Androidタブレット「BOOX Nova3 Color」を購入したのレビュー。
BOOXはE Inkディスプレイを搭載したAndroidタブレット。E Inkディスプレイ上で「Kindle」「honto」「楽天マガジン」「Yahoo!ニュース」「日経電子版」「OneNote」「Google Keep」などなどAndroidアプリがそのまま使える胸アツデバイスだ。
なおかつ、今回レビューする「BOOX Nova3 Color」はE Inkディスプレイながらカラー表示に対応した意欲作。
E Inkディスプレイならではのメリット、そしてデメリットが混在するデバイスなので万人向けの製品とは言えない。それでもKindleやkoboなど電子書籍だけのE Inkデバイスだと物足りない、プラスアルファでいろいろAndroidアプリが使いたい!という人ならBOOXを試してみる価値あり。
この記事では「BOOX Nova3 Color」をレビューしていく。
この記事の目次(タッチで移動)
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レビュー対象製品
発売年 | 2021年3月 |
直販価格 | 49,800円 |
※現在は公式販売終了(後継モデルを展開中)
後継モデル「BOOX Nova Air Color」(価格59,800円)
事実上のモノクロディスプレイ版モデル「BOOX Nova Air」はこちら。価格46,800円。
BOOX Nova3 Color レビュー
スペックシート
▼ システムスペック | |
OS | Android 10 |
メモリ | 3GB |
本体容量 | 32GB |
SDカード拡張 | ✗ |
CPU | クアルコム8コア |
▼ ハードスペック | |
画面サイズ | 7.8インチ |
解像度 | (モノクロ)1404×1872、300dpi |
(カラー)468×624、100dpi、4096色 | |
本体サイズ | 縦19.7cm、横13.7cm、厚み0.8cm |
本体重量 | 276g |
▼ そのほか | |
充電ポート | USB Type-C(OTG仕様) |
マイク | あり |
スピーカー | あり |
3.5mmイヤホンジャック | ✗ |
防水性能 | ✗ |
通信ネットワーク | WiFi(2.4、5GHz)、Bluetooth 5.0 |
BOOX Nova3 Color は、画面7.8インチのAndroidタブレット。なおかつ、E Inkディスプレイを搭載している。
あくまでもAndroid OS端末であるのがキモ。E Inkディスプレイで電子書籍を読むだけならKindle、koboで十分だが、BOOXはプラスアルファでAndroidアプリが使える。E Inkディスプレイ上で雑誌読み放題アプリやニュースアプリを使いたい人だとその強みが存分に理解できるかと思う。
ハード本体
ハード表面(ディスプレイ側)。
BOOXシリーズは最初から保護フィルムが貼り付けてある。フィルムは反射を防ぐマット加工仕様。
下部中央に物理ボタンあり。「戻るボタン」として利用できる。設定項目でカスタムすればホームボタンに変更可能。
ハード背面。素材はプラスチックだが、適度になめらかな質感あって撫でたくなる(とはいえケースを付けてしまうと関係ないのだが...)。
ハード上側に電源ボタンあり。長押しで電源ON/OFF。1回押すと画面スリープON/OFFできる。
ハード下側には充電ポート(USB Type-C)とマイク穴あり。
ハード側面は左右ともにボタンなし。
本体重量は276g。同等サイズのiPad miniが290g台なのに比べると軽い。
純正スタイラスペン(同梱品)
スタイラスペンが付属。長さは14cmほど。そこらにあるシャープペンと変わらぬサイズ感。
ペン反対側(上部側)に消しゴム機能あり。こすれば消しゴムのようにして線画データなど削除できる。
スタイラスペンは充電の必要なし(バッテリー非搭載)。線画、消しゴムともにペン単体の機能として完結してて勝手いい。
純正ケース(別売り)
純正ケースはオートスリープ対応。蓋の開け閉めで画面ON/OFFが可能。
フェイクレザーとグレー色の風合いが相まって良い味出てる。ビジネスユースでもさまになる落ち着いた印象だ。
背面は黒一色。素材はプラスチック。
ペンホルダーあり。
ケース込みの本体重量は388g。ペン含めると400gほど。
純正ケースは直販5,000円と割高だが、それに見合うだけの質感ないしビジュアルのよさはある。予算の都合つく人ならBOOX Nova3 Colorと一緒の購入をおすすめしたい(※現在ケースの公式販売終了)。
ホーム画面(ソフトウェア)
デフォルトのホーム画面はこれ。一般的なAndroidタブレットとは異なるBOOX専用のホーム画面を採用している。
左端に6つの固定メニューあり。固定メニューの項目の並び順は変更できるが、項目の削除&追加はできない。
固定メニューの項目一覧
項目の内容 | |
書庫 | 専用ストアから購入した書籍を表示 |
ストア | 専用ストアを開く |
ノート | 専用ノートアプリを開く |
保管庫 | 内部ストレージ(保存データ)を確認する |
アプリ | アプリ一覧画面を開く |
設定 | 設定画面を開く |
BOOXの専用ストアは洋書しかない海外仕様なので実用性は皆無。あえて日本人で使う人もいないだろう。
正直なところ、固定メニューに無駄な項目が多くてデフォルトのホーム画面だと使いづらい。勝手知れてる人なら外部のホームランチャーアプリを使った方がいい。
それこそ土台AndroidなのでGoogle Playストアから好きなホームランチャーアプリが落とせる。
筆者はNova Launcherを活用して↓以下のようなホーム画面にカスタムしている。
ナビボールあり
"ナビボール”ことショートカットボタンあり。タッチするとショートカット機能を表示展開できる。
ショートカット機能として「ホーム画面に戻る」「E Inkディスプレイのリフレッシュ」「スクショ撮影」など用意。機能の割り当て変更にも対応している。
ナビボールは任意の場所に移動させられるほか、非表示(機能OFF)にもできるので邪魔なら消してしまえばいい。
BOOX Nova3 Color、E Inkディスプレイの使い勝手は?
