1962年創業の国産オーディオメーカー大手「オーディオテクニカ」。
同社は2018年に完全ワイヤレスイヤホン市場に参入。これまでスポーツモデル、ハイエンドモデルを中心に手がけていたが、2020年10月にエントリーモデルとなる新作を発表。
それが、今回レビューするオーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」だ。
市場価格8,000円。今までになくポップで明るいデザインに一新され、女性でも気軽に使いやすい。
見てくれだけでなく、ボーカル主体のオーディオと遅延性能に強み。アンダー1万円モデルながら低遅延モードを搭載しており、機能ONにすれば動画やゲームが遅延(音ズレ)なく楽しめる。
巷ではゲームに特化した低遅延モードが多いが、オーディオテクニカの低遅延モードは動画再生時にも使える。YouTubeやNetflixをよく視聴している人であれば、日常的に活用する機会がありそうだ。
この記事ではオーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」をレビューしていきたい。
オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」製品評価
発売時期 | 2020年10月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」の製品評価は以下のとおり。
低音 | (3) |
中音 | (4) |
高音 | (3.5) |
イヤホンの装着感 | (3.5) |
ノイズキャンセリング | - |
外音取り込み機能 | (1) |
マイク性能 | (3) |
バッテリー性能 | (2) |
ここがGood!!
音質は中音域〜高音域メイン、ボーカル主体で楽しめる
「低遅延モード」搭載、ゲームだけでなく動画再生時にも利用可能
生活防水(IPX4)対応、雨や汗に耐えられる
イヤリング風味のスクエアデザインがおしゃれ
ここがBad...
「外音取り込み機能」はおまけ、実用性はほぼない
新規ペアリングモードの起動方法が面倒くさい
バッテリー駆動時間がケース併用19.5時間と相場よりも短め
製品カラーリングは6色
カラーリングは6色(ブラック、ホワイト、ネイビーレッド、ピンクブラウン、ブルー、マスタード)。レビューはピンクブラウンで行う。
この記事の目次(タッチで移動)
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オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」製品概要
3行でわかる!オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」
- オーディオテクニカの最新スタンダードモデル
- イヤリング風味のイヤホンデザインがおしゃれ
- 動画&ゲームで使える「低遅延モード」搭載
オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」は、2020年10月に発売開始。
従来のオーディオテクニカのワイヤレスイヤホンとは異なり、ハイエンドモデルでもなければスポーツモデルでもない、ごくごく普通のスタンダードモデルに位置づけられる。
女性ユーザーを意識した製品であり、イヤホンデザインはイヤリング風味のスクエア形状。装着すると耳元でちらりと光るアクセサリー感が多分にある。
「低遅延モード」も搭載。他社の低遅延モードはゲーム専用の機能だったりするが、オーディオテクニカの低遅延モードは動画視聴時でも利用できる。YouTubeやNetflixを視聴するときに使えば音ズレ、台詞ズレなど極めて軽減。スタンダードモデルながらハイエンドモデルのような遅延性能に。
基本的なスペック情報
発売時期 | 2020年10月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み機能 | 対応 |
マルチポイント | × |
防水性能 | IPX4 |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体6.5時間 |
ケース併用で最大19.5時間 | |
ケース充電方法 | USB Type-C(有線) |
発売時期 | 2020年10月 |
市場価格 | 8,000円前後 |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
Bluetooth対応コーデック | SBCのみ |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体で6.5時間、ケース併用で19.5時間 |
充電方法 | USB Type-C(有線) |
防水性能 | IPX4 |
ノイズキャンセリング(ANC) | × |
外音取り込み機能 | ○ |
マルチポイント | × |
「三代目 J SOUL BROTHERS」とのコラボモデルあり
三代目 J SOUL BROTHERSのNAOTOがプロデュースするブランド「STUDIO SEVEN」とのコラボモデルあり。市場価格は1万円前後。
中身(スペック仕様)はそのまま通常版と同じ。外観デザインだけが変更される。
ペアリング仕様
Google Fast Pair | 対応 |
マルチペアリング | 対応(最大?台) |
新規ペアリングモードの起動方法 | 既存ペアリングデバイスのBluetoothをオフに → 再接続できない状態で数秒経つと新規ペアリングモードが起動 |
マルチポイント | × |
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替え | ×(先に現在のペアリングを解除する必要あり) |
新規ペアリングモードの起動コマンド(起動ボタン)は用意されず。
新規ペアリングモードに切り替えたい場合、まず現在のペアリングを解除する。そのあとペアリング再接続できない状態で数秒待つと新規ペアリングモードに移行する。
Google Fast Pair とは?
