2022年1月より日本国内での発売が開始されたBeats Fit Pro。
Beatsは現在Apple傘下のオーディオブランド。Beats Fit ProはAirPods Proと同じくApple自社製チップ「Apple H1」を搭載しており、Apple版マルチポイント(Appleデバイス間の同時接続)や空間オーディオなどAirPods Pro同等機能がそのまま利用できる。
ノイズキャンセリングや外音取り込み機能などAirPods Proの代名詞的な機能も使える。名実ともにAirPods Proの兄弟モデルであり、却ってAirPods ProとBeats Fit Pro、どちらを選ぶべきなのか悩んでいる人も多そうだ。
そこでこの記事では AirPods ProとBeats Fit Proを比較。どういったところが違うのか、性能や機能面で細かな差異はあるのか、そもそもどちらを選ぶべきなのかまとめていきたい。
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AirPods ProとBeats Fit Proの明確に違うところ
もっぱらの違いは以下3つ。
- 音質
- 充電環境
- イヤホンの装着感
1. 音質
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
音質の特徴 | 低音〜高音までバランスよく鳴る | 低音と高音が強め |
AirPods Proは低音、中音、高音がバランスよく鳴るフラットな音質。よくも悪くも聞き疲れない、昔ながらのAppleイヤホンらしさを踏襲している。
対してBeats Fit ProはBeats路線のドンシャリ・サウンド。低音と高音に軸足を置いたメリハリある音が楽しめる。
音のメリハリ、音の強弱がほしい人であればBeats Fit Proがおすすめ。AirPods Proは落ち着いた音が好みの人におすすめだ。
2. 充電環境
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
ケースの充電ポート | Lightning | USB Type-C |
ワイヤレス充電(Qi) | 対応 | × |
MagSafe充電 | 対応 | × |
AirPods ProはApple製品らしさ際立つ。iPhoneと同じくライトニングケーブルで充電できるほか、Appleが提供するマグネット・アクセサリー「MagSafe」使った充電にも対応する。
対してBeats Fit ProはUSB Type-Cケーブルで充電する。ワイヤレス充電、MagSafe充電には対応せず、都度ケーブルを挿して充電する必要がある。勝手が知れてる人ほど面倒くささを感じそうだ。
3. イヤホンの装着感
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
イヤーピースの有無 | あり | |
イヤーウィングの有無 | × | あり |
AirPods Proのイヤホンデザインは古典的なAirPodsスタイル。下に伸びた筒を耳外に垂らして装着する。
通常のAirPodsと異なりイヤーピースを搭載しており、イヤーピースのサイズさえ調整すればイヤーピースと耳穴がしっかりフィット。イヤホンの抜け落ちリスクも軽減できる。
Beats Fit Proは耳穴に全部隠れる耳栓型のイヤホン。
なおかつ、イヤーウィング(イヤホン本体から上に伸び出るシリコンパーツ)を搭載。イヤーピースでイヤホンと耳穴を固定させ、イヤーウィングを耳のひだに引っ掛けてイヤホンの飛び出しを押さえることでイヤホンの装着感が"非常"に強固になる。
もとよりスポーツ用途での揺れにも耐えうるよう設計された製品とあり、イヤホンの装着感で言えばAirPods ProよりもBeats Fit Proの方が安定している。
AirPods Proの方が優れているところ
以下3点に関してはBeats Fit ProよりもAirPods Proの方が優秀だ。
- ノイズキャンセリング性能
- 外音取り込み機能の性能
- ワイヤレス充電
1. ノイズキャンセリング性能
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
ノイズキャンセリングの強度 | 強い | 比較的強い |
ノイズキャンセリング性能は明確にAirPods Proの方が上。
AirPods Proのノイズキャンセリングは、とことんまでに徹底した騒音カット。屋内で使えば無音に近く、屋外であっても風切り音も含めてきれいに消し去る。
人の話し声など高周波音に関しては完全には消せないが、オーディオ再生している状態であれば周囲の音が気にならないレベルの静寂に持っていけるので文句ない使い勝手だ。
