きれい好きな人だとケースカバーを装着しておいた方がいいかもしれません。
Amazonを探すと1,500円くらいのノンブランド品が2製品だけありました。純正ケースカバーは展開ありません(→ Amazonでケースカバーを見てみる)。
ケースの上蓋を開いたイメージ。
ケースのワイヤレス充電(Qi)は非対応。USB Type-Cケーブルを使った有線充電のみ対応です(ケーブル同梱あり)。
ケースは防水対応なし。濡れるの厳禁です(イヤホン本体側のみIPX4の防水対応あり)。
Victor HA-FX550T の音質レビュー
【音質】ボーカルの描写力高し
低音 | (4.5) |
中音 | (4.5) |
高音 | (4.5) |
豊かな低音、丁寧なボーカル、きらびやかな高音が絡み合ったバランスいい音の仕上がり。
独自開発の11mmシルク(絹)振動板を採用したこともあり、そこそこ低音域ありながらも中音域〜高音域も丁寧に描写。音こもることありません。
特にボーカルの描写力が秀逸。Adoのしゃがれ声すらそのまま描写できる音の情報量。そして音の再現性の高さあります。
単なるきれいさっぱりした音で終わらず、楽曲のボーカルを丁寧に描写することで音のクセとして加味した意欲作です。
LDAC対応あり
ハイレゾ・コーデックたるLDACに対応。大方のAndroidスマホで使う場合ならハイレゾ音域(24bit/96kHz)での高音質オーディオ再生が可能です。iPhoneはLDAC非対応なので使えません。
イコライザー調整に対応
iOS・Android向けの専用アプリからイコライザー調整が可能。
「FLAT」BASS」「CLEAR」の3種類ほか、Victorの音響エンジニアがチューニングした「PROFESSIONAL」イコライザーが5つ用意されます。
イコライザーの種類
FLAT | デフォルト(音の強弱が少なめ) |
BASS | 低音強め |
CLEAR | 高音強め |
PROFESSIONAL 1 | ボーカル重視 |
PROFESSIONAL 2 | 音の立体感重視 |
PROFESSIONAL 3 | 音の抜けのよさ重視 |
PROFESSIONAL 4 | 楽器のアンサンブル重視 |
PROFESSIONAL 5 | 楽器の描写力重視 |
CUSTOM 1〜3 | 任意設定(目盛り単位で調整可能) |
デフォルトの「FLAT」だと音が地味に感じる人もいるかもしれません。この場合は「PROFESSIONAL」イコライザーあたりを使って音にクセを付けたい。
筆者個人的には「PROFESSIONAL 5」がおすすめ。細かな楽器の音も含めてとことんまで描写。多くの音が一律に堪能できて音を聴く満足度が高めです。
【✗】空間オーディオ非対応
各社が提供し始めている空間オーディオ再生(3Dオーディオ再生)には非対応。
Victor HA-FX550T の機能レビュー
ノイズキャンセリング
ノイズキャンセリング性能 | (4.5) |
遮音強度の調整 | ✗ |
ノイズキャンセリングは高性能。
機械的な遮音(アクティブ・ノイズキャンセリング)がしっかり機能してます。低音域を中心に低減。機能ON/OFFで明確に周囲の音の明るさが変わります。
イヤホンのフィット感のよさと相まり物理的な遮音性も高め。これにくわえてイヤーピースのサイズをより大きめのものに変更すればプラスαで遮音強化できます。
ノイズキャンセリング利用に伴うホワイトノイズ(サーッといった機械音)も発生なし。オーディオ再生を停止した状態なら簡易なデジタル耳栓になります。
外音取り込み機能(ながら聴き機能)
補足
外音取り込み機能は、機械的に周囲の音を集音し、イヤホンを装着したままスピーカー経由で周囲の音が聞き取れる機能のこと
外音取り込み性能 | (4) |
取り込み音の調整 | ✗ |
外音取り込み機能はギリ実用水準の性能。
機能ONにすると周囲の音が1トーンほど明るくなります。取り込みのためのノイズ(サーッといった音)も発生しておらず、機能それ自体は実用水準の性能あると思います。
ただ、よくも悪くもイヤホンのフィット感がよくて物理的な遮蔽感があるせいか、音こもり感が強め。その結果として取り込み音がそこまでクリアではなく、周囲の音が聞き取りづらい印象あります。