Google Fast Pairは、Googleが提供するペアリング簡素化システム。
Android OS 6.0以上のスマホであれば、新規ペアリングモードの起動と同時に専用のポップアップ画面が表示され、画面からワンタッチでペアリング設定できる。
マルチペアリングとは?
マルチペアリングとは、複数のBluetoothデバイスのペアリング情報が記録できる機能のこと。昨今のワイヤレスイヤホンだとおおよそ5台〜10台のデバイスのペアリング情報が記録できる。
新規ペアリングモードの起動方法について
初回設定時はケース蓋を開くだけで自動で新規ペアリングモードが起動する。2回目(2台目)以降のペアリングを行う場合は新規ペアリングモードを手動で起動する必要がある。
マルチポイントとは?
マルチポイントとは、複数のBluetoothデバイスを同時接続できる機能のこと。オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」はマルチポイント非対応。
複数デバイス間のワンタッチでのペアリング切り替えとは?
複数デバイス間でペアリングを切り替える場合、先に現在のペアリングを解除する必要がある。一部の製品だと現在のペアリングを解除せずにペアリングが切り替えられるが、オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」は同仕様に対応せず。
オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」の外観&使用感チェック
充電ケースはクリームケースサイズ
ケースサイズは直径5cmほど、厚み3.3cmほど。
気持ちハンドクリームの(小)容器くらいの大きさ。ズボンのポケットに入れっぱなしでも邪魔にならない。
充電はUSB Type-Cケーブルで、ワイヤレス充電には非対応
USB Type-Cケーブルを使った有線充電のみ対応。ワイヤレス充電(Qi充電)には対応せず。
Androidスマホを使っている人であればUSB Type-Cケーブルがそのまま使いまわせる。
イヤホンはスクエア仕様でおしゃれ
イヤホン本体は、耳元アクセサリー感あるスクエアデザイン。イヤホン本体からはみ出るようにして付いてる耳型パーツがこれまた良いアクセントであり存在感に。
少しばかり出っ張ったイヤホンデザインのため、耳に装着すると耳からはみ出して見える。
ただ、イヤホンサイズが小さいため、イヤーピースのサイズさえ調整すればしっかりと耳穴とフィットする。イヤホンの抜けおちリスクも軽減できる。日常使いで致命的な勝手の悪さはみられない。
オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」の音質&機能面チェック
音質は中音域〜高音域メイン、ボーカル主体で楽しめる
土台の音は中音域〜高音域。気持ち高音域が強い。低音はそこまで強くない。
全体的に優しめサウンドなので長時間のリスニングでも聞き疲れしない。ボーカル音声がわりと前のめりに出ているので、バックサウンドでノリノリになりたい人よりかはボーカルをしっかりと聞きたい人におすすめのワイヤレスイヤホンだ。
低音が弱めなので、聞く曲によっては盛り上がりに欠けるかもしれない。あくまでもバックサウンドよりもボーカル重視のワイヤレスイヤホンだ。
なお、イコライザー調整には対応しておらず、音質を別途カスタマイズすることはできない。
「低遅延モード」はたしかに効果ある
オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」の隠れたセールスポイントたる低遅延モード。ゲームだけでなく動画再生時にも利用できるので他社の低遅延モードよりも汎用性が高い。
低遅延モードは、左イヤホンのタッチパッドを3秒長押しで機能ON/OFFできる。
いざ機能ONにするとYouTubeやNetflixなど動画サービスを視聴する程度であれば、ほぼ音ズレが認知できないレベルに落ち着く。音質が少しばかり悪くなるのだが、実用性の観点で言えば合格ラインだ。