メリット・デメリットまとめ
BOOX Nova3 Color のE Inkディスプレイのメリット、デメリットは以下のとおり。
メリット
- ウェブサーフィン(ニュースアプリ周回)は問題なく行える
- E Inkにしてはスクロールがヌルサク動く
デメリット
- 画面の明るさはKindleに劣る
- カラー表示はオマケ程度
- 画面ズーム処理は遅い
メリット
メリット
- ウェブサーフィン(ニュースアプリ周回)は問題なく行える
- E Inkにしてはスクロールがヌルサク動く
ウェブサーフィン(ニュースアプリ周回)は問題なく行える
メモリ3GBのAndroidタブレットとあり、E Ink以前の話として「CPUスペック的に大丈夫なのか?」と不安の人がいるかもしれないが安心してほしい。
Chromeブラウザを使ったネット周回だったり、ニュースアプリを開いて記事を読む程度のことなら難なくこなせる。もちろん電子書籍の閲覧も問題ない。ソシャゲでもやらない限りメモリなんて3GBで十分だ。
E Inkによる情報の書き換え表示もスムーズ。iPadのように瞬時に画面が切り替わるわけではないが、コンマ数秒ペースで画面が切り替わるので日常使いでストレスを感じるレベルではない。
E Inkにしてはスクロールがヌルサク動く
E Inkディスプレイの地味なデメリットとして知られる画面スクロールだが、BOOX Nova3 Colorのスクロールは予想外にもスムーズ。
「指に吸い付くよう...」とは言わずもスクロールしたいタイミングでスクロールできてる。
Kindle端末あたりを使ったことのある人ならわかるかもしれないが、E Inkディスプレイだと画面スクロール動作が非常にもっさりする。このもっさり感が見られず、普通のタブレットのようにスクロールできるのは評価ポイントだ。
デメリット
デメリット
- 画面の明るさはKindleに劣る
- カラー表示はオマケ程度
- 画面ズーム処理は遅い
画面の明るさはKindleに劣る
バックライトを完全オフにした状態だとKindleよりも画面は暗い。E Inkディスプレイならではの白さはない。
Kindle端末だとバックライトが完全オフでも画面の白さを感じられるが、BOOX Nova3 Colorは電子辞書のような青グレーに近い色味。
E Inkデバイスとはいえバックライトを完全オフで使う人もまれかと思うが、Kindle端末ならではの画面の白さで目が慣れてる人だとBOOX Nova3 Colorの画面は暗く感じそうだ。
カラー表示はオマケ程度
BOOX Nova3 Color はカラー表示できるE Inkディスプレイ(カレイドプラス)を搭載。
ただ、カラー表示の解像度は468×624止まり。dpiも100と粗い。
いざカラー表示にしてみても正直オマケ程度の着色で満足度は低い。
何色かをそれとなく認知することは可能だが、色味それ自体を楽しむためのカラー表示とは言えない。カラー表示狙いでBOOX Nova3 Colorの購入を検討している人だと、あまりの色素の薄さに肩透かし食らうこと違いない。
画面ズーム処理は遅い
これはE Inkディスプレイ端末ならではのデメリット。
E Inkディスプレイの仕様上、画面ズーム(ピンチイン・ピンチアウト)一つとっても画面の書き換えが必要。BOOXも例外ではなく、ズームするときの動作処理のもっさり感は筆舌に尽くしがたい。特に電子新聞など閲覧するときは多分にストレスに感じる。
電子ノートとしての使い勝手は?