Beats Fit Proのノイズキャンセリング性能も悪くはないし、実用水準のクオリティを維持してはいるが、AirPods Proには太刀打ちできず。
2. 外音取り込み機能の性能
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
取り込み音のクリアさ | かなりクリア | 普通 |
イヤホンを付けたまま周囲の音が聞き取れる外音取り込み機能。AirPods Pro、Beats Fit Pro、いずれも機能に対応している。
どういったシチュエーションで使うかにもよるが、取り込み音の自然さという意味ではAirPods Proの方が明確に優れる。取り込み音がクリアで音のこもりが少ない。イヤホンを装着したまま会話したいときだったり、骨伝導イヤホンのようにして周囲の音を取り入れながら音楽を聞きたいときに役立ちそう。
Beats Fit Proも駅のアナウンス音を聞き取るくらいであれば、なんら問題ない性能だ。ただ、取り込み音が多少なりにこもっていて、会話するときは自分の声もこもった感じに聞こえるので勝手の悪さある。
3. ワイヤレス充電
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
ワイヤレス充電(Qi) | 対応 | × |
MagSafe充電 | 対応 | × |
Beats Fit Proはワイヤレス充電に対応せず。都度都度ケーブルを挿して充電する必要があるので勝手が知れてる人ほど面倒くささを感じそうだ。
AirPods Proならワイヤレス充電ほかMagSafe充電器も利用できる。とことんまでにApple製品らしさある。
Beats Fit Proの方が優れているところ
以下3点に関してはAirPods ProよりもBeats Fit Proの方が優秀だ。
- バッテリー駆動時間
- Androidスマホとの連携具合
- イヤホンのカラーリング
1. バッテリー駆動時間
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
イヤホン単体のバッテリー駆動時間 | 4.5時間 | 7時間 |
ケース併用時の最大バッテリー駆動時間 | 24時間 | 30時間 |
いずれもノイズキャンセリングOFFの状態の数値を参考掲載。ノイズキャンセリング常時ONだともう少しだけ減る。
どちらも同じ「Apple H1」チップを搭載しているが、省エネ性能はBeats Fit Proの方が上。
それこそノイズキャンセリングOFFであればケース併用で最大30時間のバッテリー持ち。仮に1日3時間使っていても10日前後はケース充電だけで使いまわせる。ワイヤレスイヤホンは充電が面倒くさそう...と考えている人にはまたとないセールスポイントとなるだろう。
2. Androidスマホとの連携具合
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
専用アプリの有無 | × | あり |
ソフトウェア・アップデート | × | 対応 |
スマホ上でのバッテリー残量の確認 | △ | 対応 |
Androidスマホとペアリングして使う場合ならBeats Fit Proの方が利便性に優れる。
Androidスマホ向けの専用アプリ「Beats」を使えば、初回のペアリングが簡素化されるだけでなく、細かなバグの修正などソフトウェア・アップデートがアプリ経由で受けられる。
AirPods Proだとソフトウェア・アップデートはiPhone、iPad(総じてiOS)通じて行うため、Androidスマホユーザーだとアップデートできる手段がない。これに比べるとBeats Fit ProならAndroidスマホユーザーでも割を食うことはない。
また、スマホ上でのバッテリー残量の確認もBeats Fit Proなら専用アプリのトップ画面から可能。AirPods Proだとサードパーティアプリを使わないと確認する手段がない。
3. イヤホンのカラーリング
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
イヤホンのカラーリング | 1色 | 4色 |
AirPods Proが白1色なのに対して、Beats Fit Proは4色展開。黒、白、グレー、パープルから選べる。
いかんせんAirPodsシリーズは白だけなので一見すると安物、偽物との区別が付かない。イヤホンのプレミア感という意味では4色から選べるBeats Fit Proの方が満足度が高そうだ。
AirPods ProとBeats Fit Pro、そこまで変わらないこと
以下3点はほぼ誤差の範囲(...というか同等性能)。
- Apple独自機能の対応有無
- 防水性能