ゲームに関しても限りなく違和感なくプレイできる。ただ、無線通信である以上、どう頑張っても100%の遅延回避は無理。特に音ゲーあたりをやりこんでる人だとタイミング調整も含めて使った方がよさそう。
ワイヤレス接続は思っていたよりも安定してる
土台Bluetooth 5.0のワイヤレスイヤホン(Bluetoothイヤホン)ということもあり、屋外で使った場合でも酷い音飛び、ブツ鳴り、接続切れはみられない。
あくまでワイヤレスイヤホン(Bluetoothイヤホン)なので周囲のBluetoothデバイスと電波干渉する可能性も無きにあらずだが、製品それ自体を原因とした致命的な問題はなさそう。
ちなみに、iPhoneだとiPhone 7/7 Plus以前の機種がBluetooth 5.0に非対応。否応にもiPhone側のスペックに合わせて接続されるBluetoothバージョンが引き下げられ、ワイヤレス接続も不安定になりがちだ。ここらの古いiPhoneを使っている人は注意した方がいい。
オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」の気になったところ(あるいはデメリット)
外音取り込み機能はオマケ程度の効果(実用性はほぼない)
右イヤホンのタッチパッドを2秒長押しで外音取り込み機能が起動する(オーディオテクニカいわくの”ヒアスルー機能”)。
外音取り込み機能は、イヤホンを装着したまま周囲の音が聞き取れる機能。骨伝導イヤホンのようにして活用できる。
ただ、同製品の外音取り込み機能はあまり目立った効果は見られない。というかほとんど機能しているように見えない。
周囲の音を取り込んでいるはずなのだが、気持ち、ほんの少しだけ周囲の音が明るくなったかな?という程度の変化しかなくて、お世辞にも性能が高いとは言えない。実用性は皆無だろう。
タッチ操作コマンドは変な割り当て(なおかつ変更不可)
イヤホンのタッチセンサーを使ったタッチ操作が可能。タッチ操作ならではの反応処理の悪さも見られず、複数回タッチもきちんと認識される。この点、特に文句はない。
ただ、気になるのがタッチ操作コマンドの割り当て。
右イヤホンと左イヤホンに別々のコマンドが割り当てられる。タッチ操作コマンドの割り当て変更には対応しておらず、デフォルトままで使うことになる。他社だと見ない変わった割り当てなので慣れるのに時間がかかりそうだ。
▼ オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」のタッチ操作コマンド
左イヤホン操作 | 右イヤホン操作 | |
1回タッチ | 音量UP | オーディオ再生/停止 |
2回タッチ | 音量DOWN | 次の曲へ進む |
3回タッチ | -- | 前の曲へ戻る |
2秒長押し | -- | 外音取り込み機能ON/OFF |
3秒長押し | 低遅延モードON/OFF | -- |
着信時に左右どちらかを1回タッチで着信対応できる。着信終了は2秒長押し。着信時に2秒長押しで着信拒否。
通話マイク性能は普通(ノイズカットなし)
イヤホン本体に通話マイクを内蔵。ハンズフリー通話で、あるいはビデオ通話のイヤホン&マイクとして活用できる。
集音性能こそ問題ないが、ノイズカット機能を搭載していないので、雑音や騒音、自宅の生活音など含めて均一に周囲の音を集音してしまう。うるさい場所だと声がかき消されてしまい使いにくい。
基本的には静かな場所での利用に留めた方がいい。騒音のある場所ならまだスマホのマイクの方が優秀だ。
この記事のまとめ
オーディオテクニカ「ATH-SQ1TW」をレビューしてきた。
低遅延性能とボーカル重視のオーディオ性能に強みを持つ。もとよりオーディオテクニカのスタンダードモデルとあり、スタンダードモデルならではの立ち位置はしっかりと果たせているよう思える。
ノイズキャンセリングやマルチポイントなど最新機能には対応していないが、そんな機能いらないという人なら問題ないだろう。
国産メーカー品ながら価格8,000円の製品とあり、コスパの観点から見てもおすすめ。そこそこ知れてるメーカー品のワイヤレスイヤホンを探している人など、ぜひ試してみてほしい。
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