概して機能は実用水準ですが、いざ実用となると使い勝手がちょい悪め。常時機能ONにして"ながら聴き"運用するのは難しそうな気がします。
通話マイク品質
通話マイク性能 | (5) |
通話マイクは高性能。
自分の声のピックアップ、周囲の音の除去、風切り音の低減ともに機能してます。
もとよりテレワーク用途を打ち出していることもあり、ノイズ除去機能だけでなくビームフォーミング機能も搭載あり(複数マイクを使った音の検出・見極め機能あり)。口元の音の検出精度は高めです。
屋内でビデオ通話マイクとして使うには十分すぎる性能です。なんなら屋外での通話もいけます。
マルチポイント・ペアリング切り替え勝手
マルチポイント | 対応(最大2台) |
マルチポイントとLDACの併用 | 対応 |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
ペアリング接続先の上書き切り替え | ✗ |
Google Fast Pair | 対応 |
マルチポイント対応。最大2台のデバイスと同時接続。なにかしらオーディオ再生を開始したデバイス側に自動でオーディオ出力先が切り替わります。
ペアリング接続先の上書き切り替えには非対応。マルチポイント接続外のデバイスにペアリングを切り替える場合、先に現在のペアリング接続を解除する必要あり。そのあとBluetooth設定画面からイヤホン名を選択すれば当該デバイスにペアリング接続先が切り替わります。
新規ペアリングモードの起動方法
既存のペアリングデバイスのBluetoothをオフにし、ペアリング再接続できない状態で5秒〜10秒ほど放置すると新規ペアリングモードに切り替わります。
新規ペアリングモードそれ自体を起動するための操作コマンドや操作ボタン、アプリ機能は用意ありません。
バッテリー持ち・充電環境
バッテリー性能 | (3) |
(イヤホン単体6時間、ケース併用21時間) | |
ワイヤレス充電 | ✗ |
バッテリー持ちは同製品最大の弱点。
通常時でもバッテリー持ちが短めですが、ノイズキャンセリング常時ONの状態だとイヤホン単体4時間、ケース併用14時間とさらに短く。
なおかつ、LDACコーデックを使う場合だとさらに短くなります。数値は非公表ですが、筆者体感ではイヤホン単体2時間〜3時間くらい。
アナウンス通知なく勝手にバッテリーが切れるので故障したかと勘違いするタイミングがいくらかありましたが、単にバッテリーが切れただけなのです。
ワイヤレスイヤホンなので充電ケースにイヤホンを戻せば再度充電できます。とはいえ、数時間とぶっ通しでイヤホンを使う機会がある人だとバッテリー持ちがネックになるかもしれません。
ワイヤレス充電(Qi)非対応
ワイヤレス充電(Qi)には非対応。USB Type-Cケーブルを使った有線充電のみ対応です(ケーブル同梱あり)。
急速充電に対応
バッテリー残量が少ないときに限り、15分の充電でオーディオ再生70分相当の急速充電が可能です。
まとめ
【Good!】Victor HA-FX550T のよかったところ
- バランスよく仕上げた音質(かつボーカル描写力が高め)
- イヤホンの装着感が抜群によし
- 通話マイクは高性能
- 高級感あるイヤホン筐体
【Bad...】Victor HA-FX550T の気になったところ
- バッテリー駆動時間が短め
- ケースのワイヤレス充電(Qi)非対応
- 新規ペアリングモードの起動ボタン・コマンド用意なし
Victor HA-FX550T は、バッテリー駆動時間の短さを除けばケチらしいケチのつけようがない完成度。
音質、装着感、ノイズキャンセリング性能ともに優秀。イヤホン筐体はブロンズ色と相まって高級感が多分にあります。
バッテリー駆動時間の短さは要確認。通常でイヤホン単体6時間、ノイズキャンセリングを常時ONなら4時間、LDACも併用すれば2〜3時間と致命的にバッテリー駆動時間が短めです。
ワイヤレスイヤホンなので充電ケースにイヤホンを戻せば再充電できますが、数時間とイヤホンを着けっぱなしにして音楽を聴きたい人だとバッテリー持ちがネックとなるかもしれません。
バッテリー駆動時間さえ問題なければ Victor HA-FX550T は文句なしにおすすめです。
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