- 通話マイク性能
1. Apple独自機能の対応有無
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
搭載CPU | Apple H1 | |
Fast Pair(iOSデバイスの初回ペアリングの簡素化) | 対応 | |
Apple版マルチポイント(Appleデバイス間の同時接続) | 対応 | |
空間オーディオ | 対応 |
AirPods Pro、Beats Fit Pro、どちらもAppleが自社開発している「Apple H1」チップを搭載しており、Apple独自機能も含めてもれなく利用できる。
Appleユーザーから評価高いApple版マルチポイントにも対応しているので、同一のApple IDでサインインしたiPhone、iPad、Mac、Apple Watch間であれば同時接続&オーディオ再生元の自動切り替えが可能だ。
また、空間オーディオにも対応しているため、iPhone 7以降のiPhone、あるいは一部iPadと接続して使えばホームシアター用のスピーカーで増幅したような音、拡散した音、臨場感ある音が楽しめる。空間オーディオはすでにYouTubeやNetflixでも利用できる。
2. 防水性能
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
防水性能 | IPX4 |
AirPods Pro、Beats Fit Pro、どちらもIPX4の防水性能。
雨、汗程度なら問題なく耐えられる。プールでの潜水利用やイヤホンの水洗いには対応せず。
3. 通話マイク性能
AirPods Pro | Beats Fit Pro | |
ノイズカット機能 | 対応 |
いずれもイヤホン片側3つのマイクを使ったノイズカット機能(ビームフォーミング機能)に対応。口元の音と周囲の音を聞き分け、通話先にはできるだけ口元の音だけ転送してくれる。
屋外や騒音のある場所で通話したい人だったり、自宅ビデオ通話の際にできるだけ生活音が入らないイヤホンマイクを探している人ならうってつけのマイク性能だ。
【まとめ】AirPods ProとBeats Fit Pro、どちらを選ぶべき?
AirPods Proを選ぶべき人
- ノイズキャンセリング性能をなにより評価する人
- ワイヤレス充電(Qi充電)が譲れない人
- 聞き疲れない音質のイヤホンを探している人
AirPods Proを選ぶにあたって、やはりノイズキャンセリング性能は外せないセールスポイント。
出先で音楽を聞いたり、動画を見たりする人はもちろん、勉強や読書のときの集中グッズとしてノイズキャンセリングを耳栓代わりにして使いたい人にもおすすめ。そこそこ静かな場所でオーディオ再生を止めた状態であれば”無音”に近い空間になる。
そのほか、Beats Fit Proと比べるとワイヤレス充電が使える点、音質が落ち着いてる点、ここらが主たる強み。
慣れてる人だとワイヤレス充電(Qi充電)の対応有無が気になるところだろうか。もっぱらノイズキャンセリングとワイヤレス充電を評価する人であれば、AirPods Proを選んだ方が満足度が高そうだ。
新ケースモデル(MagSafe充電に対応、直販29,036円)
2021年10月にケースだけリニュアル。従来のライトニングケーブル充電、ワイヤレス充電(Qi充電)に加えてMagSafe充電に新対応。
従来ケースモデル(MagSafe充電に非対応、直販26,395円)
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Beats Fit Proを選ぶべき人
- 強弱ある音、メリハリある音を楽しみたい人
- 運動中にも使える揺れの少ないイヤホンを探している人
- Androidスマホユーザーの人
- イヤホンのカラーリングを選びたい人
Beats Fit Proは、AirPods Proのオーディオ・カスタム版といったところ。AirPods Proよりもメリハリある音が楽しめる。
AirPods Proと違ってイヤホン本体にイヤーウィングを搭載。ジムで運動中のときに使える揺れの少ないイヤホンとしての採用にも丁度いい。IPX4の防水性能もあるので雨、汗くらいなら問題ない。
また、AirPods ProよりもAndroidスマホユーザーに優しい。専用アプリ通じたソフトウェア・アップデートにも対応するので長く使いたい人でも安心だ。
AndroidスマホユーザーでAirPods Proが気になっている人であれば、AirPods Proのオーディオ・カスタム版としてBeats Fit Proを選んでもいいかもしれない。
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