書き心地はよい。視差があるのは残念
BOOX Nova3 Color は電子ノートとしても利用可能。専用ノートアプリほか、Androidアプリとして提供される各社のノートアプリが使える(公式に対応表明しているノートアプリはOneNote、Evernoteのみ)。
書き心地は非常によい。4096段階の筆圧に対応したワコムペンタブ仕様。専用のスタイラスペンと組み合わせることで"スラスラ""さらさら”と形容したくなるスムーズな線画が可能だ。さながらボールペンでメモ書きしてるような錯覚を覚える。
ただ、ペン先と線画先のズレ(視差)があって使いづらさも残る。システム設定で視差が調整できるが、それでも気持ち0.4mm〜0.5mmくらいの視差は残ったまま解消できず。
メモ書きで大雑把に使うときなら問題ないが、テキストファイルなどに細かな文字を書き込むときだと視差を邪魔に感じそう。ペンタブとしてのスペックが優秀なだけに残念なところ。
そのほか確認しておきたい注意点
「dマガジン」は使えない
ドコモが提供する雑誌読み放題アプリ「dマガジン」は使えない。
厳密に言うとアプリ起動はできるのだが、dアカウントのログインが封じられており、サンプル冊子しか閲覧できない。
調べてみると数年前から残ってる問題のよう。改善は期待薄。
動画も再生できるが実用性は低い
BOOXシリーズは土台Android OSなのでアプリストア経由で「YouTube」「Amazonビデオ」などダウンロードできる。
ただ、動画を再生すると画面の書き換えが多すぎて映像がカクカクする。3G回線で解像度480pでYouTubeを再生しているような錯覚を覚える。
もとよりE Inkデバイスで動画を見ようと考えている人はいない...?と思うが、とりあえず注意しておきたい。
残像あり
E Inkディスプレイは画面を都度書き換えて情報を表示するため、”残像”と形容される前ページ、前々ページの表示情報が画面上に残ってしまうことがある。
BOOXも例にもれず残像あり。手動or自動での残像リフレッシュ機能こそ提供されるが、それでも残像はゼロではない。
視認性に影響の出るレベルの残像ではないのでそこまで不安を覚える必要はない。ただ、E Inkディスプレイの勝手を知らない人だと妙な気持ち悪さを感じるかもしれない。
BOOX Nova 3 Color、どういう人におすすめ?
E Inkデバイスの勝手(主にデメリット)を理解してる人
BOOX Nova3 Color は、iPadあたりを使っている人が「時代はデジタルウェルビーイング!」と言わんばかりに気軽に乗り換えられるデバイスではない。E Inkデバイスならではの勝手、特にデメリットを理解している人が選ぶべき端末だ。
主に以下のような点は事前に理解しておきたい。
- 画面の切り替え都度、E Ink表示の書き換え待ち時間がコンマ数秒発生する
- 画面ズーム処理はもっさり感あり
- バックライト完全OFFだと画面が暗め
- 残像あり
iPadあたりを使っている人からすると、あまりの動作のもっさり感に落胆を覚えそうだが、あくまでもこの動作感がE Inkデバイスなのだ。デメリットよりかは”仕様”と言うべきだろう。
電子書籍やニュースアプリを見たり、ちょっとしたメモアプリを使う程度のことなら難なくこなせる。実用性それ自体は問題ない。
そのため、上記のようなデメリットないしE Inkデバイスの仕様を許容できるのであれば何を心配することもない。Androidアプリが使える読み物デバイスとしておすすめできる。
モノクロ前提の読み物デバイスとして考えてる人
BOOX Nova3 Color は、E Inkデバイスの勝手を理解していて、なおかつ"Android搭載のE Inkタブレット”という名目に惹かれる人であればおすすめ。
CPUスペック的に、あるいはE Inkデバイス的に読み物デバイスとして文句なく動く。
ただ、BOOX Nova3 Color のセールスポイントたるカラー表示ディスプレイは微妙なでき。少なからずカラー表示ディスプレイ狙いで購入すべき端末ではない。あくまでもモノクロ前提の"Android搭載のE Inkタブレット”の括りで検討すべき製品だ。
この記事のまとめ
BOOX Nova3 Color をレビューしてきた。
”Android搭載のE Inkタブレット”として文句ない使い勝手。Kindleプラスアルファの読み物デバイスとして活用したい人におすすめできる。
ただ、セールスポイントとなるカラーE Inkディスプレイはなんとも言えぬ完成度。ほぼオマケ程度の着色なので、そこまで期待しない方がいい。
これがたとえば、電子ノートを使う人であればマーカーの色の違いが認知できるカラーE Inkディスプレイに一定の実用性を見いだすことができそう。そこまで電子ノートを使う予定のない人なら事実上のモノクロディスプレイ版となる「BOOX Nova Air」で十分かもしれない。
▼ 後継モデル「BOOX Nova Air Color」
▼ 事実上のモノクロディスプレイ版モデル「BOOX Nova Air」はこちら
BOOX製品一覧
※以下すべてモノクロE inkディスプレイ搭載
製品名 | 価格 | 画面サイズ(ppi) | 本体容量 |
BOOX Poke4 Lite | 22,800円 | 6.0インチ(212) | 16GB |
BOOX Leaf | 34,800円 | 7.0インチ(300) | 32GB |
BOOX Nova Air | 46,800円 | 7.8インチ(300) | 32GB |
BOOX Note Air1 | 62,800円 | 10.3インチ(227) | 32GB |
BOOX Note Air2 | 67,800円 | 10.3インチ(227) | 64GB |
BOOX Note Air2Plus | 72,800円 | 10.3インチ(227) | 64GB |
BOOX MaxLumi2 | 119,800円 | 13.3インチ(207) | 128GB |
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